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ナラティブでひらく言語教育 理論と実践
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新曜社 |
発売年月日 | 2021/06/25 |
JAN | 9784788517318 |
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ナラティブでひらく言語教育
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ナラティブ=物語。朗読による物語文学。叙述すること。話術。語り口。→ナレーター(デジタル大辞泉、https://kotobank.jp/word/ナラティブ-590017)。 辞書で上記の通り定義されているように、物語、ストーリーを語ることがナラティブ。そこから転じて自身の過去...
ナラティブ=物語。朗読による物語文学。叙述すること。話術。語り口。→ナレーター(デジタル大辞泉、https://kotobank.jp/word/ナラティブ-590017)。 辞書で上記の通り定義されているように、物語、ストーリーを語ることがナラティブ。そこから転じて自身の過去、現在、未来や社会との関わり、心理的葛藤を自身の言葉で語り、聴き手もそのナラティブを聴くことを通して自身を振り返り、また発見があるという相補的な人間成長と社会理解の考え方であると本書を読んで感じた。 本書は言語教育にフォーカスが当たっているので、学んでいる言語の習得レベルによってナラティブ活動に制限があるのかに関心があったが、本書の例で言うと、ある程度日本語を習得した留学生、日本語教員同士による対話の記録、日本語の習得に関わりなく参加できるように対訳のついた教材を使用した話し合いといった例が紹介されていた。 なぜ上記に関心があったかと言うと、言語は話すにしろ書くにしろ聞くにしろ使わなければ上達しないが、その活動をするためには知識の下支えが必要なはずだからだ。 本書でも14章において、学習を教師や学校がコントロールすることに対する疑問や「あいうえお」ばかりを勉強させられて嫌になってしまった学習者の例を挙げ学びの目的が抜け落ちているのではないかという懸念が表されている。これはなにを何のために学ぶのかを学習者が決定し主体的に関わったときによく学ぶという前提がある。 しかし一方で、「あいうえお」や基本的な語彙・文法が無い状態でアウトプットを求められても出す物が無いし、14章で紹介されている自然な学びは素晴らしいのだが生活者が日常で自然に覚えた日本語が規範的な意味ではちぐはぐで、結果的に進学・就職やその他日本語を使う高度な場面に進む際の障壁にしばしばなってしまうことを考えると基礎的な知識の習得にも気を配らなければならない。その際に教師や学校が学びをコントロールすることは必ずしも否定されるものではないだろう。 この辺りを曖昧にすると、教師は聞かれるまで教えないで良いので聞かれなかったということは教えることがなかった、学習者が学びたいことを学べばいいという極端に走ることになる。 本書を読んで大切だと感じたのは、学びは学習者自身に紐づかなければ定着しないし、学習者自身の変化にも繋がらないという視点。 言語習得レベルに合わせた活動をするにせよ無視できるような状況で活動をするにせよ、あるいは「あいうえお」のような基礎を練習するにせよ、学習者にとって意味が無ければ文字通り意味が無いのである。 なぜ、なにを、どのように学ぶかは学習者も教師も学校などの学びの場も常に意識して学びがデザインされる必要がある。 ナラティブとは自己開示をし他者のナラティブを受け入れることによって豊かな視点の獲得や相互理解の深まりを促す試みだと思うし、学んだことをどのように活かしたいかを学習者自身がしっかりと認識できる試みでもある。
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