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ANTHRO VISION 人類学的思考で視るビジネスと世界
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日経BPM |
発売年月日 | 2022/01/26 |
JAN | 9784532324483 |
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商品レビュー
4.1
19件のお客様レビュー
人類学の方法論と思考法の有効性を説く。 異文化理解を旨とする人類学的思考が、異なる文化圏でのビジネス展開に役立つとか、感染症を分析するのに資するとか、そういった実践例だけでも十分に面白い。 でも本書の面白さはもっと先に進んでいて、広範に未知の領域への探求法として人類学の手法を応...
人類学の方法論と思考法の有効性を説く。 異文化理解を旨とする人類学的思考が、異なる文化圏でのビジネス展開に役立つとか、感染症を分析するのに資するとか、そういった実践例だけでも十分に面白い。 でも本書の面白さはもっと先に進んでいて、広範に未知の領域への探求法として人類学の手法を応用するということだ。 「経済や金融のことなどさっぱりわからず、専門用語はあまりに理解不能で退屈で、放り出したくなった。(中略) だがしばらくして、そんな自分の反応は主に恐れと偏見から生じていることに気づいた。大学では人類学を専攻する学生は、金融業界を志す学生とは異なる社会的「部族」に属しており、後者の使う言葉は私にはまるでわからなかった。そうした文化的ギャップを飛び越えるには、人類学者と同じようなスキルが必要だった。 2008年に金融危機が勃発した後、イギリス人ジャーナリストのローラ・バートンからインタビューを受けた私はこう話した。「ここもタジキスタンと変わらない、新しい言葉を学べばいいだけじゃないか、と思った。投資銀行の人々も、さまざまな儀礼と文化的パターンで自らの営みを彩っているに過ぎない。タジク語を学ぶことができたなら、外国為替市場の仕組みも絶対に学べるはずだ、と思った」。(122ページ) こうして著者はリーマンショックの前に警鐘を鳴らした。 その後はアドテックやESGに目を向けたとのこと。 なんかよくわからない専門用語で煙に巻かれるような事象に対処するのに人類学の思考法が役立つというのだ。 あるいは、ビッグデータがどれだけ充実して定量的分析が充実したとしても、その文化の中での「意味の網目」を読み解くような定性的分析が果たせる役割がまだ残っているという主張だ。 すごく刺激的な一冊。
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筆者のジリアン・テットはFTの看板記者、アメリカ版編集長。ジャーナリストはヒストリアン(歴史家)の視座が必要ということは言われますが、アンソロポロジー(人類学)の素養、視座もとても重要とのこと。かつアメリカ中心に企業からのニーズも増えているというのがよくわかりました。素直におもし...
筆者のジリアン・テットはFTの看板記者、アメリカ版編集長。ジャーナリストはヒストリアン(歴史家)の視座が必要ということは言われますが、アンソロポロジー(人類学)の素養、視座もとても重要とのこと。かつアメリカ中心に企業からのニーズも増えているというのがよくわかりました。素直におもしろい! しかも彼女はこんど母校ケンブリッジ大のキングスカレッジの学長になるとか。 記者の取材テーマが人の人生はわかりやすいですが、クルマやスマホなどの可視的なもの、哲学という概念的なもの、AIのような最新テクノロジー、のどれをとっても動かすのは人間ですね。テック全盛と思われがちな現代だからこそ、人類理解はスクープや深い解説記事につながるのかと。英語のこの本の解説を見ても、ブラインダーを取り除くなど評価されてました。 さらにアンソロポロジーとひとことで言っても、調べると霊長類学、人間古生物学、有史前の考古学、人類の進化、人類学的言語学、民俗学、民族歴史学、社会文化人類学など広範に含まれるようです。うーん、今回はジャーナリストの本だが、また別の本も読んでみたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
サイロ・エフェクトの内容が勉強になったので最近の著作である「Anthro Vision」も読了。 まえがきの「魚は決して水の存在に気づかない」は頭に残る文章である。 アンソロビジョンの重要なエッセンスは上記の一文に凝縮されているように思える。 著者のジリアン・テッド氏が文化人類学者としてタジキスタンの婚礼儀式の参与観察を行っていたことは知っていたが、当時のタジキスタンがイスラム文化とソ連による支配文化の狭間の世界であって、支配構造の変化がどのように婚礼儀式が影響を与えたか、という視点で研究が行われたのは知らなかった。 序盤にネスレジャパンによるキットカットの日本でのマーケティングの話が展開され、とっつきやすい内容になっていた。キットカットが受験に絡めてマーケティングを展開した裏には、まず九州の学生が「きっと勝つとぉ≒きっと勝つよ」というゲン担ぎを始めて広がっていったというのは驚きであった。これをしっかりと捉えてマーケティング戦略に生かすにはアンソロ・ビジョンがないと難しいというのが趣旨(ネスレ本社は従来の味やイメージといったマーケティング戦略が前提となっている訳なので) エボラ出血熱がアフリカで発生した際、遺体の埋葬儀礼を巡って医師団と現地住民の対立が起こった話も興味深かった。原住民は伝統に即した儀礼(遺体に口づけをしたりといった、極めて感染リスクの高い行為)を行わないと、魂が永遠に救われないという考えから、医師団の定めた埋葬マニュアルを守らず対立構造が発生していた。このような構造は社会の至る所で散見されることから、肝に銘じておきたい(構造に気付くのが最も難易度が高いのだが) 総じて事例紹介の色が強いが、ユースケースを通じて「Anthro Vision」のエッセンスを感じることができたのは収穫である。
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