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青春の門(第九部) 漂流篇 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/09/15 |
JAN | 9784065249383 |
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青春の門(第九部)
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
8月9日の参戦、シベリア抑留、北方領土問題などでは反露感情を、一方トルストイ、ドストエフスキー、ロシア民謡などロシア文化には親近感を。五木寛之は愛憎が半ばする日本の対露感情を象徴する作家。「青春の門 第九部 漂流篇」、2021.9発行、630頁。本巻は1961年8月から1962年4月までの間のロシアの信介25歳~26歳と日本での織江の状況が交互に語られている。アムール、アニョータと馬で旅を続けた信介はイルクーツクで落馬、日本人医師宅で治療・リハビリとロシア語の勉強を。織江には伝説の高円寺竜三が面倒見を。
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自分が幼少時代のお話で、織江まわりのお話(演歌とかレコード会社)はある程度自分の記憶と照らし合わせながら読めていたが、信介まわりのお話(シベリア出兵やロマノフ王朝の金塊)は、ほとんど話題にもならなっかったという記憶。これまで日本では封印されていたお話を、五木さんが書かねば・・・と...
自分が幼少時代のお話で、織江まわりのお話(演歌とかレコード会社)はある程度自分の記憶と照らし合わせながら読めていたが、信介まわりのお話(シベリア出兵やロマノフ王朝の金塊)は、ほとんど話題にもならなっかったという記憶。これまで日本では封印されていたお話を、五木さんが書かねば・・・となったんだろうかと勝手な憶測です。 それにしてもロシアのウクライナ侵攻の前に書かれた本なので、現在執筆中であるという噂の最終予定の第十部(もう結末も決まっているらしい)はさぞ書きにくいだろうと、これも勝手な憶測しています。 果たして、第十部の文庫版を読むことはできるのだろうか?
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シベリアにいる信介の物語と歌手として成長しつつあるオリエの物語が、奇妙に結びついていく。それは、1917年ロシア革命が起きた時に、ロマノフ王朝の持っていた財産がどこに行ったのかという謎に深く関わる。300年の歴史を築いたロマノフ王朝は、途方もない金持ちだった。金に換算すると12...
シベリアにいる信介の物語と歌手として成長しつつあるオリエの物語が、奇妙に結びついていく。それは、1917年ロシア革命が起きた時に、ロマノフ王朝の持っていた財産がどこに行ったのかという謎に深く関わる。300年の歴史を築いたロマノフ王朝は、途方もない金持ちだった。金に換算すると1240トンに達した。世界の金の20%の量だった。エルミタージュ宮殿に世界の美術品を集める財力もあった。 世界各国は、ロマノフ王朝の財産を収奪するために、ロシアに派兵した。日本も7万数千人のシベリア派兵をしたのだった。バイカル湖は、大きく透明な湖と知られているが、1600m近くの水深があり、そこにはたくさんの死体とロマノフ王朝の金塊が沈んでいるという伝説がある。 『漂流篇』は、2021年に出版された。五木寛之、89歳の時である。今までの『青春の門』とはテイストが違う。 歌手牧オリエのマネージャー山岸守は、父親は銀行の役人で芸能事務所に勤めるようなタイプの人間ではない。誠実で、実直。浮かれたところはないが、オリエの才能に惹かれていた。そして、オリエのディレクターがいなくなることで、伝説の艶歌のディレクター高円寺竜三に手紙を出し、オリエのディレクターになってほしいと懇願する。高円寺は1000人近くの歌手たちを育てたのだ。この高円寺竜三というのが実に魅力的な人物に描かれている。また、歌について幅広い知識を持っている。 高円寺は、オリエの持つ不思議な才能を認めて、プロデュースすることを決める。残念ながら、『漂流篇』では、高円寺竜三がプロデュースするオリエは登場しない。 時代は、今までとは違ったテレビが登場する時期であり、音楽の有り様も変わろうとしていた。1961年4月からNHKで始まった『夢であいましょう』から坂本九『上を向いて歩こう』、ジェリー藤尾『遠くへ行きたい』、梓みちよ『こんにちは赤ちゃん』おなじ1961年6月から日本テレビで始まった『シャボン玉ホリデー』から、植木等の『スーダラ節』が流行った。 まさに、私はその頃少年だった。そして、青春に向かう時期でもあった。テレビが家に演ってきた時代であり、テレビがシロクロからカラーに変わっていった時代だった。 信介が九州から上京した頃、うたごえ運動が流行っていた。かあさんの歌、仕事の歌、原爆を許しまじ、国際学連の歌、赤とんぼ、ふるさと、おおブレネリ、カチューシャ、カリンカ、バイカル湖のほとりなどが流行った。確か、学生の頃、歌声喫茶にいったことがあった。 高円寺竜三は、学生たちが歌う『ともしび』に対して、情緒的すぎる、戦争に向かう勇ましさが足りないと指摘する。日本の歌は、なぜ短調が多いのかと問う。この場面は、実にいいなぁ。 オリエは『あの夏に帰りたい』でヒットを飛ばすが、筑豊出身であることや炭鉱で落盤事故で死ぬ人がいることに、心を痛め、そして自分の歌いたい曲ではないと率直にいう。もっと歌いたい歌を歌いたいと目覚める。 沖縄出身の新聞記者の筑紫二郎(沖縄の苗字じゃないのが残念)が、流しが歌う田畑義雄の二見情話でなく、沖縄で歌われている二見情話を歌う。うん。この歌はいい。私が唯一歌える沖縄の歌だ。 この辺りの歌をめぐる展開は、五木寛之の重要な構成部分でもある。そして、オリエは詞をかいていて山岸守にみせる。それにしても、オリエの友達であるホステスのフミが実に色っぽく、幅広い人脈もあり、暗躍する。歴史は夜つくられる。 一方、シベリアにいる伊吹信介は、足を痛め、日本人のドクトルに世話になる。ドクトルの家には本がいっぱいあり、その本を読む。そしてドクトルの恋人であるタチアナに徹底的にロシア語を教えられる。ドクトルは、ロマノフ王朝の財産が、関東軍、そして当時の総理大臣田中義一に流れているのを調査していたのだった。このドクトルが、人生を賭けていることが、中野剛という恩義のあった人に報いるためでもあった。やはり、浪花節なのだ。 ふーむ。そしてドクトルと信介は日本にいくのだった。この『漂流篇』が青春の門ではテイストが違って面白い。それにしても、シベリア独立運動など、ロシアについて深い洞察をする五木寛之は、プーチンのウクライナ侵攻をどう見ているのか。ロシアの成り立ちから、紐解いた物語を作ってほしいなぁ。『青春の門』第十部は、どう展開するのだろう。まだ出版されていない。
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