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大惨事(カタストロフィ)の人類史
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東洋経済新報社 |
発売年月日 | 2022/05/20 |
JAN | 9784492371312 |
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大惨事(カタストロフィ)の人類史
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商品レビュー
3.3
4件のお客様レビュー
戦争・疫病・自然災害といった出来事を振り返りながら、これらを繰り返してしまう人間の本質に迫る大作。 手に取るだけでズシンと重みを感じ、数分で手が痺れるため、通勤電車の中ではとても読めない。また、本書では多数の有史上の出来事が紹介されているが、世界史の知識が欠落していたため、wi...
戦争・疫病・自然災害といった出来事を振り返りながら、これらを繰り返してしまう人間の本質に迫る大作。 手に取るだけでズシンと重みを感じ、数分で手が痺れるため、通勤電車の中ではとても読めない。また、本書では多数の有史上の出来事が紹介されているが、世界史の知識が欠落していたため、wikiでところどころ調べながら、毎晩寝る前に亀のようなペースで読み進めた。結局2か月かけて読了。この2か月、読書ペースが完全に滞り、正直ストレスを感じたが、読み応えはあった。 筆者によると、時代と共に技術の革新が起こり、人間はネットワークを強化しながら行動様式を効率化させるため、パンデミックは無くならないという。技術とパンデミックの「いたちごっこ」である。 そして拡大を続ける組織や権力が突然の「事件」であっさり崩壊する事例も多数紹介されている(ローマ帝国、ブルボン朝、ナチス、ソ連など)。崩壊する対象が大きければ大きいほど、その破滅に伴う「被害」は甚大なものとなる。 破滅というのは人間の欲望を最大化させるための活動に対する当然の報いなのだろうか。まるで神話のようだが、これほど徹底して「文明の脆弱性」という本質に迫る解説を受けると、リアリティーを強く感じる。新型コロナ&ウクライナ戦争&米中対立の行きつく先は、100年前のスペイン風邪&第一次大戦&ロシア帝国崩壊のパターンとは異なるにせよ、恐ろしい何かが直前に迫っていることを感じさせる。 小市民としては、杞憂はほどほどにしつつも、歴史に学びつつ、日々を大事に生きるしかない。 本書の最後には、何冊かディストピア小説の紹介もあり、苦労して読んだ身としては「ご褒美」のようなイメージを受けた。
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ボリューミィな歴史学。 本書では為政者、特に近年の大国の為政者を痛烈に批判する。 それだけではなく、たとえばコロナパンデミックを少数の邪悪な大統領と首相の愚策によるもののような報道をした機関のことも。 まさにコロナパンデミックの渦中にいる私たちは、本書をよく読み込むことが必要だろ...
ボリューミィな歴史学。 本書では為政者、特に近年の大国の為政者を痛烈に批判する。 それだけではなく、たとえばコロナパンデミックを少数の邪悪な大統領と首相の愚策によるもののような報道をした機関のことも。 まさにコロナパンデミックの渦中にいる私たちは、本書をよく読み込むことが必要だろう。 また、各地で起こるホットウォー(武力を用いて互いに血が流れる「戦争」のこと)についても関心を高める必要があるだろう。 本書中で心に残るのは、ユドコウスキーの言葉を引用したもの。 503頁に記載されるそれは、世界を破壊するのに必要な最低限のIQは、1年半ごとに1パーセントポイント下がる、というムーアの法則の修正版について示す。 かつてリスクは一部の人を規制すれば良かったが今では多くの人の手、つまり、私にも、あなたにも握られている、というのは恐怖でしかない。 第8章の「惨事に共通する構造」は本書の中では最も面白く、また興味深いテーマだった。 失敗が起こる箇所は中間層にあることが多い、とか、管轄権の重複や責任の所在の不明瞭さ、過度に複雑な規則が失敗を招くという事実は、心得ておくべき事項だ。 ヒンデンブルク号、タイタニック号、チャレンジャー号など、既に知られている大きな事故が題材となっており、身近に感じられる。 私自身も安全を第一にする場所に勤めているので、その悲劇は人ごとではない。 自分にひきつけて考える、それができれば大惨事は軽減されるのかもしれない。 であれば、私たちはまず何から始めれば良いのか。 破滅させようとする知性に対抗するためには、知っておかねばならない。 本書が語る、大惨事とは何かを。 そして何をなすべきかを自ら考えるべきなのだ。
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・前半は少し冗長な印象だが、これは自分の歴史的な基礎知識が不足しているからかも知れない。その証拠に、1970年代以降に入って、自分にとって馴染みのある名前が出てくるようになると興味深く読み進められるようになった(苦笑)。 ・人類史における惨事というのは戦争と疫病。それ自体は新し...
・前半は少し冗長な印象だが、これは自分の歴史的な基礎知識が不足しているからかも知れない。その証拠に、1970年代以降に入って、自分にとって馴染みのある名前が出てくるようになると興味深く読み進められるようになった(苦笑)。 ・人類史における惨事というのは戦争と疫病。それ自体は新しい知見ではないが、本書の特徴はどこにあるんだろうか? ・惨事の原因は、たとえそれが天災であってもこれだけネットワーク構造が発達した社会にあっては必ず人災の側面を持つと主張しつつ、だからと言って、トップ(大統領とか首相とか)にすべての責任を負わせるのは正しくないといい、安直な犯人探しに偏る報道の仕方に警鐘を鳴らす。「惨事で失敗が起こる箇所は上層部(「後方」でも「前線」でもなく)、中間管理層の中にあることが多い(第8章)」、つまり文字通り、事件は現場で起きるわけだ。そして、ネットワーク構造と官僚制の機能不全についての理解を、今以上に深める必要がある、とするのが本書の特徴ということになるだろう。特に「官僚制の機能不全」と言うのは、安直な魔女狩りに陥ることなく、正しく、そしてより善く解き明かしたいところだ。 ・また、今のコロナ禍で、効率的な対応には全体主義が有効というような説も出てきているが、過去の大惨事には、全体主義によって引き起こされたものもあることを忘れてはいけないと指摘する。ましてや、今のテクノロジーは、既に強烈な監視システムを構築できるわけで、その危険性と、来たるべき惨事に対して備えるために、SF的想像力が大切だと力説を始める。本書の最終章辺りは、SFのオンパレード(HGウェルズからディック、「ニューロマンサー」から、何と「三体」まで!)。「SF作品は私たちが未来について明確に考えるのを助けるうえで、重要な役割を果たすことができる。(P516)」とかなりの推し具合だ。 ・「今日のアメリカや世界を中国がどう見ているかについて最も深く知る手掛かりとなる本」として「三体 黒暗森林」を挙げているのには驚かされた。確かに、そこで描かれていた宇宙の公理は印象深かったが、それを「今の中国の世界観」にまで敷衍するとは、慧眼なのか、こじつけなのか。いずれにせよ、結果としてファーガソンの歴史本が好きな層に、最新のSF状況をアピールして寄与するところ大だ。素晴らしい! ・オーウェルの「1984」なりハクスリーの「すばらしい新世界」が出てくるのは定番として、ザミャーチンの「われら」に特にスポットをあてているのにも少し驚かされた。この本については、ちょっと描写的によく理解できない箇所がありつつ、自分は不思議な印象を持っているのだが、なぜ、わざわざザミャーチンを推すのかと思わんでもない。「習近平が支配する中国からは、エヴゲーニイ・ザミャーチンの非凡な小説『われら』が、ますます頭に浮かぶようになる。(P511)」とのことだが、これは中国に対するファーガソンの視点が少し偏っていることを示唆しているかもと感じた。
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