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その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2022/09/30 |
JAN | 9784488011178 |
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商品レビュー
4
23件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミステリというよりは、文学的な作品を集めた短編集だということは何となく認識していたが、何の気なしに図書館の棚から借りて読み始めた。 まず最初の一編「白熊」を読んで思った。 まるでシーラッハのようだ。 と思ったらシーラッハの訳者酒寄さんの肝入りで編んだ傑作選とのこと。 一編目を読んだ後に解説とかあるかなぁと、裏からめくっていったら、ちょうど訳者あとがきがあり、そのことを知った。 なるほど興味深い。 これは先に読んだ方が作品をより深く味わえる方のあとがき。 極限とも思える程に研ぎ澄まされた文体が魅力のシーラッハに比し、あそこまでではないものの物語の唐突さと幻想性、不穏さを10ページ強にぎゅーっと詰め込んだのが特徴的な短編がずらり15編並ぶ。 既に邦訳されている8作品を含むが、酒寄さんいわく、「個々の作品を重ね合わせることでイメージを増幅させたり、それまでとは異なるイメージを醸成する」のが短編集を編む醍醐味とのこと。 著者カシュニッツの96作品のうち、この15作品、この順番で形作ろうとした世界観を堪能。 「幽霊」から「六月半ばの真昼どき」へとの繋がりは、まったく別の物語の中の共通するイメージの重なりが面白い。 後半に置かれた表題作「その昔、N市では」は比較的わかりやすいディストピアSFもの。 なんてことないといえば、なんてことのない筋書きだし、これだけを読むとふーんのような気がするのだが、全体の雰囲気中で読むこの物語の設定の妙と結末の皮肉が際立つ。 正直、何を読んだのかよくわからないような作品もあるのだが、その醸し出す雰囲気、言葉にしきれない情動をもたらされる感覚が癖になる。 第2弾、『ある晴れたXデイに』も読んでみようかな。
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ひとつひとつが、なんかこう、独特の雰囲気を纏っていて、不思議な気持ちで読み進めた。 こういうのを文学というのだろうか。ひとつひとつに、物語の行き着く先(オチ、みたいなもの)があるわけではなく、だからこそ、少し名残惜しい、喪失感みたいなものを感じた。
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序盤のいくつかの作品がシュールさしか感じられず読み切れるか不安になったけど中盤以降から面白い作品が出てきたので諦めずに読んだほうがいいかもしれない。同時期にシャーリイ・ジャクスンの短編集も読んでいたが個人的にはこちらのほうが好き。
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