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日本語の発音はどう変わってきたか 「てふてふ」から「ちょうちょう」へ、音声史の旅 中公新書2740
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2023/02/20 |
JAN | 9784121027405 |
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日本語の発音はどう変わってきたか
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万葉仮名を手掛かりに太古の日本語の発音を探る。 例えば、「山」の和語(=つまり、訓み方)が何か? 「山」と中国由来の漢字のだけでは、それは分からない。 そこで万葉仮名の登場。仮名書きの「夜麻」とある。「やま」と呼んだのでは?と推測できる。ただ「夜麻」だけでは「よま」などとも読める。そこで、『万葉集』の中から「夜麻」以外に、「山」を表している表現を、「也麻」、「野万」、「八万」と、いくつも探し出して古代語の「やま」の存在を確定させていく。 ものすごく気の遠くなるような作業だ。 「八世紀後半に成立した『万葉集』は、四千数百首もの和歌を収める古代語の宝庫であり、これによって私たちは奈良時代の言葉を体系的に再建できるのである。」 大伴家持ら先人の偉業に感謝である。 さらには、中国音韻学を活用し、唐の時代の音(唐代音)を活用する。その音は、その時代の漢詩が時代を代表するものであり、李白、杜甫、白楽天の詩を、当時のように作り、真似て、読むことが後の世にも重んじられたから。だから、その発音が今も残るという説明だ。 漢字の読み方に、発音記号を使わずに、多数の漢字を相互に組み合わせるように規定させる「反切」という手法があり、それを使って理解できるという。これもまた気の遠くなるような作業だ。 然様に、本書では、なぜ昔の発音が分かるか、いかにして調べていったのかが具に説明されており、その苦労を知るだけでも、どっと疲れてしまうような内容だった。 古代日本語にhの音が存在しなかったことから、 「ハ行子音は、奈良時代にはP音であった。これが平安時代はじめにPから破裂性がやや退化してfの音に近い「ファ・フィ」のような音声になった。」 という話も展開されていく。 時代が下ると、『日葡辞典』をはじめ、海外のキリシタンがものした資料で、「Fato(鳩)」、「Ficari(光)」といった記載から、 「ハ行子音は、fで表記されるのも、当時のハ行音が両唇摩擦音であったことを推測される。」 と、実にありとあらゆる文献にあたって、ようやく推論が、より確からしくなっていく凄みがあった。
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新書にして230ページほどの分量だが、8世紀から18世紀の千年以上にわたる日本語の音声変化をたどる好著。当然ながら、変化をたどるためには聞いたこともない当時の音声を「再建」する必要がある。その材料となるのが、奈良時代の万葉仮名であり、室町時代のキリシタン文献だった。万葉仮名につい...
新書にして230ページほどの分量だが、8世紀から18世紀の千年以上にわたる日本語の音声変化をたどる好著。当然ながら、変化をたどるためには聞いたこともない当時の音声を「再建」する必要がある。その材料となるのが、奈良時代の万葉仮名であり、室町時代のキリシタン文献だった。万葉仮名については漢語音韻学に基づいて精緻な研究が行われ、上代特殊仮名遣、8つの母音の存在、甲類音と乙類音の区別、音節結合の法則などが明らかにされる。こうした複雑な音声や法則は、もともと単語の音節が少なかったことによるものだ。社会情勢の変化は言語情報の必要性を増加させるが、初期の段階では少ない音節に多くの音声を盛り込むことでこれに対応していた。しかし、更に情報が増えると少ない音節では対応しきれなくなり、単語の音節そのものが増えてくる。すると複雑な音声や法則により単語を弁別する必要性が薄れ、母音は減少、甲類音・乙類音の区別は相対化し、音節結合の法則も崩れていった。このような観点から、日本語の音声が具体的にどのような変化を経てきたのか、その変化を先人たちがどのように対自化してきたかを描く。どの言語にも同様の変化は見られると思うが、ひらがなの発明、ひらがなと漢字の混合文体など日本語の特殊性を考察する上でも必須の情報が詰まっている。
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かねてより「昔の日本語はこんな発音でした」みたいな記事を読むたびに、どうやってそんなことを調べられるのだろうかと不思議に思っていた。本書によりおおむね疑問氷解。スッキリしました 日本語は五十音図の母音と子音がクロスした発音であると思ってふだん疑うこともないが、たとえばタ行などは...
かねてより「昔の日本語はこんな発音でした」みたいな記事を読むたびに、どうやってそんなことを調べられるのだろうかと不思議に思っていた。本書によりおおむね疑問氷解。スッキリしました 日本語は五十音図の母音と子音がクロスした発音であると思ってふだん疑うこともないが、たとえばタ行などは、同じt音で揃えると実はタ・ティ・トゥ・テ・トになる。そんな身近すぎて逆に意識できていないことが見えてくる快感もあった
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