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ビショップ氏殺人事件 曽野綾子ミステリ傑作選 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2021/12/22 |
JAN | 9784122071551 |
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商品レビュー
3
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曽野綾子の思想的原点はどこにあるのだろう いくつかの初期作品に触れた感触だけで想像するに 太宰治の影響が強いのではないか 勝手にそう思っている 「ビショップ氏殺人事件」 昭和30年代のはじめだから、朝鮮戦争の少しあと 優しいアメリカ人の見せる父性に対して 若き日本人の抱える甘え...
曽野綾子の思想的原点はどこにあるのだろう いくつかの初期作品に触れた感触だけで想像するに 太宰治の影響が強いのではないか 勝手にそう思っている 「ビショップ氏殺人事件」 昭和30年代のはじめだから、朝鮮戦争の少しあと 優しいアメリカ人の見せる父性に対して 若き日本人の抱える甘えと屈託が 殺人事件を引き起こす 「華やかな手」 女子生徒に人気のある大学教授 彼は赤ん坊のとき、事故で片方の手首を失っている 不具の意識から結婚を避けている様子だが しかし人生に絶望してはいない 明確ではないけれどもキリスト教への傾倒が垣間見える 「消えない航跡」 生きてるときは嫌なやつと思っていても 死んだあとでは良いやつだったように印象が変わることもある それがセンチメンタリズムだ 大人の世界にはあまりないことだが しかし、真実の裏付けがあるとなれば話は別だ たとえそれが下世話な興味で暴かれた真実であろうとも 「競売」 物質主義によって迷信を退け 勝利の美酒に酔いしれる しかしその直後 戦後失われつつある人の心への感傷をくすぐられ あっさり騙されてしまう 「人生の定年」 会社の上役が交通事故で死んだ しかし本当は保険金狙いの自殺だったんじゃないか そんな噂の真相を探るうちに 殺人事件の可能性まで浮かび上がってくる 最後のほうに「日本浪曼派の詩人」が出てくるあたり ミステリというよりは 戦後日本人の孤独を書いた文芸作品と言うべきだろう 「佳人薄命」 曽野綾子のミステリ作品は 真相を探る探偵にこそ 心の闇を見出そうとするところがあって それが独特の味になっている センチメンタリズムを否定したくない気持ちは あったかもしれない この作品では「読者への挑戦」に相当する台詞が用意されており 一見、正統派の本格ミステリと思わせるのだが その後にさらなる展開がある
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曽野綾子さんのイメージにはないミステリー短篇6作品。どれもしみじみとしていてよかった。短いストーリーなのに、意表をつく展開と結末。しかも不自然さとか無理矢理な感じがない。ミステリーの凝縮果汁。 人間の昏さと哀しみに、ミステリーは生まれるものだな。「華やかな手」がとくによかった。 ...
曽野綾子さんのイメージにはないミステリー短篇6作品。どれもしみじみとしていてよかった。短いストーリーなのに、意表をつく展開と結末。しかも不自然さとか無理矢理な感じがない。ミステリーの凝縮果汁。 人間の昏さと哀しみに、ミステリーは生まれるものだな。「華やかな手」がとくによかった。 探偵小説誌「宝石」の低迷を江戸川乱歩が私財を投じて立て直し自ら編集の任について、その最初の号に曽野氏が寄稿したのが「ビショップ氏殺人事件」。その座談会では「アガサ・クリスティは好きではない。E・S・ガードナーが好き」と話しているらしいが、そのような雰囲気になっているのだろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
日下三蔵氏が編集した「曽野綾子 ビショップ氏殺人事件」、2021.12発行。約60年前に書かれたミステリー作品6編が収録されています。読んでわかりやすかったのは「人生の定年」と「華やかな手」。あとの4話は、わかりにくいか、面白くなかったです。全般的にミステリー色は薄い感じがしました。
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