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鋲
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菜津川久(著者)

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鋲

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 幻冬舎メディアコンサルティング/幻冬舎
発売年月日 2023/03/01
JAN 9784344943773

¥330

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2024/05/06

昭和20年8月15日。その日を境に手のひらを返したように大人たちは様変わりしていた。あまりにも滑稽なほど価値観を逆さまにし、そこには強い意思なんてものは存在しない。それなのに偉そうに語り、振る舞い、今までのことはなかったかのように、いや恥ずかしすぎて忘れてしまったのだろうか。 ...

昭和20年8月15日。その日を境に手のひらを返したように大人たちは様変わりしていた。あまりにも滑稽なほど価値観を逆さまにし、そこには強い意思なんてものは存在しない。それなのに偉そうに語り、振る舞い、今までのことはなかったかのように、いや恥ずかしすぎて忘れてしまったのだろうか。 少年は妹の死という現実を受け止められず、戦後を生きることができなかった。でもそれは普通のことであり、健全な精神であるからこその感覚であるような気がする。どうして大切なものを無残なまでに奪われた人間が前に進んで生きることができるのだろうか。アメリカの属国となり、昨日まで鬼畜米兵と言っていたのに、全てはアメリカ様の為、GHQのため。日本を、自分を壊したのは目の前にいるアメリカなのに、さらに搾り取られる。それに異を唱えない大人達。これは現代の、あれから80年過ぎようとしている日本でもいえる。実は戦後はまだ続いていて、日本は本当の意味で独立はしてない気がした。 アメリカ人の少女。ただ親が米兵で、異国の地に連れてこられただけなのに、復讐の対象となってしまう。彼女の気持ちを察すると哀しみが込み上げるが、それ以上に戦争は子供を大人、いや未熟さを老成させてしまう。大人ほど未熟で子供ほど老成する。大人の始めた戦争の一番の被害者は子供なのかもしれない。彼女に戦後はなかった。常に戦前で戦中で。都合の良い解釈で悲しみの渦に巻き込まれていく。 画鋲を刺して欲しい。その意味はわからないけど、小さい中にある一点に集中する痛みと鋭さ。戦争は心を突き刺すものなのだ。

Posted by ブクログ

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