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寒波 P分署捜査班 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2023/02/20 |
JAN | 9784488296063 |
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商品レビュー
3.6
7件のお客様レビュー
今回、同時並行するのは 兄妹が惨殺された殺人事件と 児童虐待疑惑の解明事件のふたつ。 めっちゃ頑張って事件に対応してるのに いつまでたってもお偉方は P分署を取り潰そうとネチネチ言ってくる。 確かにそれぞれ問題児ではあるけど 警官としての矜持だけは持ち合わせてる! 3冊目とも...
今回、同時並行するのは 兄妹が惨殺された殺人事件と 児童虐待疑惑の解明事件のふたつ。 めっちゃ頑張って事件に対応してるのに いつまでたってもお偉方は P分署を取り潰そうとネチネチ言ってくる。 確かにそれぞれ問題児ではあるけど 警官としての矜持だけは持ち合わせてる! 3冊目ともなると そんな彼らの人生が幸せな方へ 向かって欲しいと思うようになるわ。 読者だけが知っている 隣のサイコパスも心配ですが( ̄▽ ̄) もちろん謎解きの方の要素もしっかり。 刑務所帰りの父親とか、DV疑惑の妹の彼氏とか 何人かいる容疑者の どの動機も決定打に欠ける中… とはいえやっぱり引き金になった 出来事はあったわけで。 もう少し意思の疎通があれば済んだのに。 また1年に1冊でもいいので続きが読みたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
イタリア、ナポリ、ピッツォファルコーネ署、第3弾。 あらすじ 1つ目の事件、研究者の卵の兄と、モデルの妹が殺害される。兄妹の父は殺人事件で20年近く服役していたが、妹を田舎に連れ戻そうとしていた。 2つめの事件。私立に通う10代の娘は、父親から虐待を受けていることを匂わせる作文を書き続けていた。しかしそれは、贅沢な暮らしができないことについて、父親を排除しようとする計画だった。 副署長、ピザネッリは妻を亡くしてのち、自殺を装って殺害された人が何人もいると考えている。周りからは妄想だと思われているが、実際に犯行が行われている。手を下しているのがピザネッリの親友、カジージ神父。 舞台は急激に寒くなったナポリ。寒いナポリは想像できないが、署の職員が異常に暖房の温度を上げて、いつもは冷静なロヤコーノが文句を言うところは面白かった。舞台となっている署は、数年前に警官の汚職が発覚してから、よその部署の「ろくでなし職員」の吹きだまりみたいな扱いを受けている。しかし、今作はみんなクセはあるがそれぞれの得意分野を生かして、粘り強く操作する様子が書かれていて励まされる。相変わらす口数が多すぎるというか、無駄口が多すぎるアラゴーナですら、最後の最後に解決の糸口をチームに与えていて、一層このシリーズが好きになった。 各捜査員が抱えている問題は重めで、いつか明るみにでるんじゃないかと思うが、シリーズは長く続いてほしい。
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87分署シリーズのようなものをイタリアを舞台に描きたい作者と、87分署シリーズのような安定したシリーズを懐かしむ読者との融合、といった気配漂う読書時間が嬉しい、本シリーズ新作である。もっと速いペースで次々と読ませて頂けると有難いのだけれど4年目にして三作目というのは少し間が空き...
87分署シリーズのようなものをイタリアを舞台に描きたい作者と、87分署シリーズのような安定したシリーズを懐かしむ読者との融合、といった気配漂う読書時間が嬉しい、本シリーズ新作である。もっと速いペースで次々と読ませて頂けると有難いのだけれど4年目にして三作目というのは少し間が空き過ぎの印象。せっかく印象に残る個性的刑事たちの集まりなのに、今回のように二年も待たされるとさすがにせっかくの個性も忘れてしまうというもの。 さて本書では二件の事件が同時に起こり、それぞれの事件に二組の刑事コンビたちが振られるという、刑事ものの王道みたいなスタートなのだが、87分署を思わせるように刑事たちの個性を重視するシリーズなので、事件そのものよりも、群像小説特有の社会派人間ドラマといったところが真の読みどころなのかなと思わせる。個性とはそのためにあるもので、それぞれが活き活きと現実に近い人生の時を過ごさねばならないし、それを本シリーズはしっかり実現させているのだ。そう、元祖87分署シリーズのように。そして読者に彼らは巻を重ねる毎に愛されてゆかねばならないだろう。そしてそれは本書でも上手に良い方向を辿っているように思われる。 87分署でもニューヨークではなく架空の大都会アイソラを舞台にしているように、イタリアで蘇ったこの警察シリーズも架空の町の架空の分署を舞台としている。87分署との違いは、P分署が、他の警察署で問題になった刑事ばかりが集められたような掃きだめのような場所であるところにある。そして隣接する警察署はこのP分署が自壊してなくなることを端から予想していることだ。 毎作のようにこの分署が潰されないように、そんな原因を本署に与えないために、問題児とされた個性的な刑事たちが力を合わせて頑張るのである。言わばダメ男ダメ女たちのそれぞれの生き残りを賭けた立ち直りと復活を賭けたドラマとしての側面が大きいところが、正統派であった元ネタの87分署とは異なる部分である。その分だけそれぞれのキャラクターは、より問題や悩みを抱えており、その内なる部分の描写に費やされる作者の志向はかつての87分署とは似て非なるものと言っておきたい。 さて、本書ではアパートで発見された兄・妹二人の惨殺死体が主たる事件である。一方で父親からの性的暴行が疑われる少女の作文について学校より真偽を確認してほしいというサブ的事件の捜査も進行する。それぞれの捜査に振り分けられた刑事たち。彼らをサポートする署の捜査官たち。虎視眈々と彼らの失策を観察しようとする市警本部や、一作目から副次的に進んでゆく犯罪に手を染める謎の黒い神父。長いシリーズならではの大小の波を継続させながらシリーズは、徐々に加速を加えつつある。 本当を言えば、毎月一冊くらいずつ読みたいシリーズである。そこまで縮めろとは言わないけれど、是非、ガンガン出してくださいますよう頑張ってください、創元さん! ちなみに87分署シリーズには『熱波』があるので、『寒波』の邦題は大変良かったと思います。
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