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地球にちりばめられて 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/09/15 |
JAN | 9784065238158 |
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地球にちりばめられて
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商品レビュー
3.8
33件のお客様レビュー
言語の連想ゲームで物語が進んでいく感じというか、登場人物の個性がどうのこうのじゃなくて言語や国境の線引きによって如何に人間が区分けされてきたか、みたいなものが伝わってくる。言語学者による考え方なのだろうか。小説を通した随筆というか、不思議な読書になった。
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初の多和田洋子作品。ドイツ、スカンジナビア周辺の地名が大量に出てきて楽しい。 日本が消滅した世界で独自の言語「汎スカ」を操る日本人主人公が、消えてしまった母語を話すために同郷人を求めて旅をする。その過程で巻き込まれる人々の個性的なキャラクター、多和田氏の美しい表現技法に引き込まれる。 母語とイデオロギー、アイデンティティのつながり、ネイティブって何だろう、などなど色々考えさせられる作品。 あと、デンマーク人毒親が息子にかける言葉がいちいち鋭利でツボ。
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外国留学中に祖国が消滅してしまい、外国で独自の言語を作って生きている女性を巡るお話 以下、公式のあらすじ --------------------- 留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoは...
外国留学中に祖国が消滅してしまい、外国で独自の言語を作って生きている女性を巡るお話 以下、公式のあらすじ --------------------- 留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。誰もが移民になり得る時代、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。 --------------------- 「汎スカンジナビア」でパンスカ デンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語が絶妙に混ざっていて、いずれの言語話者も理解できるけれども、逆にどの話者にとっても違和感がある人工言語 英語が話せる事がわかると、健康保険制度が整っていないアメリカに送られてしまうと思っているため、英語は極力話さない パンスカは言葉本来の意味に近い表現を模索する 「なつかしい」は「過ぎ去った時間は美味しいから、食べたい」と表現する事を夢想する 昔話を子供向けに紙芝居に訳す際に 狸と狐の「ばけくらべ」を「メタモルポーセース・オリンピック」と訳したり 「鶴の恩返し」の「恩返し」部分の訳に悩んで、「鶴のありがとう」にしたり 鶴女房が機織りをするエピソードは、羽を抜いてダウンジャケットを作る話に改変したりする そもそも、移民の子供に教える仕事も 「わたしの紙芝居への夢は巨人。紙芝居屋としてのキャリアはネズミ」と言って採用された経緯がある パンスカの話者は自分ひとりだけであるが故に、むしろ自由でいられる 誰もが移民になりえる時代、独自の言語をきっかけに人と出会って親交を深める物語としては最良だと思う 母国、故郷とは何かを考えてしまった 日本は島国だし、外国と陸上の国境はない 日本語が話せれば生活ができる しかし、ヨーロッパ大陸は陸続きに外国に行けて 同じ地域に住む人でも異なる言語を話す人が身近にいるのが珍しくもない 日本でも一見して日本民族ではなさそうな人を見かける事が以前に比べて珍しくはないけれども それでもやはり「日本人の国」という認識が強い そんな日本人が祖国を失ったら、どんな状況になるのかという思考実験としては興味が惹かれる なので設定的に、小松左京「日本沈没」の後のようなものだろうなと想定して読んでた そして、所々の描写から、今よりちょっと未来の出来事なのだろう事も推測できる 日本は「鮨の国」とよばれていたり、「乗客の背中を押して電車に無理につめこむ専門職」がいたり、性ホルモンが消滅して男女の区別すらなくなっていると思われていたりする そんな、諸外国から見た日本がカリカチュアされている描写が多い でも、こんな国のイメージってどこの国でもある気がする 「母国」という単語があるけれども、自らのアイデンティティとなる国は母のような存在なのだろうか 途中や最後はクヌートの母親が何かと登場するけれども クヌートはそれを煩わしく思っている もしかして、母国との関係性の比喩なのかとも思った そしてこの物語、続きがあるようだ 多分、三部作 全部が文庫化されたらまた改めて読むかも
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