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台所のおと 新装版 講談社文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/08/12 |
JAN | 9784065239575 |
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台所のおと 新装版
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商品レビュー
4.2
12件のお客様レビュー
短いストーリーの中に、人生の機微や細やかな感情の動き、五感を研ぎ澄ませなくては味わえないような描写がたっぷりと詰っていて、読み終わるたびに余韻が残ります。しゃきっと背筋がのびるような文体も美しい。20代の頃に読みかけたままおいてあったのですが、40代の半ばになって改めて読むことが...
短いストーリーの中に、人生の機微や細やかな感情の動き、五感を研ぎ澄ませなくては味わえないような描写がたっぷりと詰っていて、読み終わるたびに余韻が残ります。しゃきっと背筋がのびるような文体も美しい。20代の頃に読みかけたままおいてあったのですが、40代の半ばになって改めて読むことができてよかったです。たぶん歳を重ねてからのほうが良さがわかります。 映画「PERFECT DAYS」で主人公が幸田文を読んでなかったら忘れたままになってたかもしれません。良い御縁でした。
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【40代の今だからこそ、心に残った本】 この短編集は聞こえるもの、みえるもの、匂いなど、五感を意識されている物語だと思いました。 特に表題作の『台所のおと』は、印象的な作品でした。野菜を炒めるジャージャー、鍋を煮込むときのグツグツなどは耳にしていますが、「誰がの台所仕事の音」...
【40代の今だからこそ、心に残った本】 この短編集は聞こえるもの、みえるもの、匂いなど、五感を意識されている物語だと思いました。 特に表題作の『台所のおと』は、印象的な作品でした。野菜を炒めるジャージャー、鍋を煮込むときのグツグツなどは耳にしていますが、「誰がの台所仕事の音」を意識したことは今までなかったように思います。言われてみれば、この人の包丁使いは音が出る、と思ったことはありますが、そこで終わってました。 また、家族の病気を多く扱っているこの本を、20代の自分が読んでいたら、あまり響かなかったかもしれません。年を重ねて、家族を持った今だからこそ、心に残る短編集でした。 といっても、まだ感想を整理できておらず、何回も読み直して味わう本かなと思います。
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1960年代に発表された10作品を収録した短編集。 「台所のおと」「濃紺」「祝辞」「おきみやげ」という4作品が、特に良かった。 「草履」は、幸田文の作品には珍しく、ですます調で語られる一人称小説。物語の展開も探偵小説っぽく感じた。 〈食べ物〉と〈病〉に関する物語が多かった。 ...
1960年代に発表された10作品を収録した短編集。 「台所のおと」「濃紺」「祝辞」「おきみやげ」という4作品が、特に良かった。 「草履」は、幸田文の作品には珍しく、ですます調で語られる一人称小説。物語の展開も探偵小説っぽく感じた。 〈食べ物〉と〈病〉に関する物語が多かった。 幸田文の短編を読むと、村上春樹の「牡蠣フライ理論」のことを思い出す。 「あなたが牡蠣フライについて書くことで、そこにはあなたと牡蠣フライとのあいだの相関関係や距離感が、自動的に表現されることになります。それは すなわち、突き詰めていけば、あなた自身について書くことでもあります。」(『村上春樹 雑文集』) 幸田文の書く短編はかなり短いものが多いのに、読んだあとには登場人物たちの姿がよく見知った人のように浮かんでくる。 それは、主にタイトルによって予め提示されている事物と登場人物との相関関係や距離感が、要を得て表現されているからだと思う。 本文引用 p12 目に見ずとも音をきいているだけで、何がどう料られていくか、手に取るようにわかるし、わかるということはつまり、自分が本当に庖丁をとり、さい箸を持って働いているに等しいのだった。週刊誌もくたびれるし、ラジオも自分の好みのものをいつも必ず放送しているわけではないし、なによりもいちばん病む心憂さの晴れるのは、台所の音をきくことだった。(「台所のおと」) p67 いずれにせよ、一番心にかかったのは、くせのある木のいとしさ、くせのある材に多分並ならぬ手間をかけたであろうその人の哀しさ、そしてまたくせを送られた自分は、いったいどういう巡りあわせか、ということ。それは考えてわかることではなく、ただ、三者ともに通じるのは、ふしあわせな環境におかれたとき我慢する能力がある、という点だった。(「濃紺」) p238 克江さんの記念よ。いつまでも忘れずにいるわ。あたしはハッスルしたがる性質で、ハッスルするのが好きらしいんだけど、気をつけるわ。いつ、どこで、なにを、どのようにハッスルするか、ぴりっと考えて上手にやるわ。きっとあたし、一生ハッスルしていくと思うんですもの。(「おきみやげ」)
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