図解 はじめての事業分離・売却

EYストラテジー・アンド・コンサルティング(編者)

• 販売会社／発売会社: 中央経済社
• 発売年月日: 2021/09/01
• JAN: 9784502398513

商品レビュー

2023/03/21

収益性の低い事業、将来性が見込みにくい事業、ノンコア事業の分離売却が増えている。多くの理由は、マクロ経済の不安定性、地政学的不確実性、モノ言う株主対応、外部取締役・監査役の導入によるガバナンスの構造改革、DX ・技術革新に対するリスクと機会など、環境要因。筋肉質な経営体質という言葉も聞く。不採算部門を自社では活かしきれない。だから売却しようという発想だ。

本著は非常に有益。

分離・売却は多くの企業にとって日常的なトランザクションとは言えない。また構想段階で限られたメンバーで実施し、社内リソースを充分に活用できない。実務を知らずに意思決定を進め難いし、マニュアルがあって引き継がれるような事でもない。相手に正しくアプローチし、環境変化が進む前に成立させねばならぬ時間勝負。だから、結果的に、外部委託する。ただ、外部委託するにも、この本を一冊読んでおく事で、景観が変わる。

カーブアウト、TSA (トランジションサービスアグリーメント)、スタンドアロン課題、COC条項、Teaser（ティザー）、デューディリジェンス、ノックアウトファクター等の専門用語、事業譲渡成立までの実務プロセスなども詳しく、実用的。強いて言えば、外部委託したプランナー等との守備範囲について、もう少し知りたかった。