図説 江戸のエンタメ 小説本の世界

深光富士男(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社
• 発売年月日: 2022/01/25
• JAN: 9784309228419

商品レビュー

2025/09/15

2025.9.15市立図書館
大河ドラマをもっと楽しむための副読本に。中盤過ぎて恋川春町や山東京伝の作品がクローズアップされ、いよいよ終盤の滝沢馬琴・十返舎一九などもクレジットされたので。江戸中期以降の絵入り大衆小説を、読本、黄表紙、合巻、人情本の4ジャンルに分けて要領よく紹介してくれる。蔦重の時代のあとの読本・合巻がメインで、黄表紙の分量は多くはないが、大河ドラマに出てくる代表作はきっちりおさえられている。巻末に主要参考文献リストもあり、それぞれの作品にわけいっていく入門ガイドにぴったり。

借りてざっと眺めた翌日でかけた「ぜんぶ、北斎のしわざでした。展」（＠CREATIVE MUSEUM TOKYO）が、まさにこの本で紹介されている「椿説弓張月」やら「新編水滸画伝」「釈迦御一代記図会」といった読本の挿絵をフィーチャーしていたので、帰ってきてまたゆっくり眺めている。
見れば見るほど、江戸の絵入り小説の凝った造り（絵の隙間にテキストがびっしり）と職人技に感銘を受ける。作家の下絵（←残っているのがすごい）と絵師の完成品を見比べられるページが特に興味深い。

大河ドラマとこういう本に高校生ぐらいで出会ったいたらなぁ…と思わずにはいられない。

2022/06/14

江戸時代中期以降の、傑作絵入りエンタメ本を厳選し、紹介。
第1章　読本『珍説弓張月』をひもとく
第2章　終わらない読本『南総里見八犬伝』
第3章　文と挿絵を楽しむ読本傑作選
第4章　合巻はコマ割りのないマンガなのか
第5章　江戸時代の絵入り小説変遷史
オールカラー画像多数、主要参考文献有り。
江戸時代中期以降の、読本、黄表紙、合巻、人情本から、
特に傑作な、絵入りエンタメ本を厳選し、挿絵中心で紹介。
絵入り小説のルーツは江戸時代以前の御伽草子から始まり、
仮名草子、浮世草子、洒落本、滑稽本を経て人情本へ。
江戸時代に誕生した草双紙は、赤本、黒本、青本、黄表紙、
合巻へと展開した。黄表紙の『金々先生栄花の夢』には、
マンガの吹き出しのような表現が。
山東京伝と喜多川歌麿の『御誂染長寿小紋』の「命」の小ワザ。
読本では、その嚆矢となった『英草紙』や、『雨月物語』等。
文字と絵が渾然一体となった草双紙の合巻では、
式亭三馬と初代歌川豊国の『鬼児島名誉仇討』の迫力。
多色摺の表紙の美しさと、文字と絵の調和の妙が冴える、
柳亭種彦と歌川国貞の名コンビによる『偽紫田舎源氏』。
猫好きの山東京山と歌川国芳の『朧月猫草紙』の溢れる猫愛、等。
そして、曲亭馬琴と葛飾北斎がタッグを組んだ『珍説弓張月』。
その墨線画は緻密で、大胆、そしてパワフル。
98巻106冊、28年かけて完結した『南総里見八犬伝』は、
挿絵の絵師4名が描き継いだそうな。
また、掲載された柳亭種彦や曲亭馬琴の手掛けた下絵は貴重。
ムック本の大きな画像なので細部まで見られ、眼福でした。

2022/06/11

江戸期に流行した「小説本」の各々のスタイルと代表作を紹介している。
『椿説弓張月』や『南総里見八犬伝』など、名前は聞いたことがあるけれど…という諸々のあらすじや結末が知れて嬉しい。