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山本周五郎 心ばえの物語集
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山本周五郎 心ばえの物語集

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 本の泉社
発売年月日 2022/12/28
JAN 9784780722277

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2025/12/17

 『山本周五郎 心ばえの物語集』本の泉社(2022年12月刊)江戸庶民の心を描く山本周五郎の7作品を収録する短編集です。    この本に収録されている『釣忍』を読みたくて図書館で借りました。文藝春秋12月号の沢木耕太郎さんと神田伯山さんの対談『歳末寄席スペシャル・トーク』を読んだ...

 『山本周五郎 心ばえの物語集』本の泉社(2022年12月刊)江戸庶民の心を描く山本周五郎の7作品を収録する短編集です。    この本に収録されている『釣忍』を読みたくて図書館で借りました。文藝春秋12月号の沢木耕太郎さんと神田伯山さんの対談『歳末寄席スペシャル・トーク』を読んだのがきっかけ。この対談の中で沢木さんが『釣忍』を紹介しています。江戸の市井の人々の心の動きを細やかに描いた小説でチャンバラとか大立ち回りないけれど。ぜひ伯山さんに講談で読んでほしいと沢木さんが語ります。芸域を広げるためにも挑戦したいと受ける伯山さん。どんな物語だろう?興味津々で本を開きます。  魚行商の天秤棒を担ぐ定次郎、恋女房のおはんと所帯を持って二年。二人が暮らす長屋の僅かばかりの縁側には「釣忍」がさがっいる。枯れてるようにも見えるけれど、指でつまむと、しっかり水を含んでいるのです。「ふん」と鼻をならしながらも確かめずにいられない定次郎。  夕餉の膳には定次郎が持ち帰った「針魚の片身は糸づくり、片身は吸物になっていた。うるめは焼いて、ほかに二品、わかめに浅蜊のぬたと、塩昆布の小皿が」が並びます。「ぬるかったらごめんなさい」とお酌をするおはん。受ける定次郎は「よかろう」と言って団扇を使いながらおはんを見ます。ほのぼのとした情景が広がります。いいですね。  地の文で描かれる、なめらかに細やかにかわされる二人のやりとりが心にしみます。「嘘をつけ、枯れちまったものに芽がでるか。あらほんとよ、ひるま見てごらんなさい、小さな芽のようなものが出ているから。どっちでもいいが、欲しかったら買えばいいじゃないか。だって惜しいのよ、とおはんが云った。ここへ世帯を持った時に買ったんだし。あたしはきっと芽が出るってにらんでるんだもの・・・」。「釣忍」をはさんで二人の想いが行ったり来たり。  実は呉服商越前屋の二男で勘当された身の定次郎。ある日、兄が長屋を訪ねて来て初めて本当のことを知るおはん。定次郎に実家を継いでほしいという兄の願いを聞き、心を隠してそれを後押しするおはん。実家に戻ることになった定次郎だが。その朝、軒からさがっている「釣忍」に芽が出ているのを見つけます。「弱そうな小さな芽が三つ。一つはまだ巻いているが、他の二つは浅緑の葉をひらいて」います。その夜、実家に帰った定次郎は親類縁者が集まる宴席で大芝居を打つのです。「済まねえ」と囁きつつ。「釣忍」をはさんで心の動きがじわりと伝わってくる物語です。  芸術の高みを目指す絵師・平野又五郎と妻女のお石、貧乏が二人の心の邪魔をする『おれの女房』。健気に生きるおしず・おたか姉妹、そして長兄の栄二、心の底を細やかに描く『湯治』。足袋屋主人の喜兵衛と出会ったお幸、互いの心を邪推しつつすれ違う真心を描く『三十ふり袖』。長男市太の友人を助けようと蓄財に励む母親お勝と五人の子どもたち、そこに現れる七人目の家族と心がふれあう『かあちゃん』。腕の立つ板前で店を営む辰造、ふとした心違いで年若い恋女房おうらの心をもてあそんでしまう。何かと不器用なおうら、「水すまし」が「水まわし」に、そして『水たたき』。江戸市中の大火で両親をなくし店の再建に奔走する若棟梁の茂次、火事で孤児になった子供たち十数人の面倒をみるおりつ、二人の心が徐々に近づく『ちいさこべ』。 どの作品も心に残る物語です。

Posted by ブクログ

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