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鬼 文豪怪談ライバルズ! ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2021/10/11 |
JAN | 9784480437723 |
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商品レビュー
2.8
7件のお客様レビュー
先に馬場あき子『鬼の研究』を読んだが、そこで言及された「あらゆる小面の下に般若の面が隠れている」を観点に編まれたアンソロジーだった。 鬼、すなわち、人間の煮凝り。 欲、執着、愛憎、暴力性。人間の澱の煮凝りに、時に超常的な要素が加わり生まれ出る鬼。 一気に読むと、鬼気にアテられたよ...
先に馬場あき子『鬼の研究』を読んだが、そこで言及された「あらゆる小面の下に般若の面が隠れている」を観点に編まれたアンソロジーだった。 鬼、すなわち、人間の煮凝り。 欲、執着、愛憎、暴力性。人間の澱の煮凝りに、時に超常的な要素が加わり生まれ出る鬼。 一気に読むと、鬼気にアテられたような感じで、わりとキツかった。 面白いが、しんどい! 妖怪小説と思っては多分いけない。粘度の高い、ドロドロした人間がのたくう様だ。 落語のようなコミカルさのある泉鏡花『鬼の角』や、鬼の正体の奇説を織り込んだ『鬼の末裔』あたりが清涼剤になる。 京極御大は…鬼版・太宰治『駆け込み訴え』というべきか。 以前、仏教について調べていた時に、「お釈迦様(仏陀)の言っていることはマンガの悪役のソレ」という面白いコメントがあった。 仏教では、執着になるものを避ける。お釈迦様も家族や子供、国を捨てている。 「愛も、友情も!すべて我を惑わすものに過ぎない!愛など不要!!」と叫べば、「そんなことはない!愛があるから人間は強くなれるんだー!」とマンガの熱血主人公は叫ぶ。 しかし、(極論だけど)この愛なぞいらぬ!というのがお釈迦様なのだ。 そして、熱血主人公の行き着く先こそ「鬼」である。 愛、友情、守りたいもの、得たいもの、己の本当の願い。 これらはマンガのなかなら主人公たちをパワーアップする力だろう。 しかし、それが凝り固まったすえに鬼が生まれる。 今流行りの『鬼滅』は読んでいないけれど、少年漫画でみられるもの(主人公や敵の思想など)に鬼の要素があり、また大人になれば自分のなかにわく鬼に気づくようになるからこそ、鬼の存在は人を捉えて離さないのではなかろうか。 …それにしても、本当に一気に読むと、何か心が削られる感がする。次は何かさっぱり面白くて軽い本を読もうとしよう。
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・紗久楽さわ女史の装丁画、個人的に『刀』よりもこっちのが好みだ。 ・京極夏彦がこういうのも書いていたのか…とびっくりさせられた「鬼情」。愚かな愛情の押し付けをここまで理路整然と赤裸々に突きつけられたらそりゃ気も狂うて…すごい…。 ・倉橋由美子「安達ヶ原の鬼」これは割とストレートに...
・紗久楽さわ女史の装丁画、個人的に『刀』よりもこっちのが好みだ。 ・京極夏彦がこういうのも書いていたのか…とびっくりさせられた「鬼情」。愚かな愛情の押し付けをここまで理路整然と赤裸々に突きつけられたらそりゃ気も狂うて…すごい…。 ・倉橋由美子「安達ヶ原の鬼」これは割とストレートに原作?ってかあるあるだと思う。終わり方が幻想的でどこか上品だけども。 ・中井英夫「黒塚」戦時下という状況によって育まれた女性の恋慕と狂気…しかし、それをこんなに美しいものに感じさせてしまうのが、中井英夫ワールドの妙。 ・手塚治虫「安達が原」漫画です。オチはなんとなくあ~~~~~~と思ったけど、安達ヶ原の鬼婆伝説をSFに落とし込もうっていうセンスが時代を先取り過ぎてる。ちょいちょい出てくる謡曲「黒塚」のカットが、さすがの手塚治虫センスで、漫画としての”魅せ方”が凄過ぎる。
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【収録作品】泉鏡花「鬼の角」/高田衛「月の夜の鬼たち」/上田秋成・円地文子訳「青頭巾」/京極夏彦「鬼情」/福永武彦「鬼」/坂東眞砂子「鬼に喰われた女」/田辺聖子「水に溶ける鬼」/三橋一夫「鬼の末裔」/北村透谷「松島に於て芭蕉翁を読む」/小松左京「黄色い泉」/倉橋由美子「安達ケ原の...
【収録作品】泉鏡花「鬼の角」/高田衛「月の夜の鬼たち」/上田秋成・円地文子訳「青頭巾」/京極夏彦「鬼情」/福永武彦「鬼」/坂東眞砂子「鬼に喰われた女」/田辺聖子「水に溶ける鬼」/三橋一夫「鬼の末裔」/北村透谷「松島に於て芭蕉翁を読む」/小松左京「黄色い泉」/倉橋由美子「安達ケ原の鬼」/中井英夫「黒塚」/手塚治虫「安達が原」 古典を踏まえたもの、SFとの融合を試みたもの、鬼について考察したもの、と多様な「鬼」についての怪談が収められている。 興味のある方には面白いと思われる。
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