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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 小学館 |
発売年月日 | 2022/06/28 |
JAN | 9784093866491 |
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商品レビュー
3.8
36件のお客様レビュー
すごくリアルな設定の中に、ファンタジー要素があり、人生観とか哲学的な考察に深く考えさせられる。白石一文の本領発揮といえるようなすごい小説だった。 パラレルワールドと言ったらいいのか。食品メーカーに勤める功一郎は、愛する娘を事故で失い、妻は精神を病み、人生に行き詰まる。が、ある絵...
すごくリアルな設定の中に、ファンタジー要素があり、人生観とか哲学的な考察に深く考えさせられる。白石一文の本領発揮といえるようなすごい小説だった。 パラレルワールドと言ったらいいのか。食品メーカーに勤める功一郎は、愛する娘を事故で失い、妻は精神を病み、人生に行き詰まる。が、ある絵画を通じて過去に戻り、娘を事故から救い出すことに成功し、娘が死なない世界線の自分として生き直す。 「あの失敗がなかったら」「あの事故さえ起きなかったら」。でもやっぱり人生の幸不幸はそんな単純なものではない。うまく飛び移った先の世界でも功一郎には別の苦難が待っている。 はじめは荒唐無稽なSFみたいに見えた話だが、この小説のすべては、最終盤で人麻呂が語る世界観にあるのではないかと思う。 すなわち、意識的ではないにせよ、何かの手段を使って別の世界からやってきた自分に「弾き飛ばされ」、この世界を「選び取ってきた」存在が自分で、今の環境は自分自身が選んできたものだという。それが永続的に繰り返されている、それが人生の永遠性だという。 もはや哲学的、宗教的な意味あいさえ感じられ、もしかしたらそれがほんとうの世界の成り立ちなのかも、と思わせる。 捨ててきた元の世界には戻れないことがわかるが、なぜならそれは唯一「人生に与えられた無限の可能性を否定することだからね」。後戻りではなく、自分で選んで前に進むしかないのだ。 はあー、深い。読み終わって、誰かと感想を語り合いたくなった。良い映画を観たときみたいに。 ひとつ残念だったのは、義妹の碧が全く好きになれなかったこと。彼女と功一郎が、恋愛になりそうなあぶない感じは、読んでてあんまり気持ちのいいものではなかった。
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悲しくて辛くてたまらない時 自分の生きる道を選び直せたならと思うことがある。 あの時違う道を選んでいたなら、 あの時あんなことをしないでいたならと。 でもね、そうそう上手くはいかないらしい。 この物語の中では、いくら違う道を選び直したとしても 同じだけの総量の困難がちゃんと待ち受...
悲しくて辛くてたまらない時 自分の生きる道を選び直せたならと思うことがある。 あの時違う道を選んでいたなら、 あの時あんなことをしないでいたならと。 でもね、そうそう上手くはいかないらしい。 この物語の中では、いくら違う道を選び直したとしても 同じだけの総量の困難がちゃんと待ち受けている。 そりゃそうよね。 楽しいだけの人生なんてあるわけがないし 辛いこと悲しいことが起きない人なんて いるわけがない。 何度道を選び直したとしても 絶対に手放したくないものを大切に生きて行こうと改めて思うのでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
大学生だった娘の交通事故死から家族は悲嘆に暮れ 一日が無事に終わることだけを考え過ごしている。 ある日、功一郎はスタールの絵画『道』を使い 再び人生のやり直しを試みる。 あの時と同じように。 いろいろな世界を行き来するが そこは、全く混乱することなくスムーズに読み進めることができた。 ラスト、人麻呂の言葉がおもしろかった。 〈移った世界にもともといた自分自身を弾き飛ばす〉 なるほど。 弾き飛ばした自分も飛ばされた自分もそれぞれの世界で生きている。 謎なのが渚の不倫だ。 いい母親である必要は無いけれど。 生きることに執着しているとも思えない。 彼女の何がそうさせてしまうのだろう。 渚がとても気になる。
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