日本の水商売 法哲学者、夜の街を歩く

谷口功一(著者)

• 販売会社／発売会社: PHP研究所
• 発売年月日: 2023/04/12
• JAN: 9784569854458

商品レビュー

2023/10/13

法哲学者によるコロナ禍における日本全国スナック巡りエッセイ

法の問題点、コロナ禍の様子、全国の名店などとても興味深い。
この手記を基にして、もっと読み易い文体で、項目別にまとめた本を読んでみたい。

2023/09/26

自分は夜の街に通じているほうではないので　
細かなことを論ずるのはむつかしいけれど
ただ　その空間があるからこそ救われる人々

もてなす側のみならず　やすらぎを求めて訪れる
そうした存在を考えると　特定の業態を悪と一括りに
断じてしまう傾向には感染症下にあっても違和を感じる
（経済だけでは語れない大事な生命線があるように）

数値化されているデータに驚かされるものもあった
※「支払意思額（ＷＴＰ）」

国や地域でここまで差があると仮に
感染対策となっても精神はどこまでもつのか

第六章で　著者の戦争に対する想いが語られている

形は異なるものの　今回の感染症によって
人間の暗い部分　同調圧力や集団による悪意の暴走が
あぶりだされた側面があり
諍いの根源は常に近いところにあると痛切に

おりにふれ
戦争は「あってあられんごたぁある」☆
そのことを　意識していかなくてはならんのじゃないか

放っておくと人間は　いともたやすく
世相に流され呑みこまれて取り返しのつかぬ行動に
出てしまう危うさをはらんでいる

ふと　そんなふうに　思った

立ち止まる　つっかえ棒を　どこかに
☆北部九州の方言で「絶対にあってはならないこと」
の意だそうです

2023/05/13

大学で法哲学の教鞭を取る著者による全国各地のスナックを巡るエッセイ集。

著者をはじめ、様々な分野の研究者によってまとめられたスナックの多面的な論考、『日本の夜の公共圏　スナック研究序説』は大変素晴らしく、ロバート・パットナムが説く”社会関係資本/Social Capital”を生み出す日本特有の場としてスナックを位置付けていたのが記憶に新しい。

その出版から8年、その間のコロナ禍によって特に街場のスナックは合理的・科学的な裏付けもないままに感染の温床と名指しされ続けてきた。本書の最終章では、法哲学の研究者としての著者の面目躍如というべきか、この問題に関する論理的な追求がなされており、これはスナックなどの夜の街をこよなく愛する著者だから提示できる論理の強さがある。