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日本の「英文法」ができるまで
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日本の「英文法」ができるまで

斎藤浩一(著者)

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日本の「英文法」ができるまで

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 研究社
発売年月日 2022/05/24
JAN 9784327411060

日本の「英文法」ができるまで

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商品レビュー

4.3

4件のお客様レビュー

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2024/12/18

 現在の「学習英文法」のルーツを探っていくもの。まずは英米で規範文法が成立した過程を追い、その後英語の規範文法をそのまま取り入れるのではなく、日本語と対照させながらいかに日本人に合うような文法へと改変していったか、また特に明治中期以降は英文法を世間や学者がどう評価していたか、とい...

 現在の「学習英文法」のルーツを探っていくもの。まずは英米で規範文法が成立した過程を追い、その後英語の規範文法をそのまま取り入れるのではなく、日本語と対照させながらいかに日本人に合うような文法へと改変していったか、また特に明治中期以降は英文法を世間や学者がどう評価していたか、という話が中心。現在の学習英文法での文法項目がどう扱われ、解説されているのか、という具体的なところまで含む。  まず「サミュエル・ジョンソンは英語の辞書、ロバート・ラウスは文法書」(p.25)というのが分かりやすかった。サミュエル・ジョンソンは結構知ってる有名人だけど、その文法版は、と言われたらロバート・ラウス、ということで、「これにより規範的な英文法が一応の成立を見る」(同)ということだから、英語学史の勉強にとっても大事な人、というのが分かる。それでもやはりこの本でも最も重要なポイントの1つは、「英学」というのは「イギリスの圧倒的な軍事力を前にした敵国研究としての性格が強く、その対象も少なくともその創始期においては、西欧の思想文化や科学よりも、軍事技術に重きが置かれていた」(p.41)、「『英学』とはすなわち『兵学』」(同)、という点だと思う。そして、「このような国防精神でもって著されたのが、日本最初の本格的な英文法書である『英文艦』」(p.42)で、それは「英文法の父」と呼ばれるマレーによるもの、というのも整理しておきたい。だいぶ昔読んだ本で、英語の教材作りなんて編集者と同じ仕事だ、って読んだ気がしたけど、このマレーの文法書が折衷主義的で、「マレーは自著の中で自ら'author'(「著者」)とは呼ばず、'complier"(「編集者」)と読んでいた」(p.47)という部分につながるのだろうか、と思った。そして、話は逸れたが、そういう国防精神が、「英語教授」ではなく「英語教育」を唱導した岡倉由三郎の思想につながっている、ということを押さえないといけない。つまり「日常具体的で自明化された、したがって比較的相対化しにくい『国語』圏からあえて学習者を引き離し、抽象的な思考の世界へと誘う役割を帯びていたということである。そして、このプロセスじたいが、学習者の知性や教養の練磨、さらには国家全体の言語・文化の再認識と想像をもたらす」(p.186)とされ、「守るべき『国語』への架橋・省察(ひいてはそれによる各種の人間的活動の発展への契機)をもたらす点で、日本の防衛と発展にとって好都合であった」(p.187)、つまり英文法は「防衛と発展のために機能する対外的な武器」(同)というのが岡倉由三郎の思想で、これが現在まで脈々と続く思想、ということが分かった。  という上の流れを、英語の教員だったら知っておいて悪くない話だと思うし、こういう歴史を知らずに英語の教育について一家言持つ、というのも、英語の教員としては恥ずかしいことかもしれない。ただ、今の学習指導要領に精通しているということではなく、こういう歴史や背景を知って相対化できるというのは素養として必要だろうと思った。  他にも特に斎藤秀三郎についていろいろ面白かったことがあるが、大きなポイントとしては上で述べたことで、今さらながら英文法の歴史が整理できてよかった。ただ明治で終わっているので、むしろその後のことについて、あらためて知りたい。今手元に江利川春雄の『英語教育論争史』があるので、これを今読み始めたところ。関係ないけど、「穿鑿」(p.134)って漢字読めなかった。センサク。(24/12/17)

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2022/10/31

修士論文と博士論文を一般向けに手直しした本のせいか、全体的にちょっと硬い。舶来の英文法を作り変えた結果、日本の「英文法」が出来上がったという主張がわかりにくい。最終章では、日本の「英文法」が「国語」との関係で語られる。研究をしているひとたちには納得が行くものかもしれないが、一般読...

修士論文と博士論文を一般向けに手直しした本のせいか、全体的にちょっと硬い。舶来の英文法を作り変えた結果、日本の「英文法」が出来上がったという主張がわかりにくい。最終章では、日本の「英文法」が「国語」との関係で語られる。研究をしているひとたちには納得が行くものかもしれないが、一般読者としてはいきなりなものが出てきた印象を与える。

Posted by ブクログ

2022/07/20

幕末期から明治にかけての英語、特に英文法が日本国内でどのようにして出来上がっていったのかに関することが書かれている。 英文法と聞くと、堅苦しいイメージがありますが、昔の日本人、特に英文法を通じて英語を教えていた人たちは、日本の文化を守るために、英語圏と距離をとる形で教えていたと...

幕末期から明治にかけての英語、特に英文法が日本国内でどのようにして出来上がっていったのかに関することが書かれている。 英文法と聞くと、堅苦しいイメージがありますが、昔の日本人、特に英文法を通じて英語を教えていた人たちは、日本の文化を守るために、英語圏と距離をとる形で教えていたという事実。 どんな分野でも、体系的にまとめる作業は、信じられない努力を伴います。このことを改めて知りました。

Posted by ブクログ

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