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イマジナシオン 新鋭短歌シリーズ
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イマジナシオン 新鋭短歌シリーズ

toron*(著者)

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イマジナシオン 新鋭短歌シリーズ

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 書肆侃侃房
発売年月日 2022/02/14
JAN 9784863855076

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商品レビュー

4.3

9件のお客様レビュー

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2024/07/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

眠れない。 いや、眠れるのだがすぐに起きてしまう。 目が覚めて枕元のスマホをタップすると2時とか3時はざら。 それでも4時、5時くらいまでは布団に横なりつつ微睡むのだが、いい加減中途半端加減が嫌になり、こそこそと活動を始める。 そうして読みだした本書『イマジナシオン』(フランス語で想像、仮想の意)。 家族はみんな眠りの中、間接照明を灯した暗がりで、ひっそりと読み進める。 そんな集中時間、無時間性の中だったためかこの幻想性を存分に堪能できた。 昨今の短歌人気を支える口語体のわかり易い歌。 誰もが経験している、日常の場面をくすりとさせるような表現ではっとさせる。 だけでは済まない。 口語体の歌に接すると、その分かり易さに惑わされ、「なるほど~、そういう風に切り取るのね~、面白い!」と思い、自分も1首2首くらいだったら、熟考、推敲すればキラリと光る歌が詠めるのではと思ってしまう。 (勿論思い上がりもいいところで、全然浮かばない。。) でも、toron*さんの歌には圧倒される。 この世界観は無理。 この組合せ、この比喩は、解説山田航さん言うようにまるで魔法。 それでいて、あぁ分かるという共感も湧くのがほんと不思議。 ○ねむるとき目蓋のあとに閉じてゆくプラットホームの柵らしきもの ○掃除機をかけるあなたが口ずさむそれはわたしの歌だったのに ○その喉に青いビー玉ひと粒を隠して瓶はきっと少年 ○にんげんじゃないのがばれてしまうからきみに教わる虹の配色 ○好きそう、とあなたが買ってきてくれるパンことごとくわんぱくなパン ○冷ややかに星は輝く何ひとつ為し得なかった日の黒ラベル ○くるぶしに桜の香水吹きつけるきみはマスクで来ると知りつつ ○記憶野は珊瑚のようにほろびつつ祖母の瞳のどこまでも凪 ○理科室で凝固融解蒸発し昇華してからふたりは変ね ○群青の火が点くように起立するきみらに最後の校歌を弾くよ 好きな歌は尽きない。

Posted by ブクログ

2024/05/26

歌人toron*の第一歌集。実は、俺が短歌を始めた頃に日本経済新聞の短歌投稿欄の日経歌壇に掲載されていた著者の短歌を読んだことがある。とてもいい短歌で、5552のこの歌集のレビューを読んで更に気になって歌集を読んだ。 短歌にしているテーマは誰もが経験するような身近なものが多いが...

歌人toron*の第一歌集。実は、俺が短歌を始めた頃に日本経済新聞の短歌投稿欄の日経歌壇に掲載されていた著者の短歌を読んだことがある。とてもいい短歌で、5552のこの歌集のレビューを読んで更に気になって歌集を読んだ。 短歌にしているテーマは誰もが経験するような身近なものが多いが、そんな身近な事柄を短歌によってドラマチックな世界に変える。そんな力のある短歌が多いと感じた。 57577の定型に忠実な短歌が多く、「短歌ってどんな感じなんだろう」と思っている人が最初に読む歌集としてもおすすめしたい。いくつか短歌を紹介したい。 果てしない夜をきれいに閉じてゆく銀のファスナーとして終電 神さまが通り抜けるのにふさわしいきれいな五円玉えらぼうね 露店より買う万華鏡たわむれに街を破片にしてみる日暮れ 噴水で待ち合わせては待つあいだ一生分の虹を見ていた 時差を越え夜のはじまる国へゆくわたしが数え終わったひつじ はつ雪と同じ目線で落ちてゆくGoogleマップを拡大させれば この夏で最後だという先輩のスリーポイントの弧のうつくしさ (スリーポイントというのは、バスケットボールのスリーポイントシュートの略で、引かれている線の外からシュートを決めると3点入る。通常は2点)

Posted by ブクログ

2024/03/25

5552さんのレビューを拝読してから読みたくて読みたくて。 レビュー拝読の際も感じていたけれど、この歌集ヤバい! ドラマチックで、眩しい程の透明感が美しくて、いい歳の私でさえキュンとした。 ページを捲ればどの歌も素敵で惚けてしまう 笑 不思議な感覚なのだけど、ポジティブな歌もネガ...

5552さんのレビューを拝読してから読みたくて読みたくて。 レビュー拝読の際も感じていたけれど、この歌集ヤバい! ドラマチックで、眩しい程の透明感が美しくて、いい歳の私でさえキュンとした。 ページを捲ればどの歌も素敵で惚けてしまう 笑 不思議な感覚なのだけど、ポジティブな歌もネガティブな歌も、絵本のようにそのシーンが浮かぶ歌集だった。 ただ、寺山修司の『地獄編』が引用された「Ⅳ」は難しかったけど。 解説で山田航さんが詠み手のペンネームについて「苗字も名前もない。性別も国籍もいまひとつわからないこのペンネームこそが、「私はあなたである」という読者へのメッセージ」と仰られていたのが印象深い。 一番好きだったのは、 「果てしない夜をきれいに閉じてゆく銀のファスナーとして終電」 その他に幾つかご紹介。 「露店より買う万華鏡たわむれに街を破片にしてみる夕暮れ」 「花びらがひとつ車内に落ちていて誰を乗せたの始発のメトロ」 「ぎんやんまみたいに頬に触れるからしばらくわたしは静かな水面」 「青空の彩度が高い 更新を止めたInstagramのなかで」 「三面鏡じっと見つめてそのなかでいちばん強いわたしを選ぶ」 「大丈夫、全然大丈夫だからさ。主役みたいに照らすなよ月」 「いずれ夜に還る予約のようである生まれついての痣すみれ色」

Posted by ブクログ

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