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刑務所の精神科医 治療と刑罰のあいだで考えたこと
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2021/09/14 |
JAN | 9784622090373 |
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刑務所の精神科医
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商品レビュー
3.7
17件のお客様レビュー
とても面白く、学びが深かった。 安易な共感にも批判にも与しない抑制された語り口、時々顔を覗かせるユーモア、具体的なエピソード。エッセイなので読みやすいが、決して浅くはなく、どれも塀の中の人たちへの理解を深めるのにとても有用だった。 睡眠薬を増やしてもらう受刑者のふるまいを「セリで...
とても面白く、学びが深かった。 安易な共感にも批判にも与しない抑制された語り口、時々顔を覗かせるユーモア、具体的なエピソード。エッセイなので読みやすいが、決して浅くはなく、どれも塀の中の人たちへの理解を深めるのにとても有用だった。 睡眠薬を増やしてもらう受刑者のふるまいを「セリでもやっているかのように」と表現していたのは秀逸。 印象に残った部分を箇条書きで残しておく。 ・エピソードで強い衝撃を受けたのは累犯窃盗の中年女性の話。 娘に対して依存気味で、親離れして大学生活を謳歌する娘の気を引くために万引きに走った母親がいた。淡々とした描写だが、どこにでもいる拗れた親子だと強く思った。 まさに私も、それまでべったりした母子関係だったのが、大学入学を機に一気に外にひらけていくのに母親はついていけず、衝突を繰り返した時期があった。 この女性と私の母親をわけたものはなんだったのだろう。思ったより紙一重だったのかもしれない。寝る前に横になって読みながら、そんな思いにふけって不意に泣きそうになった。 ・私が今通っている山谷のドヤ住まいや路上生活者のおっちゃんたちも、ここに出てくる受刑者たちと一続きなのだと改めて感じた。 一見ばらばらに見える自分の関心分野が実は繋がっていることに心強さも感じた。 『そもそも決して豊かとは言えない家庭で育ち、低い学歴のまま就職し、若いうちは就労しているが加齢とともに職を失う。やがてホームレスになる。運が良ければ食いつないでいけるが、Dのように窃盗をするしかなくなる者もいる。飲酒やギャンブルがこの過程を加速することもある。無銭飲食という名の「詐欺」で収容される場合も多い。力に自信があり気性が荒ければ強盗になる者もいるだろう』 ・明らかに精神疾患があり責任能力を負えないように見える受刑者も実は中にたくさんいるとの指摘は、虚をつかれた。 お金がなくて国選弁護人はそこまでしてくれない、そもそもありふれた犯罪にそこまではやらない、など色々事情はあるが、『刑法39条をきちんと運用するのであれば、本件犯罪の大小ではなく、被疑者の精神状態の評価こそが重要である。もっと公平な運用がなされるべきだと思われてならない』 まさにその通りである。私が見てきた精神鑑定ありの裁判はやはりそれなりの規模の事件ばかりだったので、この点にはこれまで気づかなかった。 『この先生に意見を聞けばこういう判断が返ってくるという予見のもとに精神鑑定が依頼されることが少なくない』というのも、まあそうだろうなと思うが改めて認識をした。 ・受刑者の老いと病と「刑の執行停止」についての記述も大変興味深い。 『受刑者が重大な病気になって回復が見込めず、医療刑務所でも管理が難しいと判断されると「刑の執行停止」が行われる。たとえば癌の末期で余命いくばくもない場合などがこれに該当する。刑の執行停止の是非を判断するのは、なぜか検察官の権限である。刑を言い渡すのは裁判官なので、どうして検察官なのか不思議に思ったが、とにかくそうした決まりになっている。ただ検察官はふつう自分が起訴して受刑した元被告の受刑後の経過を把握しているわけではない。(中略)だから刑務所の側から検察官に情報提供をして、受刑の意味がないことを伝えなければいけない。しかし、これは刑務所からするとたいそうハードルの高い行動らしかった。現場が相当に困っていても、色よい返事をもらえたことがなかった』 なるほど、こんな問題もあるのか。 ・「人が変わることがあるとしたら、求められた反省ではなく自己肯定感の中からであると思う」 きっとそうなんだろう。 総じて、今後刑務所や加害者について考えていく上での指針を示してくれる本だった。ありがとうございました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この前クリニックへ行ったとき、女医の言葉で分からない点があったけど、この本を読んで合点が行きました。 メンタルクリニックへの通院のハードルが下がり、通院患者の増加とともにメンタルクリニックが増え、その経営のため、うつ病の診断を出される人が増えた面もあるかも、てな記載を見つけたとき、俺と同じことを考えている精神科医もいるんだと苦笑い。 収監者に、精神疾患や発達障害を抱えていたり、虐待を受けていた少年少女や、認知症の高齢者が多かったみたいのもあったけど、著者がかかわっていた時期から20年はゆうに経っているから、今はもっとでしょうね。
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少年少女から老人まで、さまざまな受刑者達と向き合ってきた精神科医が接した多くの事例を挙げ、日本における受刑者への精神医療を問いかける。淡々とした口調で書かれているが、非常に重い問題に最前線で接している医療従事者達の苦闘が伺える。 「刑務所が一種のセイフティーネットになっている」...
少年少女から老人まで、さまざまな受刑者達と向き合ってきた精神科医が接した多くの事例を挙げ、日本における受刑者への精神医療を問いかける。淡々とした口調で書かれているが、非常に重い問題に最前線で接している医療従事者達の苦闘が伺える。 「刑務所が一種のセイフティーネットになっている」という言葉が重い。平穏に暮らしている人々からすれば「見たくない世界」であり、出所してからの社会の受け入れはさらに難しい。認知症を発症している例では刑務所が「矯正施設」とはなり得ずさらに症状が進行する。それが分かっていても、なす術がない。 読み進めるのが重苦しい本だが、自分の周囲で起こり得ない話ではなく、知っておくべき話だと思って読んだ。
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