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必殺シリーズ秘史 50年目の告白録
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 立東舎/リットーミュージック |
発売年月日 | 2022/09/16 |
JAN | 9784845638048 |
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必殺シリーズ秘史 50年目の告白録
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商品レビュー
4.3
3件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いまの時代、キャメラマンは存在しません。絶対に存在しません。これだけは断言できます。オペレーターですよ。 p.13 あとは「ここを見てくれ」というポイントを絞る。そういうことでやってたんです。要するに”映画は選択、テレビは強要“なんですよ。映画は映画館に入場するときから選択でしょう。画面も広くて、好きな人の芝居を見ることができる。ところがテレビの場合は若い子からお年寄りまで見ているので「ここを見ないとわかりませんよ」っていうポイントが必要なんです。ある種の押し付けとでも言いますか、だから「ここを見てくれ」というところにズームしたり、ライティングでも一部にしか当てないわけ。余計な部分は見せないで影にする。 p.15 それと当時、流行っていたのがマカロニ・ウエスタン……クリント・イーストウッドの『荒野の用心棒』(64年)とかね。当時のアメリカの西部劇というのは物量なんです。丘の上にインディアンが500人くらいバーっと並んだり、ものすごい。ところがマカロニは金がないもんやから、いろいろ工夫してるんです。脚本だけでなく映像も極端なアップとか、なにかを手前に大きく入れ込んで映したり……そのへんは無意識のうちに影響されてたんでしょうね。平尾(昌晃)さんの音楽もそうやし、つまり『必殺』はマカロニなんですよ。 p.16 で、いちばんイヤやったんはオープンで夏の時分やな。ミミズが鳴きよる。俺も知らんかったんやけど、あるベテランの小道具さんが「中路、これはミミズが鳴いとるんや」。でも、どっから音がしているかわからんのです。周波数が高い「ジー」っていう音で、これを消さんことには仕事にならん。そのときい初めて耳にしたんやけど、水を撒いたりして対応しました。 p.112 小説でも絵画でもなんでも、これ以上足せないというもんじゃなくて、これ以上引けないというのが、完成品やと思うんです。だからやっぱり、あれを引くんやったらこれも引かなあかんというのが出てくるんですよ。 p.242 ――柄に刃を仕込んでの不意打ちですね。『必殺仕事人V』(85年)から登場しますが、あの目釘を抜く動作が格好いい。 布目 あのアイデアは藤田さん。それを小道具の玉井さんが作った。殺しのシーンで積極的に意見を出してきたのは藤田さんくらいかな。 p.299 「画づくりは照明がするんや。真っ暗な世界で、光を当てたところだけが画になるんや」 p.358 関係者30人に対するインタビュー集。 映像作品の製作については知見がまったくないので読んでもピンとこない箇所が散見したが、そんな読者にとってもたいそう面白い読み物であった。 『必殺』を見ていた時期は長いようで短いが、再放送も頻繁にやっていたと思うので触れる機会は多かったのかもしれない。『ブラウン館の怪物たち』の劇場版CMだかTV放映の予告だかを目にしているが、ひかる一平がレギュラーになっていた頃には飽きていた。とはいえ『必殺IV』には燃えたし、今でも曲やシーンが想起させられる。浅い視聴者であったにもかかわらず、特徴的なアレコレは忘れられないほど深く浸透している。
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「必殺仕事人」などの必殺シリーズに思い入れはないのだけど、この本は面白い。 カメラマンや照明、録音、記録(スクリプター)、編集、調音、大道具小道具、衣装殺陣といったスタッフたちに話を聞いたインタビュー集。 山崎努のスペシャルインタビューがあるほかは主要演者は登場しない(いわゆる大...
「必殺仕事人」などの必殺シリーズに思い入れはないのだけど、この本は面白い。 カメラマンや照明、録音、記録(スクリプター)、編集、調音、大道具小道具、衣装殺陣といったスタッフたちに話を聞いたインタビュー集。 山崎努のスペシャルインタビューがあるほかは主要演者は登場しない(いわゆる大部屋俳優的な人は取り上げている)。 初期の主だった監督達はすでに亡くなっているということもあるが、スタッフが主体的にシリーズの特色を生み出したことが語られる。 「シリーズの統一感を出すためには監督が誰になっても一定水準を保たなければならない」という使命感もあれば、(弱小ゆえに)映画の伝統に束縛されずスタッフたちが自由に意見を出し合える雰囲気だったともいわれる。 それゆえ「こだわりの強い職人芸」的な面が強調されることになり、そういう話はやっぱり面白い。 そういった自意識は、反骨心として、あるいは排他性として表れることもある。 テレビなんてと軽い気持ちでやって来る監督だとか、「東京から来た礼儀知らずの役者や生意気なタレント」に対する敵愾心みたいな。 「関東の人は殺陣できないでしょう」なんて言ってしまうのでインタビュアが「まるで『蒲田行進曲』の世界ですね」と合いの手を入れる。。。。 つかこうへいが、『蒲田行進曲』の撮影で風間杜夫や平田満が厳しく扱われないように、京都の撮影所の人間に仁義を切りに行くとかいう話を「腹黒日記」かなにかに書いていて、誇張しているのだろうと思っていたけど、その中にもリアリティがあるのだなと思った。 職人のこだわり的な話は面白いのだけど、中高年サラリーマンの立場で読むと、後工程の人たちの話に親近感が湧く。 撮影現場に近い人たちは、すごい作品をつくる巨匠的な監督を尊敬しているのだけど、後工程の人々は時間(と予算)を守って淡々と仕上げてくれる監督に敬意をもっている。現場では「あの監督はなあなあだ」などと軽く見られるが、いろいろな人々の要望を適度に聞き入れて80%の完成度に仕上げることに価値があるよね。 あとまあ、この撮影所の感じは「天皇制の縮図」という面もあると思った。 監督がダメでも俺たちがなんとかする。なんなら監督を替えてしまえばいい。…という感じが。
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私はリアルタイムでは、仕事人ぐらいしか観ていない。それでも一時代を築いた人々の証言は興味深く読んだ。力作。
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