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ソーニャ、ゾルゲが愛した工作員 愛人、母親、戦士にしてスパイ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/02/21 |
JAN | 9784120055065 |
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ソーニャ、ゾルゲが愛した工作員
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商品レビュー
4.3
5件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
書棚から、コミック『瞬きのソーニャ』でロシア人体兵器の主人公と同じ名前というだけでこの本に気づき、日本語タイトルが野暮ったいながらも興味が湧いたので借りて読んでみた。 ちょうど大好きな第二次世界大戦のドイツのジェノサイドが起こる少し前から活躍したソビエトの諜報員の物語で、実話を調査して書かれており、ドイツがいかにしてナチ政権を取り、ユダヤ人迫害をはじめヨーロッパを次々に侵攻、独仏休戦協定、独ソ不可侵条約、狡猾な政治戦略を経ての第二次世界大戦と激動の時代。家庭と子育てをしながら恋人と戯れながらも優秀なスパイ活動を続けるというまさに史上稀にみる人物、それがウルスラ・クチンスキーだ。 009やミッションインポッシブルのような派手なアクションはなく、ただひたすら情報を集めて極秘裏に無線でソビエトに送受信するだけなのだが、その情報の集め方や、身の隠し方、周囲の人々との付き合い方が緻密で、人的にも恵まれた才能だったのだろう、彼女を裏切る人がいなかったのが何より素晴らしい。まぁ、最大にして最寄りの人物に最後裏切られてしまうシーンはハラハラしながら読むことになった。 ただ、ソビエトを何十年も支えたこのスパイの活躍が、今のプーチン政権に及ぼした影響はいかほどのものなのか...彼女も理想と現実を知り絶望したとあるが、正にスパイ活動の大義名分は地に落ちて、今のウクライナ侵攻を思う。 後年、彼女は自分の正体をバラし、その活動記録を小説化したことにも驚きで、大失態をやらかしたイギリスMI5に同情してしまい笑ってしまった。当時の状況がスパイ目線からすごくわかりやすく書かれており、この本を発行するにあたって相当な資料をひっくり返されたんだろうなと感心した。 読む動機は軽かったけれど、内容は重量級で面白くもあり非常に疲れた。後半のカタカナの洪水に何度ギブアップしかけたことか。 ドキュメンタリーでもあるが十分読みごたえのあるスパイ小説としてもハラハラしっぱなしなので退屈せず読めた。サブタイトルに登場するゾルゲも相当な人物なので、彼だけの小説もあっても面白いんじゃないだろうか。ただ、これらをユルゲンが書き下ろしたら無駄な文章や注釈が入り10巻ぐらいの大作本になるんだろうな笑
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※このレビューにはネタバレを含みます
単行本で480ページのボリュームに怯んだが、中盤以降はページをめくる手が止まらず。今年読んだ本の中で間違いなく上位に入る面白さ。 裕福なユダヤ人一家、クチンスキー家に1907年に生まれたウルズラの物語。ソ連のスパイとして、1928年から1950年まで主に中国、スイス、イギリスで活動。小説のような展開とスリル、ウルズラを巡る人たちのドラマも面白い。共産主義者のスパイというと、冷徹で頑固で、と想像してしまうが、人として魅力的、そして柔軟な考えの持ち主だったらしい。生涯、一度も裏切られたことがなかったのは、その魅力に依るのだろう。 クライマックスは、第二次世界大戦の末期、イギリスで活動していたウルズラは、アメリカとイギリスの原爆開発の詳細を逐一、ソ連へ報告したエピソード。秘密にしていたマンハッタン計画はスターリンに筒抜けで、戦後、アメリカは新兵器の力で世界唯一の盟主になることを目論んでいたが、あっという間にソ連も開発に成功し、米ソ2か国の相互抑止力による冷戦が始まった。 序盤では、ウルズラのチームが、ドイツに潜入し、ヒトラー暗殺まであと一歩に迫るような計画も。少しでも、何かのタイミングや偶然が変わっていたら、歴史は大きく変わっていたに違いない。
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【ウルズラ・クチンスキー・バートンは、母であり、主婦であり、小説家であり、有能な無線技師であり、スパイ網のリーダーであり、秘密文書の運び屋であり、破壊活動員であり、爆弾製造者であり、冷戦の戦士であり、秘密工作員であり、これらの務めをどれひとつおろそかにしなかった】(文中より引用)...
【ウルズラ・クチンスキー・バートンは、母であり、主婦であり、小説家であり、有能な無線技師であり、スパイ網のリーダーであり、秘密文書の運び屋であり、破壊活動員であり、爆弾製造者であり、冷戦の戦士であり、秘密工作員であり、これらの務めをどれひとつおろそかにしなかった】(文中より引用) 共産主義を奉じ、上海、ジュネーブ、そしてロンドンなどで比類なき工作を行った「ソーニャ」ことウルズラ・クチンスキー。ゾルゲとの恋仲も指摘される人物の知られざる生涯に光を当てた作品です。事実は小説よりも奇なりを地で行く展開に驚嘆させられっぱなしの読書体験でした。著者は、スパイ関係の傑作ノンフィクションを多く世に送り出しているベン・マッキンタイアー。訳者は、歴史ものの翻訳も手がける小林朋則。原題は、『Agent Sonya: Moscow's Most Daring Wartime Spy』。 相変わらずの重厚さでしたが☆5つ
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