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漢字ハカセ、研究者になる 岩波ジュニア新書
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漢字ハカセ、研究者になる 岩波ジュニア新書

笹原宏之(著者)

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漢字ハカセ、研究者になる 岩波ジュニア新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2022/03/22
JAN 9784005009503

漢字ハカセ、研究者になる

¥550

商品レビュー

4.3

6件のお客様レビュー

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2023/12/27

小さいときから漢字は好きではなかった。 たとえば近畿地方の「畿」。糸の上の部分とか田とかを1つの文字になぜ詰め込まなければならないのか、もっと簡単にできないのかと思っていた。大学で中国語の履修をしたとき簡体字がうらやましくて、私も「言(ごん)べん」を手書きするとき7画で書くのが邪...

小さいときから漢字は好きではなかった。 たとえば近畿地方の「畿」。糸の上の部分とか田とかを1つの文字になぜ詰め込まなければならないのか、もっと簡単にできないのかと思っていた。大学で中国語の履修をしたとき簡体字がうらやましくて、私も「言(ごん)べん」を手書きするとき7画で書くのが邪魔くさくて簡体字のように略して書いたものだ。一方で、日本人は漢字を簡略化したカタカナやひらがなを発明しており、漢字の簡略化には歴史上でも実績があるのだから、現代でも漢字を日本人なりに簡略化した第三の「かな」の発明は可能なのではとも思ったりした。 いや、こう書くと、私がただ単に漢字の画数を減らすべきだと主張しているように見えてしまう。そうでなくて私が言いたいのは、ほぼ無制限に広がっている漢字使用法の“交通整理”だ。でもその思いとはうらはらに、私の漢字への疑問は社会人になってパソコンなどを文章作成で日常的に使うようになってから、つまりJIS文字コードによる第一水準、第二水準等への振り分けが適用されてから最大化した。 ――なぜ「近」や「遠」は点が1つのしんにょう(之繞)なのに「辻」は点が2つなのか? なぜ、横棒がななめになった「芦」が上位の水準で、書き文字で一般的な「草かんむりに戸(横棒が真横)」の字が環境依存文字なのか? なぜ人名では士(下の横棒が短い)に口の「吉」と同じくらいの頻度で、土に口という下の横棒のほうが長い字が使われているのか?2つは別の文字なのか?また、はしごだかと言われる「高」の字や、立つさきと言われる「崎」の字が標準文字と並んで存在する意味はあるのか?私はただ単に昔の手書き時代の戸籍係が人名に使う漢字を深く考えずに自分の癖のままに戸籍に記載した結果、誤用された文字が一般化してしまい今に至ると思っているが。 以上から、私は「漢字ハカセ」にこれらの疑問をすっきりと整理してほしいと、この本を読む前には考えていた。 だが著者のアプローチ方法は、そういうものとは異なっていた。著者は漢字の複雑かつ多岐な利用実態に日本人が積み上げてきた多彩な歴史的背景を見いだし、興味をふくらませ、混然とした状態の使用法を著者独自の視点から体系化しようとした、というほうが正しいと言える。つまり、私が誤用ではとして挙げた使用法も含めて漢字の使用実態を正確に把握したうえで、取捨選択して一定の合理性が見いだせれば受容すべきというスタンスだ。 もちろんその受容へのプロセスは簡単ではない。この本では著者が中学生のころの漢字との趣味的な付き合いから始まって、一生涯付き合っていく仕事として漢字を受け入れ、カタカナの「ハカセ」から名実ともに「博士」へと歩む道のりが、中高生向きにやさしい文体で書かれている。その中でも著者が関心をもった「国字」についての記載は特に興味深い。 国字とは、中国由来ではない、日本で作られた漢字だ。国字一覧表はネットで簡単に見ることができる。私が出会った人で苆野さんという方がいた。「苆」ってどう読むの?「きり」?調べると「すさ」と読む国字だと知った。ちなみに著者の名字の「笹」も国字だ。これらの竹かんむりの国字といい、蛯や鰯などの生き物を表す国字といい、花鳥風月を表す文字が目に付くのは日本ならではかもしれない。 もう1つ、本書の内容で私が興味をもったのが、著者が中学生くらいのときに「当て字」の使われ方を町じゅうから探していたというくだり。ちょうどそのころYMOが台頭してトンプーという曲名に「東風」を、ライディーンには「雷電」を当てたりしているのや、暴走族がその名称に難読漢字を当てているのにも興味を示してノートに書きためていたらしい。その暴走族というので私も思い出したことがある。何年も前だが、工事中のフェンスに黒ペンキみたいなもので「神怒閥斗」と書かれていたのを見た。「シンドバット」と読むのだろうけれど、当時は「うまい!」と感心(?)した。ぜひ著者の当て字コレクションに加えてほしい。 以上、レビューという性質からやや逸脱した私の趣味満載の文章になってしまったが、これで興味がわいた人は、この本も十分楽しめるはず。

Posted by ブクログ

2023/06/29

〇新書で「学校生活」を読む⑦ 笹原宏之『漢字ハカセ、研究者になる』(岩波ジュニア新書、2022年) ・分 野:「学校生活」×「人生を読む」 ・目 次:  はじめに  1.蛸と鮹――マンガのタコと辞典のタコ  2.秋桜と書いてコスモス――こんな当て字は許せない  3.〓、囍、...

〇新書で「学校生活」を読む⑦ 笹原宏之『漢字ハカセ、研究者になる』(岩波ジュニア新書、2022年) ・分 野:「学校生活」×「人生を読む」 ・目 次:  はじめに  1.蛸と鮹――マンガのタコと辞典のタコ  2.秋桜と書いてコスモス――こんな当て字は許せない  3.〓、囍、靏――全一三巻『大漢和辞典』にもない漢字  4.脣から唇、膚から肌へ――当用漢字から常用漢字へ  5.早慶は〓〓――大学生活で出会った漢字  6.〓――俗字や国字は、何かしっくりくる  7.腺、濹の追跡――個人文字の広がり  8.妛、腥――幽霊文字、人名用漢字と向き合う  9.粁、蛯――博士論文と北海道の蛯天丼  10.麺、混む――時代とともに「常用漢字」も変わる  おわりに ・総 評  本書は、漢字の魅力に取りつかれた少年が「漢字学者」として研究者の道を歩むまでの半生を語った本です。著者は早稲田大学の教授で、漢字――特に「国字」研究の第一人者として知られています。  小学生時代に漢字を“好き”になった著者は、多くの漢字を覚えている「漢字ハカセ」から、やがて漢字を“研究”する「漢字学者」になります。本書では、自分の“好き”を仕事にするために必要なスキルや考え方を紹介しています。この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。 【POINT①】漢字人生のスタートは「タコ」だった?  著者が漢字に興味を持ったキッカケは、小学校時代に、たまたま友人が「蛸」という字を黒板に書いたことでした。少し前にマンガで「鮹」という字を見ていた著者は違和感を覚え、家の漢和辞典で調べると、どちらでもいいことを知ったのです。こんな「たわいもないこと」が「人生を決定づけた漢和辞典との運命的な出会い」となり、そこから「漢字博士」への道が始まることになります。こうした経験から、著者は「何が人生や世の中に役に立つのかは、最初の時点ではほぼわからないもの」であり、だからこそ「好き嫌いせず何にでも関心をもつようにするのがよい」と指摘しています。 【POINT②】漢字を「研究」するということ  中学校時代までの著者は、珍しい漢字の「収集と分類整理」に没頭していましたが、高校生になると、漢字を「研究」するという意識を持ち始めます。即ち、漢字を研究対象として「観察したり実験したり関連事項などを調査したりし、そこにかくされた事実を考察、分析によって解明する」ことを目指したのです。さらに大学では、指導教授から研究における“だから”の重要性――具体的な事例から法則性・一般性を導き出す視点――を教わります。こうした学びを経て、著者は漢字そのものより、その漢字を「人々はどのように使ってきたのか」という点に関心を持つようになったと指摘しています。 【POINT③】エビ=海老or鰕or螧or蛯 ?  漢字の研究について、著者は「一つの用例は点に過ぎませんが、二つあれば線が引けます。三つになれば面が素描できます」と述べています。例えば、国字(和製漢字)である「蛯」に関して、著者は奈良時代以前の用例も踏まえながら、古くから日本で使われていた「海老」と中国から伝わった「鰕」の字が合わさって「螧」という文字が生まれ、そこから江戸時代に「蛯」という字が派生したことを明らかにしました。このように、多くの用例を収集して分析・考察することで、そこから「時代差、地域差、集団差・個人差」を明らかにすることができると指摘しています。  自分の“好き”を研究する場合、単なる「収集と分類整理」から一歩踏み出し、それらの事例を分析・考察することで、世に知られていない「かくされた事実」を明らかにすることが必要です。本書では、著者がこれまでに行ってきた研究を振り返りながら、実際にどのような視点で分析・考察を進めてきたのかを紹介してくれています。研究者という仕事に興味がある人には、是非、手に取ってほしい一冊です。 (1269字)

Posted by ブクログ

2022/06/08

漢字に取りつかれ、子どものころに漢字ハカセと呼ばれていた著者が博士になる過程が書かれています。 地道で気の遠くなるようなサンプルの収集に研究することの大変さと、当て字や地名、常用漢字表の在り方について知ることができます。 岩波ジュニア新書なので、小学校高学年から高校生向きの本で...

漢字に取りつかれ、子どものころに漢字ハカセと呼ばれていた著者が博士になる過程が書かれています。 地道で気の遠くなるようなサンプルの収集に研究することの大変さと、当て字や地名、常用漢字表の在り方について知ることができます。 岩波ジュニア新書なので、小学校高学年から高校生向きの本です。中・高の受験問題になりそうな内容です。 論文に取り組んだ時の詳細も書かれているので、論文ってどう取り組んだらいいのか、と悩んでいる大学生も読んで欲しい1冊です。 811

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