リ・デザイン思考法 宇宙開発から生まれた発想ツール

山方健士(著者), 湊宣明(著者)

• 販売会社／発売会社: 実務教育出版
• 発売年月日: 2021/09/07
• JAN: 9784788908253

商品レビュー

2022/05/17

　2021年9月刊。JAXAの広報担当他（山方）と、元JAXA職員（国際宇宙ステーション計画担当他）にして現・立命館大学大学院教授（湊）の共著。この筆者らの本は初めて。
　私事だが、2022年4月から某小説講座を受講するので、それに備えて、アイディア出しに関する書籍をなるべく読んでおきたいと思い、本書を手に取った。筆者（山方）は「現在、米露中しか作っていない宇宙服を、日本で一から作れないか？」と思い立ち、奔走した人物（最終的に、諸事情で日本製宇宙服は実現せず）。
　その過程で、筆者は、宇宙服の開発に携わる人たちとの間に「完成品の共通したイメージを持つことの大切さ」「宇宙服に求められるもの（＝要求）と、宇宙服の仕様（スペック）を明確化すること」の重要性を学んだという。
　その結果、「要素分解（作りたい物の全体を、より小さな部分に分けて考える）」が重要との考えに至ったという。構成要素を分解することによるメリット（【1】考えるべきことが明確化。【2】足りない知識・スキルを特定できる（専門家を呼ぶなどの対策がとれる）。【3】分解した階層ごとに情報を整理できる）が、豊富な図とイラストで明示され、非常に分かりやすかった。本書の後半は、この「要素分解」を応用・発展させ、全く新しい革新的なアイディアを生み出せるとした「リ・デザイン思考法」の紹介に割かれている。
　「リ・デザイン思考法」とは、「技術的なアプローチと商業的なアプローチからの商品開発の発想（それぞれ一長一短あり）」や「その商品は『いつ、どこで、誰が、何をするために』使われるのか？　を想定した上での発想」という柱からなり、「目的を明確化することが、アイディア出しには必要」とする思考法だ。正直、本書後半の方は、私の理解力が足りないせいか、狐につままれた気持ちがないではないが（苦笑）、しかし発想に大切なものがなにがしかは学べた気がするので、良しとしよう（おまえ、何様？）