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線が血を流すところ
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線が血を流すところ

ジェスミン・ウォード(著者), 石川由美子(訳者)

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線が血を流すところ

定価 ¥2,860

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 作品社
発売年月日 2022/12/28
JAN 9784861829512

線が血を流すところ

¥990

商品レビュー

4.5

4件のお客様レビュー

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2025/03/02

海外文学を読む際に、舞台となる土地が持つ空気感が文章で緻密に表現されているときに、良い小説であると感じることが多い。 そういった意味でジェスミン・ウォードが描く物語は現代のアメリカ南部の空気感を文章で色濃く伝えてくれている。 コーマック・マッカーシーが描くアメリカは乾燥して荒涼と...

海外文学を読む際に、舞台となる土地が持つ空気感が文章で緻密に表現されているときに、良い小説であると感じることが多い。 そういった意味でジェスミン・ウォードが描く物語は現代のアメリカ南部の空気感を文章で色濃く伝えてくれている。 コーマック・マッカーシーが描くアメリカは乾燥して荒涼とした大地と、乾いた暴力、冷酷さを伝えてくれた。トマス・ピンチョンが描くアメリカには狂乱や混乱、混沌の景色を読み取ることができる。ジェスミン・ウォードは湿り気を帯びて、淀んだ空気の中で踠く人々から現代のアメリカの姿を描写している。 主人公の双子が縛り付けられているのは血と土地の呪縛で、そのなかで踠きながら懸命に生きるすべを探している。さながら呪いのような再生産される貧困に取り込まれそうになりながら、なんとかその呪縛から逃れられたように思われたが、この物語の後に到来するであろうハリケーン・カトリーナが彼らの生活全てを破壊し、この物語で描かれたような社会構造の問題故に黒人社会が復興から取り残されてしまうことなど、いまだにアメリカが抱える大きな課題を描き出している。

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2024/05/18

『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』を読んでから、ボア・ソバージュ三部作の始まりの物語である本書を読んだ。 高校を卒業する時からの双子の、異なる日々の営み。クリストフの心情、堕ちていく様子に心がヒリつく。 これが南部の黒人たちの日常なのかと思いきや、実際はより過酷であると、別のイン...

『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』を読んでから、ボア・ソバージュ三部作の始まりの物語である本書を読んだ。 高校を卒業する時からの双子の、異なる日々の営み。クリストフの心情、堕ちていく様子に心がヒリつく。 これが南部の黒人たちの日常なのかと思いきや、実際はより過酷であると、別のインタビューで著者が言っている通り、不穏を感じつつも、どこか希望を感じて読み終えることができる。 黒人たちの職、生活、コミュニティの繋がりと親族間の強い絆。外の白人至上主義者。

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2023/10/29

人は苦しい時にこそ本性が出るというが、まさにその部分を出しているなあと感じた本だった。主人公の兄弟の1人は、就職が思うようにいかない時に、素直になれない言葉と行動があり、従兄の世話とは言え、すこしダークサイドに足を踏み入れてしまう。そこが日本と違うのかなと思った。 ただ、黒人を主...

人は苦しい時にこそ本性が出るというが、まさにその部分を出しているなあと感じた本だった。主人公の兄弟の1人は、就職が思うようにいかない時に、素直になれない言葉と行動があり、従兄の世話とは言え、すこしダークサイドに足を踏み入れてしまう。そこが日本と違うのかなと思った。 ただ、黒人を主人公にした物語でありながら、差別が全面的なテーマではなく、むしろ一切その雰囲気を出しておらず、珍しいと思った。閉鎖的であるが故の、人とのつながりが描かれており、そこが良いと思った。

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