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まっくら 女坑夫からの聞き書き 岩波文庫
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まっくら 女坑夫からの聞き書き 岩波文庫

森崎和江(著者)

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まっくら 女坑夫からの聞き書き 岩波文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 岩波書店
発売年月日 2021/10/19
JAN 9784003122617

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まっくら

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2026/01/30

まずは石牟礼道子があった。その前に100分で名著か。石牟礼の名前に惹かれて「到来する女たち」(渡邊英理)を読んだ。女性たちの文章に興味を抱いた。先に中村きい子の「女と刀」を読んだ。これがまた抜群におもしろかった。「ばけばけ」とつながったことも影響している。期待を持って本書を読み始...

まずは石牟礼道子があった。その前に100分で名著か。石牟礼の名前に惹かれて「到来する女たち」(渡邊英理)を読んだ。女性たちの文章に興味を抱いた。先に中村きい子の「女と刀」を読んだ。これがまた抜群におもしろかった。「ばけばけ」とつながったことも影響している。期待を持って本書を読み始めた。炭鉱で働いた女性たちのことばの聞き書きである。辛い話、悲惨な話の連続でちょっと期待を裏切られた、と思った。ところが、ヤマばばあの語りに入った途端に一気にテンションが上がる。そのテンポの良い話っぷりがいい。「あんた、あたしの話ば聞きにきたとや。孫に用かと思うたが。あたしかの。そうの。遠慮いらんばい。こけ坐らんの。」悲惨なだけではなかった。女は強い、と何度も思わされた。そこからは一気に読み通した。女は家にいて家事や子育てをして、男が外で稼いでくるというのは後からの話。本書で語られる時代、つまりは日露戦争あたりから昭和の前半くらいまで、女たちは男といっしょに働いていた。炭鉱では男が掘って、女が運ぶという役割分担ができていた。夫婦で稼ぐこともあれば、そうでないこともあるようだ。そうでない取り合わせのときは、どうも穴倉で良からぬことが行われることもあったようだ。それで、男女で逃亡するケースが結構あったのだとか。大らかだったと言えば良いのか。山の神様が怒るからと汚れを持ちこむことはできない。したがって、産後や女性の月のものがあるときは山に入ることはできない。そんな迷信がある中、「信心より意志ばい」と言い切る女がいる。働かなければ食べていけないのだから。事故も頻繁に起こった。亡くなる人も多かった。補償はいかほどであったのか。戦後、女性の労働をしばる決まりが世界的にもできてくる。その流れで、炭鉱に女性が入ることが禁じられる。しかし働かなければ食べていけない。その決まりをかいくぐって働く女性も出てくる。戦後の民主主義に対して「わたしはそんなのは民主主義とは思わんね。利己主義ですたい。」などと言う。おもしろい。女性たちのことばがなんとも魅力的だ。「理屈とケツの穴は一つしかなか。」石牟礼を読んだとき熊本弁が読めると思ったが、福岡弁も読める。なかなかの快感である。無文字社会の本にも書かれていたが、文字で記録するようになって記憶力が衰えていったのではないか。おそらく文字の読み書きが苦手であったろう女性たちのことばだからこそ、より魅力的に響いているのかもしれない。「からゆきさん」も読もうかな。そうそう、これから読まれる方には、解説を先に読むことをおすすめします。分からない炭鉱の専門用語が少しは分かるようになるので。

Posted by ブクログ

2025/12/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

カテゴリ「ルポルタージュ」にしたけど、正確には「聞き書き」というジャンルになるらしい。その名の通り、福岡の炭鉱などで戦中・戦後に働いてきて、そのまま「炭鉱住宅」などに住まっている高齢女性たちから話を聞き、彼女たちの来し方を記録したもの。間に著者の想い(だいたいは哀しみといってよい感情)が挟まれている。 女坑夫たちの生きざまは、すさまじい。しかし当の本人たちは「みんなそんな風に生きてきた」と思っているから、淡々と語る。 私は北九州で育ったので、ここにつづられている筑豊の方言はだいたい理解できたし、親戚のおじさんが言っていたあの言葉、こういう意味だったんだな、と思い出すことも多かった。でも福岡にゆかりのない人は、きつい方言の部分はだいぶ読みにくいのではないだろうか。例えば休むことを「よこう」とか言う。横になる、という意味から来ているらしい。夫のおじいちゃんが言ってたらしい笑。 炭坑で、文字通り地を這うようにして生き、暮らしてきた女性たちは、炭鉱が閉鎖されて時代が移ろったあとも、相変わらず貧しいままだ。貧しくてもそれを受け入れ、「私らは一生懸命生きてきた」という誇りをもっている。今のように人権意識が広まり、法が整備される前から、自分たちは男と対等だ、腕力がなくても工夫して男と同じくらい、いやもっとよく働いてきた、という自負がある。 戦時中の記憶を語る人の中には、「朝鮮の人もいっぱいおった」という記憶も多い。貴重な証言だと思う。 戦後、女性が半裸で地下を這いつくばるような労働環境を放置しているのは、国として恥だ(?)女性を保護しなければ、という感覚から、法整備が進み、女性が炭坑に潜ることができなくなった。炭坑で働く女性からしてみれば、生活の糧を失うことになり、いい迷惑だったようだ。現場を知らない官僚が考えることと、市井の人々との感覚の乖離が垣間見える。一方的に辞めさせるのではなく、男性も、女性も安全に働ける環境づくりが優先だったのだと今なら皆わかる。 働いて働いて働いて働いて、働いてきた炭坑の貧しい女性たちを通して、日本の現在がいかにして作られたのかに思い至ることができる、貴重な聞き書き。読んでよかったです。

Posted by ブクログ

2025/12/15

筑豊の炭鉱で働いていた女坑夫たちへの聞き取りをもとにした一冊。 筑豊の炭鉱には、先山・後山という男女ペアの労働慣行があり、先山が男性、後山が女性という組み合わせが一般的だった。夫婦で坑夫をしていれば、そのまま二人一組になる。女性たちは“良い先山になりうるかどうか”という基準で男...

筑豊の炭鉱で働いていた女坑夫たちへの聞き取りをもとにした一冊。 筑豊の炭鉱には、先山・後山という男女ペアの労働慣行があり、先山が男性、後山が女性という組み合わせが一般的だった。夫婦で坑夫をしていれば、そのまま二人一組になる。女性たちは“良い先山になりうるかどうか”という基準で男性を選び、夫婦関係がつくられていく。恋愛や性愛が、労働慣行の枠組みのなかで編成されていたという森崎の指摘は鋭い。 貧困のなかで複数の炭鉱を渡り歩き生計を立てる者。農村に居場所がなく、炭鉱の方が気楽だという者。炭鉱で働くことへの感情は人によって大きく異なる。どの時期に、どの規模の炭鉱にいたかによって経験は大きく変わるはずで、その点を「記述が足りない」と感じることもあるかもしれない。しかし、本書はただの聞き取りの記録ではないことに注意が必要だろう。語りをそのまま書き起こすのではなく、森崎が再構築し、作品として編み上げた「聞き書き」なのだ。 それでも、歴史から忘れられてきた女坑夫たちの姿をくっきりと描き出し、強くしなやかで、ときに徒党を組んで暴力すら辞さない“別の女の可能性”を見せてくれる。この力強さこそが、本書が長く読みつがれてきた理由なのだと思う。

Posted by ブクログ