香川にモスクができるまで 在日ムスリム奮闘記

岡内大三(著者)

• 販売会社／発売会社: 晶文社
• 発売年月日: 2023/01/26
• JAN: 9784794973504

商品レビュー

2023/09/25

１．この本を一言で表すと？
香川にモスクができるまでの経緯を追ったドキュメンタリーの本。
２．よかった点を 3～5 つ
・商店街で向けられた、冷たい眼差し（p98）
→田舎の高齢者ほど潜在的な差別意識があるのではないか。
・日本に馴染めるように努力もするし、邪魔をする気もない。だから仲間として認めてほしい。（p110）
→外国人のこの願いを日本人もよく理解すべきだと思う。
・誰も置き去りにしない、イスラムの知恵（p196）
→許しの実践には驚いた。
・美しきアラブのメロディー コーランの読み方は、一つではない（p264）
→平和の宗教がなぜテロにもつながることがあるのかということがわかった。
２．参考にならなかった所（つっこみ所）
・写真がもっとあっても良かったと思う。最終的にモスクとして購入した建物の写真などがあればよかった。
３．議論したいこと
・ムスリムにとってモスクが必要な理由が理解できたか?
５．全体の感想・その他
・イスラム教の壮大な人生観というものを少しだけ理解できたような気がした。
・建物購入後の問題が起こり続けているようなので続編を期待している。

2023/06/11

知らないということは恐ろしい。日本人はこうだ、とか、今の若い奴はこうだ、などと他人に決めつけられると反発を感じるのに、知らぬ間にイスラム教徒は…とか、外国人だから…とラベルを貼って安易に決めつけている自分がいる。
この本にはひとりひとり個性を持ったインドネシア人ムスリムたちが登場し、日本で慣れない生活を営み、想い・願いを持ってモスク建立に奮闘する。違う習慣・文化、そして人間臭さ。その世界は知らないことだらけだった。

著者もこう書いている。
----取材を始めた当初は「異国で頑張る移民の現状を伝え、助けてあげたい」という気持ちがどこかにあったが、自分たちの力で難局を乗り越えていく姿に、私の抱く善意が「無意識の上から目線の善意」だということに気づいたのだ。そういった思いあがりが消えたことで彼らとの関係性は対等なものになり、その時初めて、私たちが慣れ親しんだものとは違ったタイプの彼らの知性の存在と、その可能性に気づくことになった。 ----

2023/03/20

モスクを作る、ドキュメンタリー的な面白さもある。

外国人技能実習生やムスリムが911以降やコロナ禍で困難な状況に置かれている。
その中でイスラムがどのように機能するのかを覗き見ることができる。
イスラムが、もう少し言うと宗教やコミュニティがどうあるべきか、考えさせられる。

198ページ
モスク建立で対立した後に、バーベキューをしたときの話
著者はこう書いている。
私は、彼らが信仰と呼ぶものが、緻密に計算されたコミュニティーの設計図なのだと、この時確信した。