推しが公認ストーカーになりました(5) バンブーC

瀬尾みいのすけ(著者)

• 販売会社／発売会社: 竹書房
• 発売年月日: 2022/06/30
• JAN: 9784801976597

商品レビュー

2022/07/06

若手アイドルにとって禁忌の事態、彼氏疑惑がこのように突然巻き起こってしまいますか……
モコはまだ他者を黙らせるだけの圧倒的な何かを持っているわけではない。それだけにこのような事態になってしまえば抗弁も事態打開も難しい
だからこそ、鍵となるのは一緒に写真を取られた葵になるわけだけど……

普段は大仏フェイスを被るというインパクトバリバリな葵。前巻では中性的な見た目から男性だと確信持てなかったんだけど、やっぱり男性でしたか。それなのに女性アイドルとしてランクインしてしまうのか…

本人としては中性的な見た目と声に嫌悪を抱かずにいられない。でも歌は好きだから自由に歌いたいし、歌える場があるならそれを守りたい
そういった感情からの大仏フェイスか。なら、モコを守るために自分が人肌脱ぐ必要があると判っても踏み出せないというのは納得できる理由

でもそれは決めつけた自分の在り方から脱却しない、足を踏み出そうとしないという意味にも繋がってしまうんだよね
それを空によってアイドル道が変わったまひろが教え諭す流れは良いね

まあ、それにしたってあのタイミングと場面でマスクを取るとは思わなかったけど
あまりにインパクトが有り、モコの問題も霞んでしまうような大ニュース
その状況が場の空気を変える一つの拍手をきっかけにモコに戻ってきて欲しいという願いに満ちていく展開はもしかしたらご都合主義と呼ばれてしまうかもしれないけれど、私はとても好みな展開ですよ

そうして場が整えられるなら、もう一つの問題として浮かび上がってくるのはモコ自身がどうなりたいかという点

歌やダンスは好きだったのにファンが付かないからアイドルを辞めかけていた。その転機となった空が居たからアイドルを続けられて、逆に言えば空の望みに応える事がモコのアイドル道になっていたわけか

そういった意味では今回の事態はモコが自分自身のために、そして大勢のファンのためにアイドルを続けたいと本気で思い直すきっかけとなったんじゃなかろうか？
何よりも空の希望と食い違うかもしれないと想像しつつ、その道を進むと決心したモコは一回りも二回りも成長した気がするよ

そして驚きの人物がアイドルになる展開を挟みつつ、最後に登場した少女はもしかして未登場のルーキーランキング1位の人だったりする……？