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ムントゥリャサ通りで 改装版
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ムントゥリャサ通りで 改装版
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商品レビュー
3
3件のお客様レビュー
終始、幻想的な雰囲気の中で主人公が語る記憶譚に引き込まれた。 もう一度読み返したいと思うほどの深みがある本です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なかなか不思議な物語である。本筋はザハリア=ファルマという小学校校長の回想により進められるが、話が堂々巡りしたり、話が現実味を帯びないどこか神話的なストーリーとなっている。聞き手となる政府側の人間もファルマを軌道修正するかと思いきや、彼のノリに流されていく有様である。当時の社会情勢(共産主義政権など)や反ユダヤ主義なども薄く背景にあるように思われるが、明確なつながりも見いだせず、モヤっとしたところが残る読書となった。 ジャンルとしては幻想小説とのことだが、読み慣れている人が読めばまた違ったとらえ方になるのだろうか。エリアーデは宗教学者の一面もあるとのことなので、神話の知識などがあるとより面白くなるかもしれない。
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【あらすじ】 ある日、小学校の元校長と名乗る老人ファルマがボルザ少佐のもとを訪ねるが、少佐は彼が誰だかわからない。老人は事情を説明すべく昔語りを始めるが、語りは脱線をくり返し、どんどん本筋から逸れていく。はたしてこの老人は何者なのか。 【感想】 幻想譚が主成分のミステリー。まる...
【あらすじ】 ある日、小学校の元校長と名乗る老人ファルマがボルザ少佐のもとを訪ねるが、少佐は彼が誰だかわからない。老人は事情を説明すべく昔語りを始めるが、語りは脱線をくり返し、どんどん本筋から逸れていく。はたしてこの老人は何者なのか。 【感想】 幻想譚が主成分のミステリー。まるでカフカの『城』のKが、物語の核心であるはずの城にいつまで経ってもたどり着かないのに似ている。話の要点だけを知りたがる聞き手たちとうらはらに、話を永遠に先延ばしにしようとする老人のしぶとさが笑えた。作品としては『マイトレイ』のほうが好み。 【ノーツ】 ・だれかの説明をするために、まずそれに先立つ別のだれかの話をしようとするのは、あたかも旧約聖書の語りにおいて、子には父の名が、父には祖父の名が添えられるのに似ている。 ・なにかある時点の状況を理解しようと思うなら、まずそれ以前に起こったできごとを知っておかなければ、という理屈は一見正しい。でも過去への遡及にどこかで区切りをつけないと、それは無限の後退となって終わりがなくなってしまい、肝心の現在を見失うことになる。現在を理解するうえで歴史の系譜をたどることはたしかに大切だけど、限られた人生の時間のなかで、無限につづくページを読みつづけるわけにもいかない。 ・なにかを恐れ、なにかから逃れるために、次々と新しい話を作り出していく。この「次々と」という反復そのものが、本作の核心なのかなと思った。
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