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わたしが行ったさびしい町
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2021/02/25 |
JAN | 9784104717040 |
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商品レビュー
4.2
6件のお客様レビュー
蓮實重彦や吉田健一が書いたような「手すさび」「随筆」を想起しつつ、しかしこの著者が記すものにはそうした「人を食った」「悪意」がないなと思う。こちらが思わずむかついたり笑ってしまったりするような底意地の悪さがなく、代わりにどこか実直な生きづらさ・生真面目さを感じたのだった。その意味...
蓮實重彦や吉田健一が書いたような「手すさび」「随筆」を想起しつつ、しかしこの著者が記すものにはそうした「人を食った」「悪意」がないなと思う。こちらが思わずむかついたり笑ってしまったりするような底意地の悪さがなく、代わりにどこか実直な生きづらさ・生真面目さを感じたのだった。その意味では意外とこれは堀江敏幸のような書き手の誠実・篤実な回想に通じるものであり『おぱらばん』『熊の敷石』が好きな人なら気に入るものなのかもしれない。ここにいる、ということそれ自体も疑わしくなり掘り返す記憶がどこかの別世界・妄想の彼方へ
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いつも行く図書館にイベント棚があり、そこで『旅の本』として紹介されていた一冊。 パラパラと中を見ると、国内外の19の町+夢での町を書いた旅エッセイのよう。 いくつか気になる町があったので借りてみた。 「さびしい町」とは、どうということのないふつうの町のこと。 と著者は書いている...
いつも行く図書館にイベント棚があり、そこで『旅の本』として紹介されていた一冊。 パラパラと中を見ると、国内外の19の町+夢での町を書いた旅エッセイのよう。 いくつか気になる町があったので借りてみた。 「さびしい町」とは、どうということのないふつうの町のこと。 と著者は書いている。 ごく当たり前に人々が生活している町です。 そしてもちろん、さびしい町が好きだから、このエッセイを書いたのでしょう。 著者の松浦さんはフランス文学者でもあるので、フランスはもちろんの事、多くの国々を訪れている。 これは、かつて通り過ぎたさびしい町のあれこれについての「昔話」だそう。 なので旅の詳細は曖昧なのに対し、くっきりと記憶に刻まれているその町の空気や感じた事などは丁寧に記されている。 そしてほとんどの旅は、奥様と一緒なのが素敵。 連れがいるからこそ出来る体験もあるはず。 中には「まだ妻ではなくガールフレンドだった女性」とのワクワクした旅もあった。(韓国・江華島) ーーーあの韓国旅行はわたしにとっての「始まり」の……人生にいくつもある複数の「始まり」の……一つだったと今改めて思う。(p190) どの町も細かく描写されている訳ではないが、奥行きのある文章が心に染みる。 読者は昔話を聞きながら、自分の内側を見つめ、人生と向き合う(振り返ったりこの瞬間を感じたり、明日を想像したり)一冊になるのかもしれない。
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220607*読了 江國香織さんの講演会で、2021年に読んだおすすめの本として紹介されていたのがこの本。 うらやましいほどにたくさんの国、町を訪れられていて、いかにも観光っぽい場所にももちろん行かれている。 でも、ここで綴られているのは、「さびしい」町。 この「さびしい」という...
220607*読了 江國香織さんの講演会で、2021年に読んだおすすめの本として紹介されていたのがこの本。 うらやましいほどにたくさんの国、町を訪れられていて、いかにも観光っぽい場所にももちろん行かれている。 でも、ここで綴られているのは、「さびしい」町。 この「さびしい」というのは、わざわざ訪れたのに見たいものが見れなかったり、人気がなかったり、果てしない道のりを車で運転してやっと辿り着いた町がうらぶれていたり…。 そして、地域色はあるものの特徴に乏しい「普通」の町だったり。 江國さんも印象的なシーンとしてあげられていた、ナイアガラフォールズ事件は、この連載の初回、この本の冒頭の町に選ばれているだけあり、私の心にも深く残っています。 私が思い出す「さびしい」町は外国だと、真冬のフィンランドのロバニエミ。 氷点下25度、あたり一面雪で覆われた道路を肩をすくめて渡る人。さびしいショッピングモール。 そんな、読み手にとってのさびしい町を思い出させてくれる本でもあります。 松浦さんは大学の教授をされていたし、詩人でもあり、小説家でもあり、書き続けてこられた人。 そんな人ならではの豊富な語彙で語られる「さびしい」町は、確かにさびしいんだけれど、行ってみたくなります。 賑やかな観光地も素敵だけれど、そのすぐ近くにそっとある「さびしい」町にも訪れたい。 記憶に蘇る「さびしい」町って、なんだかとても愛おしい。 雨の降る日にお家にこもって読みたい本だなぁ。 江國さんに教えていただけたからこそ、知って読めた本。そのご縁に感謝。
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