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ノヴァ・ヘラス ギリシャSF傑作選 竹書房文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 竹書房 |
発売年月日 | 2023/04/05 |
JAN | 9784801932807 |
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ノヴァ・ヘラス ギリシャSF傑作選
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商品レビュー
3.5
7件のお客様レビュー
https://opac.lib.hiroshima-u.ac.jp/webopac/BB04030742
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11名の作家によるギリシャを舞台にしたSF短編小説アンソロジー。 めちゃめちゃ良い本だと思った。馴染みの無い地名や人名の感じに慣れるのに少し苦戦したが、そこを越えるととても豊かな物語が広がっていた。 ギリシャ、ひいては世界が抱える社会問題を含んだディストピアやポストアポカリプスな...
11名の作家によるギリシャを舞台にしたSF短編小説アンソロジー。 めちゃめちゃ良い本だと思った。馴染みの無い地名や人名の感じに慣れるのに少し苦戦したが、そこを越えるととても豊かな物語が広がっていた。 ギリシャ、ひいては世界が抱える社会問題を含んだディストピアやポストアポカリプスな話がほとんどだが、そんな世界を絶望しながらも強かに生きていく登場人物たちに胸打たれる。作家ごとに異なるSF的要素も魅力だが、そこに乗ってくる様々な感情に揺さぶられる感じがした。 ギリシャは「SF発祥の地」と言える国だが、ジャンルが花開いたのは2000年代に入ってからだそう。そんな中で11名の作家陣が見つめた、ギリシャという国と描き出した未来の物語には、ギリシャ文芸の歴史と力がギュッと込められているのを感じた。 マイナージャンルで装丁も凝っているので文庫本として値段はまあまあ高いが、それを差し引いても一読の価値があると思う。
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訳者の要請により書かれたという「はじめに」がまず興味深い。フィクションといえばながらく社会問題が主なテーマで、空想的な物語は童話や民話にしかほとんど見られなかったというのだ。かのギリシャ神話の生まれた国で。しかし政治の変化や雑誌の創刊などをきっかけに作り手の山と読み手の裾野が広が...
訳者の要請により書かれたという「はじめに」がまず興味深い。フィクションといえばながらく社会問題が主なテーマで、空想的な物語は童話や民話にしかほとんど見られなかったというのだ。かのギリシャ神話の生まれた国で。しかし政治の変化や雑誌の創刊などをきっかけに作り手の山と読み手の裾野が広がってきたらしい。 11編の中に宇宙ものは登場せず、ギリシャの大地あるいは海の中が舞台。海面上昇からの水没というシナリオは、ギリシャの人々にとって"すぐそこにある危機"なのかもしれない。 水没した建造物から生活の糧を得る、人種や貧富の差を内包した話『ローズウィード』(ヴァッソ・フリストウ)。 バーチャルとリアルの街を自在に行き来できる世界でデートを重ねてきたカップルが、お互いの間にある齟齬に気づく『バグダッド・スクエア』(ミカリス・マノリオス)。 夏になると観光客を出迎える"人造人間"マノリのうつくしく哀しい感情が印象的な『われらが仕える者』(エヴゲニア・トリアンダフィル) このあたりが良かった。 『バグダッド・スクエア』は、文化や人種の違いをみとめあう方策として"バーチャル都市のカップリング"を創作していて面白い。アテネとバグダッドが隣り合うように接続され、未知の場所に既知の顔をつくろうとする。 「接続によってその見知らぬ他者に顔がつく。子どものいる女性になる」 戦争で殺された誰かには必ず家族がいる、ということをこのように体験できるなら、もう少し世界はましなものになるかもしれないのに。
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