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乱れる海よ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 平凡社 |
発売年月日 | 2022/10/21 |
JAN | 9784582839104 |
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商品レビュー
3
17件のお客様レビュー
心優しく正義感の強い青年はなぜ空港乱射事件を起こすに至ったのか。著者は主人公をライターに設定し、物語は綴られる。なんというか、体裁は整っているけれどもまったく深みを感じない。千尋という人間に興味はあるのだろうが、読んでいる限り、そこに共感があるのかどうか疑わしい。事件に至る千尋の...
心優しく正義感の強い青年はなぜ空港乱射事件を起こすに至ったのか。著者は主人公をライターに設定し、物語は綴られる。なんというか、体裁は整っているけれどもまったく深みを感じない。千尋という人間に興味はあるのだろうが、読んでいる限り、そこに共感があるのかどうか疑わしい。事件に至る千尋の変遷も今一つ得心することができなかった。 「革命ちゃん」に恋した青年が熱情のままに駆け落ちしたけれど日々の生活という現実に打ちのめされてそれでもそれを認めたくなくてまだかろうじて残っていた美しいままの「革命ちゃん」の写真を胸にビルから飛び降りた、みたいな話だったな。 いや、そこに正義は皆無だろ。 立松和平の「光の雨」とは天と地ほどの志の差を感じた。
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1972年にイスラエルのテルアビブ空港でテロ事件を起こした日本人3人、そのうちのひとり千尋に焦点を当てたノンフィクションのような小説。何とも言い難い複雑な気持ちで読了。自虐史観に囚われたような事実に反する歴史的事象が語られたり、千尋を優しく素晴らしい人物であるという一種のあこがれ...
1972年にイスラエルのテルアビブ空港でテロ事件を起こした日本人3人、そのうちのひとり千尋に焦点を当てたノンフィクションのような小説。何とも言い難い複雑な気持ちで読了。自虐史観に囚われたような事実に反する歴史的事象が語られたり、千尋を優しく素晴らしい人物であるという一種のあこがれのようなものを持つ語り手の文章に強い違和感を感じた。題材はとても興味を持てるもので、彼らの事をもっと知りたいと思ったけど、美化させてはいけない。どんな理由があろうと罪もない人々を死に至らしめたことは決して許されることではないから。
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高校生だった著者が、ある朝の特別な朝礼で校長から聞かされた訓辞。同校出身の奥平さんが起こした事件から、この人のことを書きたいとふと芽生え、50年後に書き上げたというあとがきがある。 物語の主人公である不遇な女性ジャーナリストとともに奥平さんをモデルにした千尋とその人が手元におくヴ...
高校生だった著者が、ある朝の特別な朝礼で校長から聞かされた訓辞。同校出身の奥平さんが起こした事件から、この人のことを書きたいとふと芽生え、50年後に書き上げたというあとがきがある。 物語の主人公である不遇な女性ジャーナリストとともに奥平さんをモデルにした千尋とその人が手元におくヴェーユの思想をなぞっていく。駆け回り悩む主人公とともに世界の動きやこの人の思いをわかりたい、とは思えども、私には根本的な千尋の活動の転換点やヴェーユの記述が理解しがたかった。セツルや弱者への活動が闘争や正義のためと称する攻撃に向かう狂気、あたかも真面目に考え考え続けた若者が向かった先のようで、時代が違えば大学生としての自分の隣にあった思想なのか、というように物語られるけれど、やはりわからない。主人公の元恋人のようにすごい人というふうな気持ちに、全く共感できない。 それでいいのか、と感じながら本を閉じる。 少なくとも、書かねばならないという著者の気持ちが伝わり、この事件を知らねばならない忘れてはならないということを、自分の中に刻み込めたことに、読んだ価値があった。
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