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だいちょうことばめぐり
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2021/01/27 |
JAN | 9784309028736 |
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だいちょうことばめぐり
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商品レビュー
3.8
5件のお客様レビュー
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読み始めて2つ目の『紙の雪』で、銀座のおでん屋で『白木のカウンターのむこうで板前さんが数人、うつむき気味にじっと立っていて、そのぼう立ちがライブ中のクラフトワークみたいだと思う』でぐっと心を掴まれた。 歌舞伎にも造詣が深くて、特に石川五右衛門に関するものは興味が湧いた。(『天津甘栗とIxicavagoyemon(上・下)』) お手伝いさんとの記憶や、結婚祝いにと渡されたものことなどを書いた『川波さん』。記憶を呼び起こして書くっていいなと改めて思った。 食べ物や食事を絵使うエピソードも多く、その描写もいい。『Cream Tea』に出てきた名前『紗季子さん』にピンと来るものがあり、答え合わせをしたところ、やっぱりフードエッセイストの平野紗季子さんだった。
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『和歌のなかの春は、めじろやうぐいすが春を告げたり、梅の香りがただよったり、雪が解けて水かさがましたりしてとてもきれいだ。それでも、実際に生きて感じる春は、ざわざわとしていて、少し居心地が悪い。芽吹いたり、光が強くなったり、花が咲いたりしてせわしない。花粉症もちにとっては目や肌の...
『和歌のなかの春は、めじろやうぐいすが春を告げたり、梅の香りがただよったり、雪が解けて水かさがましたりしてとてもきれいだ。それでも、実際に生きて感じる春は、ざわざわとしていて、少し居心地が悪い。芽吹いたり、光が強くなったり、花が咲いたりしてせわしない。花粉症もちにとっては目や肌のかゆい季節でもある。春は体の外も内騒々しくてむずがゆくて落ち着かない』―『水温む』 共感できる訳でもないのに、つい並べられた言葉の調子に惹かれて手を出してしまう。自分にとってそんな文章を紡ぎ出すのが朝吹真理子。極端に硬質な言葉を並べた文章からなる小説に対しては、芥川賞の選考において川上弘美が記した「読む快楽を十分に感じながら読みつつ、わたしはいくつかの表現に首をかしげました」という評が自分自身の気持ちを代弁してくれているとの印象を持ちつつ、そもそもこの作家は何かを標準的な世界の理屈で考察していないのだと考えれば、その既存の価値観に係留しない連想を甘美な思考の麻痺を誘う媚薬として飲み込むこともできる。そもそも起承転結を敢えてはぐらかした言葉の連なりによる曖昧さは、咀嚼されることを拒むことを宣言している。朝吹真理子の連想は、妄想のはるか先をゆく世界の理屈に繋がっているのだと思う。そしてその同時異相的な朝吹真理子の世界は本書でもやんわりとした語り口ではあるものの同様に開陳されている。 高名な親族に連なるこの芥川賞作家は、例えて言えば一条ゆかりの「有閑倶楽部」のお嬢様、剣菱悠理、を想起してしまうような生まれ育ち。この『ほんとうに、つらつらと、頭にめぐってきたなんてことないことばかり書いた』というエッセイ風の連載でもその稀有な家庭環境の在り様や交友関係の広さが垣間見え、ともすれば鼻持ちならない印象を生みかねないところだが、言ってしまえば少し極端な感受性の持ち主である作家の記す言葉に実のところあざとさはないと受け止める。ただ、小説ほどに硬質ではないものの、まっすぐに記された言葉の響きはやはり硬く、加えて連載の要件である歌舞伎の演目への連想が容易に繋がらなかったり、作家にとっての当たり前が当たり前でなかったりして、読むものを選んだ文章と感じなくもない。それでも、作家が、非言語的な内なる感情を何とか言葉に置き換えようとして文章を紡ぎ出している様子がうかがえ、実は至極素直な人なのかとの印象を抱く。もっとも、もし同級生に居たなら遠くから眺めているだけで充分で仲良くなりたいとは思わないかも知れないけれど。
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作者のもう一作のエッセイ「抽斗のなかの海」と、合わせて図書館で借りた。 どれだけ徳を積めば生まれ育ちの丁寧な暮らしができるのだろう、というのが第一印象。 幼少から歌舞伎座に通い、大学生で着物を卸し、詩人と歌を詠み、三島で蛍を見て鰻の白焼きを食べる。 少なくとも自分の周りには、こんな文化的な生活をしてきた人はいなかった。笑 自分にないエピソードばかりだから、面白い。 そして、学生時代のルーズソックスの話や、カラオケで頼んだカサカサのたこ焼きのエピソードが、逆に珍しいことのように見えてしまう。 子供の頃のことを本当に細かなところまでよく覚えているなと、上手なエッセイを読んでいていつも思う。 子供時代の五感の記憶をここまで文章で表現できるのは、やはり作家の才能なんだろう。そして、タバコの煙、点心の湯気、時間。"たゆたう"ものを見逃さない作者の目を通してみる世界は、自分の見てる世界とはどれほど別物なのだろうと思う。 本書の中では著者の夫や、家族友人、子供の頃の家政婦さん、様々な人が現れる。僕は、著者の母にまつわるエッセイが好きだ。「ジムノペディ」「蛍」が特に印象に残った。
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