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戦後日本の安全保障 日米同盟、憲法9条からNSCまで 中公新書2697
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/05/23 |
JAN | 9784121026972 |
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戦後日本の安全保障
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商品レビュー
4.7
11件のお客様レビュー
ウクライナ紛争だけでなく、イスラエルとハマスの戦い。 私達も、対岸の火事とせず「安全保障問題」に真摯に取り組むことが求められる現代。 本書は、日米同盟/防衛大綱/NSC(国家安全保障会議)のテーマから構成される。 【学んだこと】 〇 日米同盟に関して ⇒米韓同盟と日米同盟は両...
ウクライナ紛争だけでなく、イスラエルとハマスの戦い。 私達も、対岸の火事とせず「安全保障問題」に真摯に取り組むことが求められる現代。 本書は、日米同盟/防衛大綱/NSC(国家安全保障会議)のテーマから構成される。 【学んだこと】 〇 日米同盟に関して ⇒米韓同盟と日米同盟は両輪。個別的自衛権よりも、集団的自衛権が本来の側面であること(モノの提供・人の提供だけでなく、日米の互恵関係を、今後どう築くか) 〇 防衛力整備の流れ ⇒米ソのデタント(緊張緩和)状態下での防衛力整備(脱脅威論)から、現在は、相手の能力と脅威に着目した防衛力整備(脅威論)に移行。 〇 NSC(国家安全保障会議) ⇒意思決定の在り方、速度を上げる必要あり。 【総括】 安全保障を理論的に理解することに有用な一冊。 (ただ、もう少し図示化した説明が欲しくなりますが・・) 国際法・国連の機能停止を目の当たりにする現代。将来の日本の在り方とは? これからも、考えていきたいと思います。
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1章は日米安保条約で、自助及び相互援助をなす国とのみ対等な相互防衛条約を結べるとしたヴァンデンバーグ決議により、当初は片務的だったこと、朝鮮密約や吉田アチソン交換公文と朝鮮国連軍と日本との関係、極東1905年体制を受け継いだ米国にとって日米安保条約はただの二国間基地条約ではなく極...
1章は日米安保条約で、自助及び相互援助をなす国とのみ対等な相互防衛条約を結べるとしたヴァンデンバーグ決議により、当初は片務的だったこと、朝鮮密約や吉田アチソン交換公文と朝鮮国連軍と日本との関係、極東1905年体制を受け継いだ米国にとって日米安保条約はただの二国間基地条約ではなく極東地域に開かれた同盟であること。2章は憲法9条で、軍国主義の原因と考えられた天皇制を守るために捨て石として戦力不保持を謳ったこと、要塞化した沖縄の米軍で日本を守ることを前提としていたこと、自衛隊の合憲性を説明する必要最小限論の基準とされた可能性がある集団的自衛権の制限、必要最小限論と芦田修正論と小沢理論。3章は防衛大綱で、四次防衛力整備計画が財務省にメタメタにされてもう作るのやめたってなった時に、内局がデタントの影響と経済成長率の低下とを受けて生まれた脅威対応型ではない基盤的防衛力構想と合わせてできたのが防衛大綱。制服は脱脅威論に猛反対していた。だが1985年に中期防で五年計画が復活、基盤的防衛力構想は維持したまま脅威対抗論的解釈がなされるようになった。その後1992年版防衛白書で11年ぶりに基盤的防衛力構想の言葉が出現し、冷戦後の防衛力整備の古証文とされた。4章のガイドラインでは日米共同軍の指揮権を誰が持つのかという話で、ここでも日米、米韓の同盟軍が一体になり得た話とか。5章はNSCで、日本は閣議以外で行政府の意思決定はできないので日本のNSCは審議機関であり、本家のアメリカNSCとは違う。ポジティブコントロールの四大臣会合の任意的諮問事項とネガティヴコントロールの九大臣会合の必要的諮問事項の違い。
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思った以上に好著。内容が重複する部分が多々あるが、内容自体が自分にとって新規だったので気にならなかった。 日米安保→物(基地)と人(米軍)の協力である条約には極東条項があり、事前協議があるが、朝鮮密約/吉田アチソン交換文により国連軍を介して米韓同盟/台湾関係法と有機的に結合し、...
思った以上に好著。内容が重複する部分が多々あるが、内容自体が自分にとって新規だったので気にならなかった。 日米安保→物(基地)と人(米軍)の協力である条約には極東条項があり、事前協議があるが、朝鮮密約/吉田アチソン交換文により国連軍を介して米韓同盟/台湾関係法と有機的に結合し、1905秩序の一機能となっている。この現実を無視して外部と線引きを行うことは不適と主張する。 憲法9条→従来天皇制の身代わりに脱軍国主義の象徴となった9条は、自衛隊設立の際必要最小限度解釈の捨て石として集団的自衛権を違憲とした。その手品がガラパゴス化し、2015の限定行使容認に繋がる。憲法学を勉強すると、日本の憲法学者はこうした歴史的経緯を踏まえることなく文理解釈に拘っているように見える。国際基準からも乖離しているため改革が必要だろう。 防衛大綱→予算を獲得するための基盤防衛力構想(独力対処/拡大/地理的均衡)は、脱脅威論と脅威対抗論の両方に解釈できる虫の良い構想として長らく活用されてきた。その後、防衛力整備と運用の緊張関係の中で変遷した。 ガイドライン→人(自衛隊)と人(米軍)の協力。有事の指揮権統一に係る問題。日米は指揮権並立だが、米韓は指揮権統一である。指揮権統一を通じて米日韓が統一されるのは一国平和主義から許容できなかった。こうしてみると朝鮮情勢が日米の安保体制に大きく影響を与えることがわかる。 NSC→再軍備を伺う改進党と吉田茂の軋轢の中で、国防会議は旧軍を排除した「文民統制確保の為の慎重審議」の場として成立した。あくまで自衛隊のネガティブコントロール審議機関のため、危機管理等の追加で歪な構造になった。 この本を読んだ時に想起したのが、鎖国令/大船禁止令/田畑勝手造の禁である。どれも制度趣旨が忘れられ、歪な形で継承された。戦後日本も同様の事態となっている。鍵となるのはこうした研究や公文書の開示であろう。アーネストメイの言うように歴史家の知見が正しく活用されれば、制度改革にも弾みがつく。 また、個人的に日本の安全保障の法的障壁は芦田修正で全て解決できると思っていたが、そのハードルすらも高いという現実を思い知らされた。政府当事者はどう考えているのか、いつか考えをぶつけてみたい。
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