世界の美しさを思い知れ

額賀澪(著者)

• 販売会社／発売会社: 双葉社
• 発売年月日: 2021/12/22
• JAN: 9784575244762

商品レビュー

2025/12/03

世界の美しさは知ってるけど、思い知るほどではなかった。
自死の後、遺されたものの思いを考えると、軽はずみに生命を落とせないと思わせてくれる点では読み応えあり。
美しさを思い知るためのチョイスとして、礼文にマルタに台中、ロンドン、ニューヨーク、ラパスを選んだのはよし。ただ、事実描写は伝わるものの、匂い立つ空気感や心震わせる感動を湧き立たせる筆致には至らず。これを松家氏が書いたならとありもしない空想をしてみたり。
黒髪メガネ男子が、カラーリングしてコンタクトすることでイケてる男子に様変わりし、魅力的な女性にも淡白に接するのはあまりにステレオタイプで白けてしまった。

2025/11/20

一卵性双生児の弟が突然自殺したことで、その死を受け入れられず、かつての弟が行った場所を行脚して廻るストーリー。結局自殺の理由はわからないんだけど、身近な人の死を受け入れるって本当に難しいことなんだと身につまされた。自殺ならなおさらだ。
受け入れるというか、自分の中で納得いくにはそれなりの時間と理由が必要で、その過程が自分に受け入れるために大事なことなんだなと思った。

2025/11/06

蓮見貴斗と尚斗は一卵性の双子。
弟の尚斗は人気俳優だったが、遺書も残さず自殺してしまう。
葬儀後に見つかった尚斗のスマホのロックは顔認証だった。
彼と瓜二つの貴斗は、顔認証を突破できてしまう。
そこには礼文島行きの航空券が届いていた。
旅行の予定があったのに、弟はどうして自殺したのか。
貴斗は、尚斗の遺骨と共に旅立つ。
弟の死の理由を求め、旅は礼文島、マルタ、台湾、
そしてイギリス、アメリカ、ボリビアへと続いていく。

このあらすじを目にし読み始めてから
何かがあると勘ぐりながら読み進めてしまった。
これがミステリーばかり読んでいる人間の悪い癖だ。
何事にも裏があり、それが最後に明らかにされるのが物語だと。
そんな浅はかな自分に赤面してしまうストーリーだった。

そう、この物語はそんな単純なエンタメではないということ。
詳しく書くのは野暮なのでここでは控えるが、
時には説明のつかないことなどこの世の中いくらでもある。
むしろ、自分が普段過ごしている世界こそ、それが顕著である。
世界は謎で満ち溢れている。
だからこそ、この物語の美しさを思い知らされたのかもしれない。