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鳥がぼくらは祈り、
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2021/07/09 |
JAN | 9784065243077 |
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商品レビュー
3.3
11件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
私たちがふだん視認する世界は、理路整然な文脈に沿い編集された映像ではないのであって、つぎはぎが断続的に曖昧なままただ流れる。高島のカメラが記録していたのはそんな、私たちがふだん視認する世界に限りなく近いそれであり、それと対応するような著者の独特の文体は一見くどく冗長に見えるかもしれないが、私たちの瞬間瞬間の行動、思考、視線の変遷を極めて忠実に記述しようとした痕跡であった。そして、外部からは破綻や不可思議に見えたものも、特定の何かを了解し得たとき、それは整合性のとれた、そうとしかなり得ないものになる。 物語は一定の温度を保ったまま、文字に記されていないが存在している世界に接続される。始まり、終わりが明確に区切られているというより、膨大で途方もない時間軸のほんの一瞬を切り取っただけのようでもある。どうしようもない葛藤も苦悩も希望もただそこにある、それだけであり、それがすべてである。人生はそうやって進んでいくのか、と思う。 小難しく書いてしまったけれど、時間感覚と当人が認識する世界をことばで描写するということにここまで誠実な文章に初めて読んだような気がしていて、視界がひらけた。彼らはきっとこの日々を経験を胸に抱いて、少しずつ取りこぼしながら、きっと明るい未来に進んでいく。 高島が母親と妹に会いに行く道中で、目の前の人々への目のかけ方が一変した場面がとても鮮やかであたたかくお気に入り。 高島、山吉、池井それぞれの描写が"ぼく"の視点であることがとてもユニークで不思議な印象を抱かせる。互いのことを分かっているようで少しズレていて、それでもやはり分かる、のような4人の関係性があるからこそ成立し得ているのかもしれない。 もともと気になっており、ラジオかポッドキャストかでMONO NO AWARE玉置さんが言及していた本書。とても読んでよかった。
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文章がとんでもなく好きだ、、 読んでいて心がぐらぐらする 思考が深い場所まで辿り着かないうちに、全く別のことを考えている感じ の言語化がすごい
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まず、読む前に知っていた方がいいことはこの小説における特殊な文体について。 通常の小説と違い「」の表記があまりなく、文 章の中にセリフが組み込まれているため、それが登場人物の実際の発言なのか、心情描写なのかもあいまいに描かれている。 最初は不安定な文体に非常に読みにくさを...
まず、読む前に知っていた方がいいことはこの小説における特殊な文体について。 通常の小説と違い「」の表記があまりなく、文 章の中にセリフが組み込まれているため、それが登場人物の実際の発言なのか、心情描写なのかもあいまいに描かれている。 最初は不安定な文体に非常に読みにくさを感じたが、読んでいるうちにこの斬新な表現の方法にアートや詩を見ているような面白さを感じた。 ぼく、山吉、池井、高島の4人の誰のものなのかもわからなくなって複雑に絡み合って紐帯で結ばれ、一つに統合される感覚すら感じてしまう。 青春時代の友人関係における自他の境界線の曖昧さが見事に描かれていたと思う。
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