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中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事 角川ソフィア文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2023/04/24 |
JAN | 9784044007515 |
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中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
◯東京への遠征時に読むため、書店で購入。もともと大学で古典ラテン語を履修しており、ラテン語に関する文庫本だったので興味があった。(実際には往復の新幹線は眠ってしまい、この本は読み終わらなかった。) ◯まず最初に、「辞書の完成セレモニー」の場面から始まり、記者がイギリスのラテン語辞...
◯東京への遠征時に読むため、書店で購入。もともと大学で古典ラテン語を履修しており、ラテン語に関する文庫本だったので興味があった。(実際には往復の新幹線は眠ってしまい、この本は読み終わらなかった。) ◯まず最初に、「辞書の完成セレモニー」の場面から始まり、記者がイギリスのラテン語辞書編集者と日本の辞書編集者の間を行ったりきたりしながらインタビューを重ねていくスタイルは、「フェルマーの最終定理」のように物事の経過がわかりやすかったし、自分自身も一緒に旅をして、彼らの話を座って聞いているような臨場感があった。 ◯ラテン語辞書を巡る話ではあるが、特に本書内においてはラテン語の単語や文法などについて言及していない。 著者の興味はラテン語そのものというよりも、「すでに死んだ言語の辞書を作ることに、なぜ百年もの時間をかけて、たくさんの人々が従事してきたのか」「上梓したところで、かかった膨大なコストは回収することは困難なのに、なぜそんな仕事に人生を捧げた人々が何人もいるのか」という2点にあり、そこから著者は「より早く、より効率的に、という現代のスピード感に逆行するような仕事には、いったいどんな世界があるのか」をそれこそじっくりと時間をかけ追究していく。 インタビュイーのもとまでわざわざ出向き、コーヒーを(ときには紅茶を)飲みながら、メールやチャットではなく相手と向かい合って話をしたのは、著者自身も彼らと同じ時間のなかに身を置き、体験したかったからなのかもしれないなと感じた。 ◯私が学生の頃は、日本語で利用できるラテン語の辞書に選択肢がほとんどなく、ちゃんと使おうと思うと何万円もするでかい日羅辞典しかなかったが、現在ではスマホやPCがあればある程度無料で利用できるし、お金を払えば(確かジャパンナレッジで使えたはず)あの昔ながらの大きな辞書の電子版も利用できる。便利な時代になったものだと思っていたが、この本を読んで、そんな現代のニーズにフィットする電子辞書でさえ、もとをただせば「ワードハンターが作成した数万枚のスリップを、編集者がひとつひとつ吟味し、検証し、丁寧に編む」という泥臭い作業のはてにあるのだなあと感慨深かった。
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100年の歳月をかけて完成した中世ラテン語辞書。本書は、特派員記者である著者が2014年秋ロンドンで「中世ラテン語辞書作成プロジェクト完了」の記事を読んで興味を持ったことをきっかけに、関係者への取材をしてまとめたものである。 英国人のつくった本格的な中世ラテン語辞書の必要性...
100年の歳月をかけて完成した中世ラテン語辞書。本書は、特派員記者である著者が2014年秋ロンドンで「中世ラテン語辞書作成プロジェクト完了」の記事を読んで興味を持ったことをきっかけに、関係者への取材をしてまとめたものである。 英国人のつくった本格的な中世ラテン語辞書の必要性が英国知識人の認識となっていた1913年、OEDと同じやり方での辞書づくりのアイディアーボランティア「ワードハンター」の協力を得て、英国古文献からラテン語を採取してもらうーが出され、英国学士院の事業として実施されることとなった。 二度の大戦という試練を乗り越え、事業は継続されていったが、その間には財政問題や編集に時間がかかり過ぎることへの不満が出されるなど、幾多の困難があった。そうした困難を乗り越え、辞書は完成した。 多くの人の努力が実を結んだことは実に素晴らしい。しかしながら、コスパ、タイパが重視される現代、果たしてこのような文化事業はできるであろうか、特に日本において。できて欲しいと強く思うのだが、効率重視、短期発想に対抗できるどのような原理的思想があり得るのか、重い課題であることを強く感じた。
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自分の仕事の結果が遠い将来にならないと分からない中で、「単に好きだから」という理由でずっと作業を継続する人々のエネルギーを感じた。他にも、時間をかけて丁寧な仕事をすることの大事さ、古典などの文化の伝承は時間と手間をかけてでも行うべきであるという考え方、日本語も滅びゆく言語になりか...
自分の仕事の結果が遠い将来にならないと分からない中で、「単に好きだから」という理由でずっと作業を継続する人々のエネルギーを感じた。他にも、時間をかけて丁寧な仕事をすることの大事さ、古典などの文化の伝承は時間と手間をかけてでも行うべきであるという考え方、日本語も滅びゆく言語になりかねないとの警鐘、など多角的な気づきを貰った本である。
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