ケチる貴方

石田夏穂(著者)

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2023/01/26
• JAN: 9784065303580

商品レビュー

2024/10/09

極度の寒がりが、温かく過ごせる方法を見つけたのだが。。。

主人公は、今後冷たい人間に戻るのだろうか。
新人君たちは、仕事続けてくれるのかな？できる君、すぐ辞めそう。
仕事で得たノウハウって、その人の財産なんだけど、だから伝授を惜しむ人がいるんだって、思った。
いろいろ考えが巡る本。

2024/10/06

『ケチる貴方』収録の「その周囲、五十八センチ」がとても良い。努力して努力して、手に入れた容姿(というか脚)を少し愛せるようになる話。納得いくまで努力しているものなら、氷のように固まったコンプレックスも少しは溶けるのかもしれない。その気持ちすごくわかる。
石田夏穂さんの本はどれもこれも大好きだ。

2024/09/13

◾️ケチる貴方
冷え性の女性の話。
ケチってるから自分の体を燃やして体温を上げることさえ惜しむ、という発想がおもしろい。
便秘、徐脈もそう。絶対そんなことないけど、その人の心根と体の動きがリンクするって、ありそうだけどなかなか聞かない話だなぁ。

そして、私はこの主人公が好きだ。佐藤。
基本的に我慢せず、思ったことを態度として示す彼女は清々しい。仕事は好きじゃないけど、やることはやるし、武器としてスキルや知見を積み上げている様子もかっこいい。そんな彼女が体温を上げるために「寛容」になっている描写はヤキモキしてしまった。
ちょっとかわいそうだけれど、冷たい体とうまく生きていってほしいなと思ってしまった。

◾️その周囲、五十八センチ
脂肪吸引する女性の話。
自分を痛めつけることで成長実感を得ている感覚、とてもよくわかる。
三連休なんてあった日には、ダラダラ過ごすのではなくいかに有意義に過ごしてしまうか事前に計画を立てるタイプの私にとって、主人公の悪い前向きさはすごく共感できた。
この小説の、努力してる人をちょっと斜めから見ている感じが好きだ。脂肪吸引なんてともすると意識高い感じにうつってしまうけど、それで終わらせない。そこに存在するやや歪んだ自己成長感？とか、ダウンタイムのしんどさ、その期間に本人が感じる情けなさとか、そういうところもしっかり描かれている。
あと、そんな主人公に対して「もうやりすぎだよ」とは決して言わない主治医がとてもいい。
歪んでいても努力している人を馬鹿にしないというところがポイントだと思う。
ケチってその人が何かを大事にしていることとの表裏一体だと思う。それを馬鹿にするのではなく、ちょっと面白く表現しているこの小説が、私にとってはとても心地よかった。