遠巷説百物語

京極夏彦(著者)

• 販売会社／発売会社: KADOKAWA
• 発売年月日: 2021/07/02
• JAN: 9784041109953

商品レビュー

2024/08/19

【収録作品】歯黒べったり／礒撫／波山／鬼熊／恙虫／出世螺
盛岡藩筆頭家老にして遠野南部家当主の密命を受けた宇夫方祥五郎を語り手とした連作。
民話や言い伝えの形で残る話をベースに、仕掛け人が暗躍する。

祥五郎のまっすぐな気性が好もしい。そして乙蔵の妙な意地と祥五郎との繫がり方にちょっとほろりとする。
パターン化しているので、祥五郎が危機に陥っても安心して読める。

2024/08/15

今年は北上、盛岡、米沢に行き、岩手山、西吾妻山、早池峰山に登っている程に東北にハマっているので。『前巷説百物語』に登場した仲蔵と『西巷説百物語』に登場した柳次の仕掛けに、遠野南部家から「耳役」を仰せつかった宇夫方祥五郎が巻き込まれていく。宇夫方の誠実なキャラクターに加えて、当時の金の流れが面白くシリーズの方ではかなり好きなほうかもしれない。

「歯黒べったり」目鼻がない花嫁姿の女の怪異。驚かされた侍は汚名挽回のため討伐に向かうがー。「磯撫」米の流通が一人の男に独占され、街中が一触即発の事態に。同時に、海に巨大魚が出ると噂が立ちー。「波山」無残に焼き殺された若い女の遺体が次々と発見される。嫌な性格だが『後巷説百物語』の「赤えいの魚」同様グロイ話の方が印象深いな。「鬼熊」隠し女郎屋と巨大熊。「恙虫」疫病で封鎖された一角。しかし閉じ込められた住人はなんの説明も受けていない。本当に疫病なのか…？コロナの経験があったからか地味に怖い話だった。「出世螺」一攫千金を狙い埋蔵金の発掘に勤しむ男を狙う、侍達の影。

2023/11/26

他シリーズよりも棘々しいとか、怖いなって感じが弱いかなと思ったけど、最後急に祥五郎が斬られた時はびっくりした…
最後はシリーズメンバーも揃ったり話がつながったりでとても面白かった。