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ヘーゼルの密書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 光文社 |
発売年月日 | 2021/01/19 |
JAN | 9784334913823 |
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商品レビュー
4.3
13件のお客様レビュー
結末は歴史的事実から逃れられない。 過程に記録された「事実」も同様に、曲げることはできない。 ただ、記録の裏にあることは想像の翼を持ち、作家の想いに乗せて羽ばたく。 歴史小説の面白さは、こんなところにある。 同じ作者の「破滅の王」に続き中国を舞台にした歴史小説。 太平洋戦争直...
結末は歴史的事実から逃れられない。 過程に記録された「事実」も同様に、曲げることはできない。 ただ、記録の裏にあることは想像の翼を持ち、作家の想いに乗せて羽ばたく。 歴史小説の面白さは、こんなところにある。 同じ作者の「破滅の王」に続き中国を舞台にした歴史小説。 太平洋戦争直前の「桐工作」と今井武夫という人物は史実で、実現せずに蒋介石は国共合作をして抗日体制を整え、日本はアメリカとも対峙し泥沼の戦争へと堕ちていく……。 ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナなど、いま戦争が実際に勃発している。 争いを始めない努力はなんて地味で見栄えのしないこと、でも、始めてしまってからは止めることがどんなに大変か、歴史は今も物語っている。
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第二次世界大戦に日本が突入していく時代に、戦争を回避しようと様々な工作が行われていたという史実を元にしたフィクション。和平を目指す軍人や工作員の動きはスリリングだが、小説の面白さを味わうには少々自分の知識と想像力が足りなかったかも。 通訳という裏方の役割を通して時代の流れを見せよ...
第二次世界大戦に日本が突入していく時代に、戦争を回避しようと様々な工作が行われていたという史実を元にしたフィクション。和平を目指す軍人や工作員の動きはスリリングだが、小説の面白さを味わうには少々自分の知識と想像力が足りなかったかも。 通訳という裏方の役割を通して時代の流れを見せようというストーリーは悪くはないが、何故その人か、実際の場面でどうなんだろうというあたりがはっきりわからない。何せ様々な利害関係があって日本人も中国もひとつになってないから、その混沌とした中での雰囲気は少し感じることができた。 今のきな臭い時代にもこんなことがいろいろとあるのだろうと思いつつ。
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著者の「上海3部作」の2作目をようやく読了。 1939年~1940年、汪兆銘政権樹立の合間を縫って行われた今井武夫陸軍大佐を中心とする和平工作「桐工作」をモチーフとし、その最前線で奮闘した人々の思いを描く。タイトルの「ヘーゼル」は、「桐工作」の下準備を担った特命チーム「榛ルー...
著者の「上海3部作」の2作目をようやく読了。 1939年~1940年、汪兆銘政権樹立の合間を縫って行われた今井武夫陸軍大佐を中心とする和平工作「桐工作」をモチーフとし、その最前線で奮闘した人々の思いを描く。タイトルの「ヘーゼル」は、「桐工作」の下準備を担った特命チーム「榛ルート」を示す暗号名から。作中で日本側人物との交渉役として登場した宋美齢が、ヘーゼルを育てるには手間も時間もかかると語りかけるのは、戦争当事者どうしの交渉の困難を表現したものだろう。 注目したいのは、この小説の作者が通訳者に焦点を当てたこと。人々の思考を強力な二元論が支配する戦争の現実の中で引き裂かれていくグレーゾーンの人々も多く登場する。彼ら彼女らを動かす動機はさまざまだ。安心して商売をしたいから、中国の料理に魅せられたから、たまたま両親が中国人と日本人だったから、上海という都市ではじめて自分らしく生きることができたから――。それぞれの人物が割りきれない思いを抱えながら、何とかこの戦争を止めたいと力を尽くしていく。政治の大きな流れの中では無力で名前も残らないだろうたくさんの人々が、争いあう二つの国家のあいだで行為していた。作者は、綿密な取材にもとづきながら、戦時下の上海で生きた人々の複数の生の軌跡を確かに浮上させてみせた。(ここに李香蘭や台湾出身の映画人たちが書き込まれていたら、さらに複雑なドラマになったかもしれない)
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