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評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」 中公文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
| 発売年月日 | 2022/05/24 |
| JAN | 9784122072145 |
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評伝 ナンシー関
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評伝 ナンシー関
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商品レビュー
3.9
9件のお客様レビュー
知人友人の証言や残された作品から生前のナンシー関を推し量る。『ユニクロ潜入』を書いた横田増生氏の作品。相変わらず熱と勢いのある筆致と綿密な情報収集で楽しませてくれた。 「消しゴム版画の人」「突然亡くなった」「芸能人のコラム」くらいの認識しかなかったのに、読了後本屋でナンシー関を...
知人友人の証言や残された作品から生前のナンシー関を推し量る。『ユニクロ潜入』を書いた横田増生氏の作品。相変わらず熱と勢いのある筆致と綿密な情報収集で楽しませてくれた。 「消しゴム版画の人」「突然亡くなった」「芸能人のコラム」くらいの認識しかなかったのに、読了後本屋でナンシー関を探しだすくらい面白かった。何が面白いって、引用される本人の文章や証言に出てくる本人の言動が抜群に面白い。言葉のセンスが天才的な人だったのだなと。例えば女子校時代、粘着質な英語教師につけたあだ名が「ゲル」。まったく知らない人なのにこれだけでどんな人物か伝わる。辛口のユーモアもある。これだけでだいぶ笑った。 メディアに対するサブカルチャー的な距離感の健全性というものも、ナンシー関のスタンスから改めて認識できた。権威にすり寄るうさんくさい連中をちゃかし、かといって戦ってつぶすのではなく、ただただ対等に自分の目で見て感じたままを言葉にして、自分が面白いと思うものでとことん楽しむ。それがサブカルチャーだったよなと。カウンターではなくて、あくまでもサブ。だからこそ裸の王様を裸だと言える子どもの自由さと健全性がある。本書の副題「心に1人のナンシーを」はそうしたバランス感覚の大切さを言っているのだと、自分は読んだ。 現代はSNS時代で敵が味方しかおらず、資本主義にエキスを吸われたサブカルチャーの抜け殻みたいなものばかりで、本当に無用で、無用だからこそ面白いサブカルチャーの生きる余地がない。その意味では、令和日本はナンシー関が生きた時代より大日本帝国の方がメンタリティ的に近いのだなと、しみじみ思った。四半世紀も前に亡くなっているナンシー関を通して現代の姿すら見えてくる。すごかった。 ナンシー関が実は弱視で、普段は人の顔すら見えなかったというのもなぜか納得してしまった。見えない人は心の目を持っている。こんな世の中になっても、ナンシー関のような、心の目で世の中を見る人の言葉をだれもが待ち望んでいる気がする。もちろん権力者以外だが。 テレビが好きじゃないからナンシー関の書籍も無縁だと思い込んでいた過去の自分がくやしい。 ちなみに、ナンシー関が亡くなって途方に暮れたという宮部みゆきの言葉も面白かった。「こんなもんでよかんべ精神」とか、ナンシー関が書く芸能人をほとんど知らないのに文章力だけで惚れこんだとか、いちいち面白い。
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現在のサブカル文脈でナンシー関から影響を受けてない人はいないだろう。ナンシーという巨星がいかに生まれ輝いたのか、同じ時間を共有できた人はどれほど幸運だったろう。いとうせいこうやみうらじゅん、リリーフランキーから、下赤塚の文房具屋まで、羨ましい限りだ。
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しばらく前に読了したきり感想を書けずにいましたが、「今年読んだ本の感想は今年のうちに」と思い立ちましたので書きます。 本書の「心に一人のナンシーを」という副題を見て、もう20年以上前から私の心の片隅にはナンシーが棲み着いていたのかも、と気づきました。 あのテレビや芸能人、世情に対...
しばらく前に読了したきり感想を書けずにいましたが、「今年読んだ本の感想は今年のうちに」と思い立ちましたので書きます。 本書の「心に一人のナンシーを」という副題を見て、もう20年以上前から私の心の片隅にはナンシーが棲み着いていたのかも、と気づきました。 あのテレビや芸能人、世情に対する鋭い批評眼と文体にはとても到達できる気がしませんが、テレビ番組などを少し違う目で見て考えようとする癖がついたのは彼女のおかげだと思っています。 ただ、違う角度で考えようとしても、つい「作り手側の視点」とか余計なことを慮ってしまうのが現実です。 ナンシーのすごさは、番組の作り手や出演者に無用な慮りをすることなく、容赦なく批評で斬り続けたことにありました。 本書に、斬られた芸能人が歩み寄ろうとしても受け付けなかったとの記述がありましたが、それはなかなかできることではないと思うと同時に、彼女の本質の心優しさに根ざす行動でもあったと思うのです。 「時の人」の出現・出没範囲が旧来の放送界だけではなくSNS、動画といったネット界にも広がっている2020年代に、もしナンシーが生きていたならどこまでカバーできていたでしょうか? また、メジャーな雑誌に連載を持ってからも、ご意見番ではなく在野のスタンスを保とうとし続けた所に彼女の魅力があったと個人的には考えていますが、SNSや動画さえ使いこなせれば誰もがご意見番を気取れてしまう今の世界をどう批評して斬ってくれただろうか? そんなことを考える瞬間が今も時折あります。だから私は、心の片隅のナンシーを決して見失うまいと留め続けているのかも知れません。
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