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山下紘加(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2021/05/25
JAN 9784309029634

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商品レビュー

3.5

23件のお客様レビュー

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2024/09/25

しかし、物心ついた時から自然と根付いている「出された料理はきちんと食べきらなくてはいけない」というモラルの肥大化が焦燥感に拍車をかけたいた。倫理観を持ちながら、好きなだけ食べていい状態から、食べ物を差し出される状態は何か禁忌でも冒しているようで、ハイになる。気がつけば「普通」の感...

しかし、物心ついた時から自然と根付いている「出された料理はきちんと食べきらなくてはいけない」というモラルの肥大化が焦燥感に拍車をかけたいた。倫理観を持ちながら、好きなだけ食べていい状態から、食べ物を差し出される状態は何か禁忌でも冒しているようで、ハイになる。気がつけば「普通」の感覚が逆に自分を麻痺させ、興奮を煽る。(p.11-12) DMやコメントにはひと通り目を通し、見たことが相手にもわかるようにハートマークの「いいね」をタップする。反応を示せば、また反応が返ってくる。きりがない。時間もエネルギーも消耗する。(p.32) 食べる行為が自分を満たすための行為であり、色に対して貪欲であることは、あたかも性に対してあけっぴろげであるような仄暗い卑しさを内包している…(p.50) 臆病ゆえにかえって自分だけの世界を確立できないのは私も同じだった。自分の底と対峙しながら、底にのまれそうになる、食べる行為に没入するあまり一緒に沈み込んでいきそうな瞬間がある。そういう時、他者の存在や彼らとの交流が、内側へ潜り込んでいく自分を引きあげてくれる。ライバルは時に救いだった。(p.52) 穴が空いていれば、それを埋めたい。塞がらないから容れ続ける。容れ続けた先に限界があるのか当時はまだわからなかった。(p.55) 努力して手に入れるよりも、既に落ちているかもしれない可能性を探す方に躍起になっちゃう。(p.58) 大食いは夢なの。一果みたいに尋常じゃないくらい食う人見てると、なんか自分の夢が報われたような錯覚を覚えるんだよ(p.74) 本音でぶつからない分、付き合いは長くても互いに心の底からわかり合えているとは言い難い。(p.84-85) 誰よりも多く食べることを目標にしながら、同時に食べ物に対して常に畏怖の念を抱き、食べる行為に臆するのが大食いだ。罪悪感がある。けれど罪悪感を快楽に転じられるから大食いを続けている。(p.136) 大食いを題材とした本は初めてだったが、勝つためのトレーニングがあること、本番は苦しい顔を一切見せてはいけないという過酷な状況を耐えるフードファイターはアスリートだと思った。売れるには大食いで勝ち続けること+インパクトという難しい要求にも耐え、ネットの記事や、評価にも耐えるなんて表に立つ人たちはなんて大変なのだろうと思う。今は、大食い番組はあまり見かけないが、YouTubeで大食いYouTuberが好きなものを好きなだけ食べるようなコンテンツで溢れている。10キロとか身体の中にどうやったら入るのだろう…と疑問と凄すぎるという驚きと、好きなものをお金を気にせず食べられる羨ましさと、でも、実際自分が食べてみると、同じものを食べ続けるのって中々の苦痛で、限界突破したあたりから、味も何もしなくなり、逆に不味く感じてくるのがオチである。一果が美食サークルにいた時に、味わって美味しくいただく「食べる」と大食いで、食べ物を潰してでも戦略的に、逆に攻略的に「食べる」というのでは全く意味も動作も違ってきて、同じ「食べる」でもこんなにも違うものなのかと思った。しかし、山下さん、食べ物を不味く描くのが上手すぎる。スプーンでお皿に潰して、塊のようにして飲み込んだり、料理として見ているのではなく、食べやすいか食べやすくないか、どうやったら効率的に食べられるかのモノのように描いていて、美味しそうとはとても思わなかったし、食を不味く描く物語は『人間みたいに生きている』で出会った以来だったので、新鮮な気分を味わえた。

Posted by ブクログ

2024/06/03

 フードファイターが主人公の小説に出会ったのは初めてだ。テレビで見たことがある食べる迫力や苦悩が伝わってきた。にも関わらず、途中、番組の不正が発覚し、フィクションとは思えなくなってきて不快な感情が込み上げてくる。フードファイターって何のために戦っているのだろうと、この本を超えて、...

 フードファイターが主人公の小説に出会ったのは初めてだ。テレビで見たことがある食べる迫力や苦悩が伝わってきた。にも関わらず、途中、番組の不正が発覚し、フィクションとは思えなくなってきて不快な感情が込み上げてくる。フードファイターって何のために戦っているのだろうと、この本を超えて、実のフードファイターに思いを巡らせた。

Posted by ブクログ

2024/03/01

本でお腹がいっぱいになった作品は初めてかもしれない。 フードファイターってただ食べてるだけかと思いましたが、トレーニングとか色々あるんですね。これは少し勉強になりました。 非常に読みやすいのでちょっとした時間に読んでみてはどうてしょうか。(^-^)

Posted by ブクログ

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