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旱魃世界 創元SF文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
| 発売年月日 | 2021/03/19 |
| JAN | 9784488629199 |
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旱魃世界
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
SFの大家であるJ.G.バラード、愛好しているわけでもなく、詳しいわけでもなかったのだが、サンリオSF文庫を集めていた頃の私は、『夢幻会社』における生命の爆発力と絶えることのない原色の暴走表現の限りを尽くした世界観に圧倒され、この異常なまでの描写力こそJ.G.バラードの本質なんだ...
SFの大家であるJ.G.バラード、愛好しているわけでもなく、詳しいわけでもなかったのだが、サンリオSF文庫を集めていた頃の私は、『夢幻会社』における生命の爆発力と絶えることのない原色の暴走表現の限りを尽くした世界観に圧倒され、この異常なまでの描写力こそJ.G.バラードの本質なんだと思い込んだ。数年経た今でもあの時の読後感は残っており、図書館で本書を見かけた時、死の寒さが生命の温かさに変じていく12月に読むべき作家としてこれ以上に相応しい者がいるだろうかという考えに囚われた。こうして私は、本書を手に取ったことが今年取った選択の中でも最大級の過ちになることなど露知らず、先入観にどっぷりと浸かったまま不用意に扉を開いてしまったのである。 作家としては初期の作品にあたるであろう本書は、「退屈」の二文字で容易に言い表せてしまう。海に流された大量の産業廃棄物の影響で水面に薄い膜が張り、雨雲が発生しなくなった世界にて、あちこちで水が失われ、川は干上がり、砂丘の侵食が進む大地に取り残された人々が、積極的に生きることを捨てほとんど惰性のように生を追い求め、暴力に目覚め、狂気に見舞われていく様を描いた『旱魃世界』は、舞台背景の作り込みや登場人物の個性の割り振りなどの設定に関して言えばよく練られており、読者を興味の渦に引き込んでいくのに十分な下地ができているのだが、いかんせん描写力がつたない。個々の人々の心理描写は甘く、壊れていく世界の色付けは方向性が曖昧でいまいち入り込めない。言ってしまえば、感情移入もできないし他人事として突き放すこともできない中途半端な作品なのだ。極限状態における不安定な心理を描いたと言うこともできるかもしれないが、それは最大限本作に譲歩した上でなんとか捻り出せる程度の評価でしかない。J.G.バラードは本作登場人物の心理描写において、主観と客観のバランスを取ることに失敗しており、そのために彼らは不具の人形のように立ち回っている。感情の発露もうまくできず、押し隠すこともできない不能者の群れ。作者は壊れたおもちゃを使ってままごとに興じ、読者と感覚を共有するつもりだったのだろうか。 約300ページあるうちの100ページまでは本当に面白い。渇ききって絶望的なイメージの漂う舞台装置は私の心に名状しがたい寂寞を流し込んでくれた。しかし、後半はもはや全ての設定を放棄しているかのようで、デッサンだけ緻密に描いて色付けせずに捨ててしまった哀れな絵画作品を見ているかのようだった。破滅的な未来を描いたものとしては、アンナカヴァン『氷』やコーマックマッカーシー『ザ・ロード』などがあるが、これらニ作品を読んだことのある者からしたら、描写力と構成力のない本書はただただ読むことが苦痛に感じられることだろう。悲惨な展開に苦痛になるのではなく、ひたすら退屈なために苦しみを感じるに違いない。 ここまで言ってしまってなんだが、本当に設定は素晴らしいのだ。だからこそ心から惜しいと思う。しかし後にJ.G.バラードは類い稀なる描写力を身につけ、『夢幻会社』という傑作を世に送り出すに至る。本書は彼の過渡期の作品だ。本書だけで作家としての能力を疑うべきではない。次回本書を読む時は、これまでの先入観は捨て、J.G.バラードという大作家がどのような道を辿ってあれほどの大作家になったのかを探究する眼を持って臨みたいと思う。 しかし先入観とはなんと邪魔なものなのだろう。これを排除して作品と向き合える日はいつになったら来るのだろうか。読書とは、毎日が修行なのだなぁと改めて思った。
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旱魃世界 人類の愚かな振舞いにより、海からの水の恵みが途絶えた世界。 湖は干からび川は流れを止め、生き物は死に向かい、陸地は砂漠化していく。 人は海水を蒸留して得るわずかな水と引き換えに、愚かにも、更に塩で海を浸食していく。 連想されるのはマッカーシー「ザ・ロード」でありマル...
旱魃世界 人類の愚かな振舞いにより、海からの水の恵みが途絶えた世界。 湖は干からび川は流れを止め、生き物は死に向かい、陸地は砂漠化していく。 人は海水を蒸留して得るわずかな水と引き換えに、愚かにも、更に塩で海を浸食していく。 連想されるのはマッカーシー「ザ・ロード」でありマルセル・セロー「極北」であり、映画「マッドマックス」や「風の谷のナウシカ」だろうけど、水を求めて南へ向かう姿は、なぜかスタインベック「怒りの葡萄」をイメージしてしまう。 主人公が「意識の中に携えてきた内なる景観(イナーランドスケープ)の周辺領域を越える旅」とは、なんだったのか……最後まで読んでも捉えることは難しい。 初めの頃に書かれていたハウスボートの中に飾った「雑誌から切り抜いたイヴ・タンキーの『緩慢な日々』の写真」が、最終章のタイトルとされていること……うーん、わかりません。
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あっという間に暑い夏はすぎて秋。酷暑をふりかえりつつ、タイトルからして暑そうなバラードの作品を読む。燃える世界の改訂版の位置付けとのことですが、読みやすさも違う し、意味合いも違う文脈が多くなったような気がします。特にラストシーンなどかなり違うのではないでしょうか。これ翻訳の違い...
あっという間に暑い夏はすぎて秋。酷暑をふりかえりつつ、タイトルからして暑そうなバラードの作品を読む。燃える世界の改訂版の位置付けとのことですが、読みやすさも違う し、意味合いも違う文脈が多くなったような気がします。特にラストシーンなどかなり違うのではないでしょうか。これ翻訳の違いなのでしょうか?原文が変わったのでしょうか? 読んだからといってこれからの人生が何か変わるかといえば何も変わらないですが、なんといってもバラードの魅力はそのシュール・リアリズムの絵画のようなビジュアルにも訴える強烈なイメージでしょう。この印象は一生残ります。「沈んだ世界」も再読してみよう。
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