百均・アイドル・焼き芋屋 江戸の発明 現代の常識

檜山良昭(著者)

• 販売会社／発売会社: 東京新聞
• 発売年月日: 2023/04/28
• JAN: 9784808310844

商品レビュー

2023/07/02

江戸時代にヒットして流行した、様々なモノや現象。
如何にして生み出され、広まっていったのか？江戸後期編。
・江戸の商人教育
1、消費者心理をついて豪商、富商へとのし上がった
　　　　　　　　　　　　　　小商人たちの巧みな経営手段
2、田沼意次の自由放任政策がもたらした江戸のバブル好景気
3、江戸最後の輝き――過剰消費が生んだ好景気の中で
4、厳しい質素倹約を強いられても商魂やまず
5、不景気が続く中でのヒット商品と縁起物ブーム
6、新商法が躍動するいっぽうで
　　　　　　　　旧くなってしまった江戸初期の新商法
7、黄昏が迫る江戸で庶民が見せた執念のヒット商品作り
【番外編】浄瑠璃、切艾の大ヒットの考察。
【巻末資料】江戸二百六十五年(後期)

ファッション、嗜好品にグルメ、浮世絵、大衆本、
縁起物、日用品、化粧品、薬に健康食品、玩具、
「大いにお世話。お茶でもあがれ」
江戸時代に流行した様々なモノや現象について、
それらの発案者や発明者、開発者や改良者、更に経営者の、
機を見て行動する術なども含め、紹介し、解説しています。
長き吉宗の質素倹約の時代を経て、田沼意次のバブル経済、
享保復古の松平定信の質素倹約、水野忠邦の奢侈禁止・風俗粛正、
経済においても激しい変化の時代、災害に感染症、飢饉、大火。
そして幕末の内政の混乱と激しいインフレが江戸時代の終息へ。
そんな変化の激しい時代のなかであっても、
商人たちの商魂の逞しさがある。バブルで培った高級志向と、
見えないところに金をかける統制時代の庶民の知恵への注目。
多角経営に大量仕入れ＆大量販売、限定販売、パフォーマンス、
広告塔とアイドル、他店との差別化、切手(商品券)、
引き札(チラシ広告)、野菜や魚の切り売り、煮売屋(総菜屋)、
元祖百均、キャッチコピーなど、現代でも存在する
商売でのアイデアが登場しています。
読み易い内容は軽いようで、興味惹かれる流行も多く、
面白かったです。パフォーマンスな「おまんが飴」の飴売りが、
将軍家斉の前で上覧することになるのには、ビックリ。