溺愛社長と添い寝じゃ終われない 幻冬舎ルチル文庫

今城けい(著者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎コミックス
• 発売年月日: 2021/01/19
• JAN: 9784344847989

商品レビュー

2021/01/22

解放と浄化

[ELLE]

少女漫画チックな表紙に一瞬、ひるみましたが、内容はしっかりと「ＢＬ」でした。

　ストーリーは王道ながら、心理描写がとても巧みなので、派手な設定などなくても【受け】の「異能」がかもす不思議なトーンにグイグイ引き込まれて読了してしまいました。

　【受け】： 性交渉を含まない『添い寝バイト』をする大学生。　　特殊能力として、依頼者　の「残留思念」、　　「記憶のイメージの一端」を読み取ったり、催眠誘導能力を持つ。

　【攻め】： 「社長」の肩書きに相応しい安定感ある人柄のスマートで温和な紳士。
　　　　　　………が、時折りチラ見えする『自制ぶり』、『テンパリ具合』に萌えました。　　　　　　笑いどころもあって、大人の男の『狡猾さ』が匂うようなセクシーさ。

【受け】の、異能を持つキャラに多い『過去の事情』が、哀れで切なくもありますが、
【攻め】と出会い、環境や自意識も良い方向に変化していく----------その過程には、表紙のイメージからは想像出来ない内面の解放と浄化が織り込められています。
　その感情の機微と交流が、ただの『 添い寝じゃ終われない』関係の成就感・達成感をもたらし、とても読ませる作品でした。

　二人の今後の良きパートナーシップぶりを想像させるハピエンは、多幸感に包まれてとても優しくて甘かった！
　書き手がこれだけ上手いと、「 オメガバに頼らない設定」に仕込まれる『甘さ』って最近ではますます貴重だと思う。

それにしても表紙のインパクトで、危うく読み損ねるところでした！　　　
　　イラストって【命】、ですね。

2022/08/12

添い寝をするバイトをしている透里。どんなバイト？と思ったけれど、なんだか不思議な雰囲気で癒されるのを見ると、リピーターがいるのもよくわかる。透里にとっても、人の役に立っていると思えるのが嬉しいことだったのかも。と思えるし。感情の起伏が少なく、あまり自己主張もしない透里。「パンダさん」と出会ってから、少しずつ大学生らしくなっていくのは嬉しくなった。透里がこうなった理由を思うと余計に。少しずつ少しずつ透里がやりたいことを考えられるように。と色々な経験をしていく２人。２人で過ごす穏やかで楽しい時間がずっと続くといいな。と思った。