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SS将校のアームチェア
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2021/11/17 |
JAN | 9784622090342 |
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商品レビュー
4.3
5件のお客様レビュー
チェコの古道具屋で買ったアームチェアを修理に出したところ、座面の中からナチの将校だった人物の鉤十字マークが付いた書類が出てきた。アームチェアの持ち主から、その書類を託された著者は、ナチスの親衛隊将校だったグリージンガーの生涯を追い始める。 世界に名を知られる将校ではなく、一公務員...
チェコの古道具屋で買ったアームチェアを修理に出したところ、座面の中からナチの将校だった人物の鉤十字マークが付いた書類が出てきた。アームチェアの持ち主から、その書類を託された著者は、ナチスの親衛隊将校だったグリージンガーの生涯を追い始める。 世界に名を知られる将校ではなく、一公務員としてのグリージンガーと、その家族たち。あの残虐なナチス・ドイツの所業と関係ないと言えるのか。ドイツ帝国の人々に向けるユダヤ人の著者の眼は厳しい。 私達日本人も、忘れてはいけないことが沢山あるはず。
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【何というか、知らない人みたいに思える】(文中より引用) 古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり、一見してナチスの文書とわかるものだった。誰が、何のために隠したのか。謎を託された著者は、その行方を追う(あらすじより引用)。著者は、ユダ...
【何というか、知らない人みたいに思える】(文中より引用) 古いアームチェアを修理に出したところ、中から書類の束が見つかった。鉤十字の印があり、一見してナチスの文書とわかるものだった。誰が、何のために隠したのか。謎を託された著者は、その行方を追う(あらすじより引用)。著者は、ユダヤ人の歴史を専門とするダニエル・リー。訳者は、硬派なノンフィクションの翻訳を多数手がける庭田よう子。原題は、『The SS Officer's Armchair: In Search of a Hidden Life』。 歴史ミステリーとして読み応えが抜群なだけでなく、負の歴史をどのように個人レベルで引き継いでいくか(もしくは引き継がないか)の一例としても参考になるかと思います。文書からたどる歴史を見せつけられたときの親族の反応は本書の中でも白眉かと。 すごいことを試みる人がいるもんだ☆5つ
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今年上半期読書のベストワンだった。 装丁~ホテルジルバと かのアームチェア。 主の所在がもたらした混迷、闇、思惑,身内と子孫とって「人が死して残した」モノ ココロの重さが頭の中を巡り、静かなトーンの装丁の下に厳然と蠢くとてつもない事実、史実の重大さがずしんと来た。 折しものウク...
今年上半期読書のベストワンだった。 装丁~ホテルジルバと かのアームチェア。 主の所在がもたらした混迷、闇、思惑,身内と子孫とって「人が死して残した」モノ ココロの重さが頭の中を巡り、静かなトーンの装丁の下に厳然と蠢くとてつもない事実、史実の重大さがずしんと来た。 折しものウクライナへのロシア侵攻が重なったこともかなり大きなインパクトになっている。 最初と最後の点を結ぶ箇所が特に心に残った~ホンのきっかけから「椅子の下に縫い込まれた資料」があるとの情報。浮かび上がったグリージンガ―という「普通のナチ下級将校」 元来、史実を読むのが好きだとは言え、こういった謎解きで広がって行ったリアル物はお初。面白すぎて読むのが全く疲れを覚えさせず、2日で一気読みした。 解っている積りで知らなかった「チェコとドイツの相対実状」~1935から1945年まで続いたそれはボヘミア・モラヴィア保護領という名称のもとで行われた冷酷残虐過酷なものであった。チェコ人の再教育という名のもとに徹底した締め付けが継続した。 「プラハ蜂起」では7,7万のユダヤ人・7千のロマ・3,6万から5,5万と言われるチェコ人犠牲者の。ルサンチマンが渦巻いたのは当然だったかもしれない。 第二次世界大戦の欧州は焦土と化し、血なまぐさい戦場と化した。分けても独ソ戦・・ソビエト2000万、退く00~700万と言われる兵、民間人の命が奪われた。 今のウクライナ侵攻で「復讐からは何も生まれない、憎しみは憎しみの連鎖となるだけ・・」と言われ平和の大切さを言われているが それは実際に戦争の実害をまじかで見ていない人が呟くと思えてくる。 英国人である筆者はラストの点で「自分の身内にも同じようなルサンチマンのかけら」を吐露している。 巻末に行くに従い、何度も繰り返す表現「下級将校だった、普通の、家族思いの愛情あふれた・・」グリー人が―だと。 «普通のナチは咎められるべき行為に広く手を染め 数多くの人生を破壊しながらも今に至るまでその来歴が明らかになっていない≫と叫ぶ筆者。とある女性が椅子の下に縫込まれた書類に陽の目を当てなければ«著名なナチの幹部級殺人者たち二及ばぬとは言え何千人もの下級官僚が積極的に殺戮に加担していた≫事実が明らかになって行かなかった。 偶然か・・椅子に縫い込んだのではと思われるチェコ人女性の家政婦に聞き取り始めて知った「夫の名―ヨセフ/娘の名―マグダレーナ」何とまぁ、キリストの核心部の名称・・何かしら謂れを覚えた。 最後の結び:グリージンガ―の妻の先祖は新大陸での成功者、しかも奴隷市場と深い関わりが。して、彼自身、黒人の遠縁も存在した。 筆者の到達した結論~ナチはドイツの国辱の最たるものと言われてきたが、実は新大陸から旧大陸人種的概念として持ち込まれていたのだ。 これを飛躍しすぎという人もいるかもしれないが、ある意味、史実から導かれた、革新的論だと感じた。
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