女と男、このしんどさは誰のせい？ わかりあいたいのに、なぜかすれちがう

描き子(著者)

• 販売会社／発売会社: 永岡書店
• 発売年月日: 2021/09/10
• JAN: 9784522439180

商品レビュー

2024/02/17

かわいいものが好きだ。
ミッフィーが好きで、クロミちゃんが好きで、かえるのピクルスちゃんが好きである。

特撮燃え（萌え、ではなく）だ。
ライダー戦隊毎年欠かさず観て、ヒーローショー行って、映画も観に行く。たまにフィギュアも買う。

カフェに行ったらつい写真撮ってインスタに載せてしまう。かわいく撮れると満足する。

棒があったら拾ってしまう。球場に行けばつい怒号を発してしまう、こともある。

これらは全て私だ。
たぶん、社会的に期待される役割とは関係ないとこでやってる私だ。

仕事に行けば「今日お子さんは？」と聞かれる。
保育所からの電話はまず必ずこっちの携帯に入る。
何かを勧められる時は「家事の役に立ちますよ」みたいな文脈であったりする。

変なセールスが来たら「夫に相談しないと…」と逃げる。
面倒な話し合いとかは相方に行ってもらう。
元姓を名乗っている相手からわざわざ戸籍名で呼ばれても笑って流す。

こっちは、社会的性別役割規範に阿っている（もしくは、社会から期待されている）私だ。

とかくこの世は面倒で、複雑で、ああジェンダー規範煩わしいめんどくせえと思っていても、もっと面倒なことを回避するために利用しちゃったりする。
我ながらずるいと思うことがある。
都合よく立場を使い分けている。

個人としての自分と社会の中の自分。
本来、ジェンダー規範が必要ないはずの社会に根強くはびこり、自分の中にも知らないうちに根を下ろしている性別役割意識。やっかいだ。
＂社会＂の中に不可分に＂世間＂が混ざっているのが、やっかいだ。

この答えの出ない問題に、著者は真摯かつユーモラスに、つとめてフェアに、向き合おうとしているように見える。
つらさはそれぞれにあり（＂お互いに相手側の上澄みを見て羨んでいる＂みたいな例えは秀逸だとおもった。隣の芝生、なんだよねえ）、しかし社会構造がそのつらさをそれぞれ質の違うものにしているのがややこしい。

残念ながら、女性が女性だというだけで社会参加を妨げられ、発言を封じられるという社会的不利がついこの前まであった（なんなら今もちょっとある）という状況下では、解決すべき問題を個人の意識に任せることには限界があるだろう。
一方で、社会というのは畢竟、個人の集まりであることをあらためて本書が示してくれているようにも思える。

読みやすく、社会に生きる全ての人にお勧めしたい良書。著者のバランス感覚は参考になる。

本書をブックカフェで読んだあと、料理本の棚を冷やかしてから特撮の雑誌と青年コミックをチェックしておうちに帰るつもりです。どっとはらい。

2022/01/03

著者の考察に概ね共感できました。
『「どちらがより大変であるか」の比較をやめること、どっちも大変だ、という事実に目を向けること』この一言に尽きると思います。
他者を思いやる心を忘れないようにしたいです。

2021/09/16

ツイッターで見る描き子さんの絵が好きで手に取ってみた。

女4人、状況が違ってきてお互いを傷つけないためにドラマの話するというところはリアルだった。

きっとこの本を描くのにすごく神経を使ったと思う。相手の立場に立って想像したり、思ってることを上手に伝える術は身につけたいな。