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われらが痛みの鏡(上) ハヤカワ・ミステリ文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2021/06/19 |
JAN | 9784151814556 |
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われらが痛みの鏡(上)
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商品レビュー
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<災厄の子供たち>第3部。一部「天国でまた会おう」で復員したエドヴァ-ルとアルベールが住んだ貸家の大家の娘ルイーズが主人公。エドヴァールたちの部屋によくやってきた少女ルイーズ、無口で何を考えているのかちょっと不気味な感じさえ受けたのだが、時は1940年4月、今や30歳になり小学校...
<災厄の子供たち>第3部。一部「天国でまた会おう」で復員したエドヴァ-ルとアルベールが住んだ貸家の大家の娘ルイーズが主人公。エドヴァールたちの部屋によくやってきた少女ルイーズ、無口で何を考えているのかちょっと不気味な感じさえ受けたのだが、時は1940年4月、今や30歳になり小学校の先生をしている。そしてまたもや始まった戦争。またしても登場人物たちの人生は戦争によって翻弄される。 ルイーズ、ルイーズが週に一度手伝う向かいのレストラン店主ジュール、その店に週に一度必ずやってくる老医師ティリオン、徴兵された軍曹ガブリエル、ガブリエルの部下で戦場でさえも抜け目なく賭けをして儲けるラウール、ある時は情報省の役人、ある時は司祭、など変幻自在の詐欺師デジレ、憲兵隊曹長のフェルナンとその妻アリス。実は彼ら彼女らはわずかずつの、あるいは大いなる縁でつながっていて、戦争といううねりのなかでクロスする。 この関係者が一堂に集まって、集結する時間軸、地理軸、この様はみごと。それに戦争の推移が重なるのでよけいダイナミックになり、ルメートルの筆が冴える。 若者たちの未来が開けた最後はよかった。 2020フランス 2021.6.15発行 図書館
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あのときこうしてたら ああしてたらと、 正しい選択と間違った 選択があったかのよう に、 私たちはあとから思い 返しますが、 どのように振舞おうが けっきょく行き着く先 に大差はないのではと。 フランスの歴史が転換 する激動の時期に、 戦争という極限の状況 下で、 す...
あのときこうしてたら ああしてたらと、 正しい選択と間違った 選択があったかのよう に、 私たちはあとから思い 返しますが、 どのように振舞おうが けっきょく行き着く先 に大差はないのではと。 フランスの歴史が転換 する激動の時期に、 戦争という極限の状況 下で、 すべては必然であるか のように進行する物語。 千年の時を僅か一瞬に 感じるような、 大きな大きな存在から 眺めれば、 大河に浮かぶ木の葉の ように、 私たちは運命という名 の大きな流れに逆らえ ない存在。 極端な喩えをするなら、 静止画とさして変わら ない存在ではないかと。 三部に及ぶ長大な物語 の最初と最後の一文を 読んで、 そんな感慨に耽ります。
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『天国でまた会おう』『炎の色』に続く三部作完結編。間を置いて読んでいるので前二作の詳細は覚えていないのですが、一作目を読んだあとの感想で、「面白かったけれどあえて言うならば男性ばかりでなくマドレーヌとルイーズについてもっと読みたかった」と思っていたら、二作目の主役がマドレーヌで我...
『天国でまた会おう』『炎の色』に続く三部作完結編。間を置いて読んでいるので前二作の詳細は覚えていないのですが、一作目を読んだあとの感想で、「面白かったけれどあえて言うならば男性ばかりでなくマドレーヌとルイーズについてもっと読みたかった」と思っていたら、二作目の主役がマドレーヌで我が意を得たり!と小躍りしたところ、完結編の主役がルイーズでした。素晴らしい。戦時下の話ではありますがルメートルの筆にかかるとどこか洒脱たような乾いた明るさがあって、気重にならずに読めました。教師をしながら週末に近所のカフェを手伝うルイーズとカフェの主人ジュールさん、軍の曹長フェルナンと病弱の妻アリス、真面目な兵士カブリエルと抜け目のないラウール、希代の詐欺師デジレ、という複数の人生が平行してばらばらに語られて行って、結末に向かうにつれ糸をつむぐようにつながっていくのは読んでいて気持ちが良かったです。ルメートルも楽しんで書いたように感じられたエピローグが素敵で、読後感をいっそう満足な形にしてくれました。今後も追いかけたい作家さんです。
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