熱風団地

大沢在昌(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2021/08/30
• JAN: 9784041095645

商品レビュー

2025/05/13

何となく読んだ本だったけど読み応えあって面白かった！
舞台は日本だけど異国な感じもいい。登場人物も個性的で覚えやすかった。
そんな上手くいく？ってところは多々あったけど飽きずに読めたので満足。

2025/03/19

南シナ海に浮かぶ島々から構成される架空の国ベサール。過去に起きたクーデターによって軍事政権が立ち上がると、国王は傀儡と化し、その家族は亡命した。年老いた国王が病にかかり、余命が問われる今、体制を盤石なものにしたい現政権と、現政権を倒して民主化を図りたいレジスタンスの動きがにわかに騒がしくなってきた。趨勢を握るのは日本に亡命している王子だ。しかし16歳の王子はいわゆる不良で、消息がわからない。そんな中、フリーの旅行ガイド員・佐抜は、ベサール語がわかるという理由だけで、NPO団体から王子の捜索を依頼される。相棒は元女子プロレスラー。2人のデコボココンビは、王子の行方を追って、雑多なアジア人が集まるアジア団地にたどり着く。

本書を読む少し前に大沢在昌さんの「夏からの長い旅」を読んだんだけれど、書かれたのが1985年ということからか、内容以前に古臭さが気になってしまった。なので新しいのを読んでみようと思って本書を手に取った。2020年に書かれたものだ（出版は2021年）。冒頭からスマホやインターネットが出てきて笑った。ナウい。

事件は日本で起きているんだけど、アメリカや中国の顔色をうかがい、自分たちはなんとか責任から逃れようとする日本の姿がそれっぽくてイライラする。

とくに目新しさはないけれど、その分読みやすくてすんなり物語世界に入っていける。映画やドラマでやっても受けそう。

2023/04/21

ツッコミどころはあるもののいつもの楽しい大沢作品。架空の国を舞台設定として一から作り上げ物語に落とし込んでいる点では流石。架空だが根底にあるのは日本が取り巻いている外国人滞在者の問題。それを真っ向から書くのではなく、コーディネーターという主人公にして巻き込まれ系にしてしまうのが大沢さんらしさでもある。だから読みやすく頭を空っぽに出来る。主人公の佐抜が誰にでも秘密をペラペラ喋ってしまう、あがり症といいながら会話で危機を乗り越えていく、など気になる点もままあるのだがサクサク読めるので気にせずいよう。