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イントゥ・ザ・プラネット ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟
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イントゥ・ザ・プラネット ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟

ジル・ハイナース(著者), 村井理子(訳者)

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イントゥ・ザ・プラネット ありえないほど美しく、とてつもなく恐ろしい水中洞窟

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 新潮社
発売年月日 2022/01/13
JAN 9784105072513

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10件のお客様レビュー

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2024/07/28

死と隣り合わせの洞窟ダイビング第一人者の自伝風ノンフィクション。 過酷なトレーニングや自身の資産、命の危険と引き換えに得られる成果は「人類未到達のフロンティア」。水中探検の姿がとても丁寧に描かれていて、息の詰まる緊張感も、成功の達成感も、想像の中で体験することができた。

Posted by ブクログ

2023/02/15

「ダイビング」と聞いてイメージするのは、”熱帯の海で色鮮やかなサンゴや熱帯魚の海に潜る”というのが一般的だと思いますが、本書の著者が専門とするのは「洞窟ダイビング」です。太陽の光は届かない漆黒の水中洞窟を対象とするそのダイビングでは水中活動時間が連続で10時間を超えることもあり、...

「ダイビング」と聞いてイメージするのは、”熱帯の海で色鮮やかなサンゴや熱帯魚の海に潜る”というのが一般的だと思いますが、本書の著者が専門とするのは「洞窟ダイビング」です。太陽の光は届かない漆黒の水中洞窟を対象とするそのダイビングでは水中活動時間が連続で10時間を超えることもあり、それには大変なハイテクの装備を必要とします。呼気を再循環させて二酸化炭素を分離し、水圧に応じて窒素と酸素とヘリウムの混合比を制御する生命維持装置であるリブリーザー、水中スクーター、ビーコンライト、(未踏の洞窟の測量をする場合は)自動測量機器のマッパー、それらの装置を制御する防水仕様のマイクロコンピュータ、etc…と総重量が90㎏を超える装備です。そして本書後半で紹介される南極の氷山にある洞窟へのダイビングの際は体温を維持するためのバッテリー式保温パッドまで。ここまでくるとほとんど宇宙での船外活動用装備と大差ない印象です。しかし著者が挑む数10mを超える大深度へのダイビングでは宇宙には存在しない「水圧」という大きな障壁が立ちはだかります。80m近い水深では大気圧の7~8倍の圧力がかかるため、上記の混合ガスも水深に合わせて圧力を高めます。潜る時は良いのですが、戻る時は十分な減圧時間を設けないと「減圧症」を発症します。血液中の気体が発泡して体の神経や組織にダメージを与えるダイビングをする人にとって最も恐ろしい症状です。著者も「減圧症」には相当の注意を払ってダイビングに臨んでいる様子が描かれていますが、実際に「減圧症」になってしまう経験にも触れています。氷山の洞窟でトラブルに遭遇した時、「減圧症を覚悟の上ですぐに浮上するか、低体温症の後遺症のリスクを負ってでも減圧症を避けるようにゆっくり浮上するか」という究極の二者択一の状況は、読んでいても息が詰まるような印象でした。 「何か装備に問題があれば浮上すればよい」というオープンウォーターのダイビングと異なり、ほんの些細な装備のトラブル、判断ミスが死と直結する「洞窟ダイビング」。その危険で特殊な環境を著者は余すことなくリアルに描いています。とても「自分もやってみたい」とは思えないのですが、著者は「誰の目にも触れていない景色を自分が初めて目にする事ができることは他には代えがたい経験」と述べています。その経験を得るために、いかに綿密に準備をし、リスクをコントロールして臨んでいるのかが詳しく描かれており、著者が単なる”功名心にかられた無謀な冒険者”とは対極に位置する姿勢で取り組んでいる事が良く伝わって来ます。 「洞窟ダイビング」の第一人者が雄弁に描くその特殊な世界に没頭できるノンフィクションでした。

Posted by ブクログ

2022/07/29

夏と言えば怪談だが、こちらもこちらで血が凍った。両者の共通点は、恐いもの見たさってところか。こちらにおいては語り手にもその気があるけれど… 「その恐怖という感覚のなかから、人間であることの意味を感じとって欲しい。あなたも私と同じ、冒険家なのだから」 水中探検家である著者の自伝...

夏と言えば怪談だが、こちらもこちらで血が凍った。両者の共通点は、恐いもの見たさってところか。こちらにおいては語り手にもその気があるけれど… 「その恐怖という感覚のなかから、人間であることの意味を感じとって欲しい。あなたも私と同じ、冒険家なのだから」 水中探検家である著者の自伝。研究者の手足となって潜ったり、ドキュメンタリー映像の撮影やジェームズ・キャメロン等の映画の技術指導も行う。 そんな彼女がいかにして水中に憧れるようになったのかを、2歳の記憶から辿っていく。幼少期のアウトドア体験やライセンス取得後に見た水中の描写がまず壮麗だった。だからこちらは「美しさは危険の対極にある」事を忘れかけ、危険を見失いそうになることも多く… ただ一応解説はあっても、なかなかダイビング用語を覚えられず水中で何が起こっているのか理解が追いつかなかったり(フツーに危うい…)でノロノロとした進捗状況だった。 恐怖対象を「恐ろしや…」と遠巻きに見るのではなく、寧ろその中に飛び込んでいく。それが出来るのは彼女が「恐怖を生命の正触媒として受け入れ」ているから。(同じ恐いもの見たさでもここまで違う…) プロでも落命する例が多々あることから、潜りに行く日を人生最後の日だと認識されているところにもただならぬ覚悟を感じる。 「美しい生還はいらない、生き残ることができるようにすればいいだけ」 読書あるあるで、話にのめり込むと自分もその場にいるような錯覚に陥ってしまいがち。本書の場合それは耳鳴りや船酔いという形で現れ、彼らのようにぶっ通しで海にいることが出来なかった。ダイビングでどんどん伸びていく水深に、南極への航行中に襲ってきたという高波(最大18メートル!)…。著者が水中で減圧症(高圧環境下において体内の窒素が気泡化する症状。彼女の場合はチクチク感や手足の筋力低下…)に気づく場面は、彼女より青ざめていたと思う。 「洞窟ダイビングという完全な男社会」や、男女を問わず一般的な人生の目的を見出していた周囲の人間も著者を悩ませた。(20代後半で鞍替えしたとは言え)ダイビング一筋の彼女にもその手の悩みが…⁉︎と驚いたのと同時に、親近感が湧いた。そこから「それでも何か意味のあることを生み出したい」とブレイクスルーしていく気概に勇気付けられ、素直に惚れてしまった。 本当にあった怖いエピソードをサムズアップ(ダイビングを中止する時の合図)なしで読み切れたのは、そうして鼓舞されるにつれ知らぬ間に自分も恐怖を受け入れるようになっていたからなのかもしれない。

Posted by ブクログ

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